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同胞
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きやうだい
ふりがな文庫
“
同胞
(
きやうだい
)” の例文
彼には、
同胞
(
きやうだい
)
が成人するにつれて幾分なりとも互ひに遠々しくなるやうな事があつては自分が済まないといふ妙に
律気
(
りちぎ
)
な心持があつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
四人の
同胞
(
きやうだい
)
、総領の母だけが女で、
残余
(
あと
)
は皆男。長男も次男も、
不幸
(
ふしあはせ
)
な事には皆二十五六で早世して、末ツ子の源作叔父が家督を継いだ。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
うつかり、そんな言葉を使つてしまつた彼女は、われながら、ぎよつとしたが、思へば、自分も、その
同胞
(
きやうだい
)
の一人ではないか。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「あの絵の上手な鍛冶屋ぢやつたのう。いや御機嫌よう、
同胞
(
きやうだい
)
! それはさうと、どういふ風のふきまはしでこちらへやつて来たのぢや?」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
私は一人
娘
(
ご
)
で
同胞
(
きやうだい
)
なしだから弟にも妹にも持つた事は一度も無いと言ふ、左樣かなあ、夫れでは矢張何でも無いのだらう
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
しかも“無線電話”の著者の、勘弥の口を
藉
(
か
)
りて、“情ないものですねえ。”と嘆息した所以の、それほど時運は、かれら
同胞
(
きやうだい
)
に味方しなかつたのである。
七代目坂東三津五郎
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
わたしの一家はその頃
零落
(
おちぶ
)
れたどん底にゐたらしいが、父も母も、またわたしにはただひとりの
同胞
(
きやうだい
)
たる兄も、みな綺麗な事では知合ひの間には評判であつた。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
「してみると、米国から幾ら金を貰つて来たつて少しの
差支
(
さしつかへ
)
もない筈だ、もと/\
同胞
(
きやうだい
)
なんだからな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ば取直し何卒力に成て下せへと云ば元益
點頭
(
うなづき
)
て然事
柄
(
がら
)
さへ
解
(
わか
)
つた事なら素より
同胞
(
きやうだい
)
何を云ふ然し改まつて力に成てと言のは
如何
(
どう
)
いふ次第だかと問れて庄兵衞はお光が事一
伍
(
ぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼がさう言ふか言はないに、もう一人の方のザポロージェ人が、「まあ、いいから伴れて行つてやらうではないか、
同胞
(
きやうだい
)
!」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼女は、そこで、以前よりも早口に、そして、申訳のやうに、自分以下三人の
同胞
(
きやうだい
)
の名が呼び上げられるのを、ぢつと眼をつぶつて聞いてゐた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
私
(
わたし
)
は
一人子
(
ひとりご
)
で
同胞
(
きやうだい
)
なしだから
弟
(
おとゝ
)
にも
妹
(
いもと
)
にも
持
(
も
)
つた
事
(
こと
)
は
一度
(
いちど
)
も
無
(
な
)
いと
言
(
い
)
ふ、
左樣
(
さう
)
かなあ、それでは
矢張
(
やつぱり
)
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
いのだらう
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「さあ
愈々
(
いよ/\
)
同胞
(
きやうだい
)
の国に着いたぞ。相手は
懐中
(
ふところ
)
加減の
好
(
よ
)
い
輩
(
てあひ
)
だ、たんまり土産も出来ようといふものだ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それは大勢の
同胞
(
きやうだい
)
ぢゆうでも、一番Aさんと顔立の似た、気の合ふ弟さんだつた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
『婆さんの理屈で行くと、兄が死ねば弟も死なゝけれアならなくなる。俺の姉は去年死んだけれども俺は
恁
(
か
)
うして生きてゐる。
然
(
さ
)
うだ。
過日
(
こなひだ
)
死んだ
馬喰
(
ばくらう
)
さんは、婆さんの
同胞
(
きやうだい
)
だつていふぢやないか?』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
兼た
飯焚
(
めしたき
)
の男一人在れど是さへも使に出たる後なれば
同胞
(
きやうだい
)
如何なる
密談
(
みつだん
)
せしや
知者
(
しるもの
)
絶
(
たえ
)
て無りけり斯て後庄兵衞は
翌朝
(
よくあさ
)
五兩の金を
調達
(
こしらへ
)
兄元益に
遞與
(
わたせ
)
しに此方は心得其金もて
質
(
しち
)
に入たる
黒紋附
(
くろもんつき
)
の小
袖
(
そで
)
羽織
(
ばおり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ぢやあ、又あとでゆつくり話さうのう、
同胞
(
きやうだい
)
。わしたちは、これから女帝陛下に拝謁のため参内するところぢやから。」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
でも、
同胞
(
きやうだい
)
のやうに似てゐるといふのは、さうざらにはありませんよ。また、失礼かも知れませんが、小倉つていふのは、奥さんそつくりですからね。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
檀家の中にも世話好きの名ある坂本の油屋が隱居さま仲人といふも異な物なれど進めたてゝ表向きのものにしける、信如も此人の腹より生れて男女二人の
同胞
(
きやうだい
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「有難う。」小橋氏は
同胞
(
きやうだい
)
に礼をいふ心持で一寸帽子の
鍔
(
つば
)
に手をかけて別れようとした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
檀家
(
だんか
)
の
中
(
なか
)
にも
世話好
(
せわず
)
きの
名
(
な
)
ある
坂本
(
さかもと
)
の
油屋
(
あぶらや
)
が
隱居
(
ゐんきよ
)
さま
仲人
(
なかうど
)
といふも
異
(
い
)
な
物
(
もの
)
なれど
進
(
すす
)
めたてゝ
表向
(
おもてむ
)
きのものにしける、
信如
(
しんによ
)
も
此人
(
このひと
)
の
腹
(
はら
)
より
生
(
うま
)
れて
男女
(
なんによ
)
二人
(
ふたり
)
の
同胞
(
きやうだい
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「面白い……反対しろ。しかしだぜ、お前は
同胞
(
きやうだい
)
つてものを、どう思つてるんだい。死ぬか生きるかの問題なんだぜ、親爺の別荘が大事か、兄貴の命が大事か?」
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
母は安兵衞が
同胞
(
きやうだい
)
なれば此處に引取られて、これも二年の後はやり風俄かに重く成りて亡せたれば、後は安兵衞夫婦を親として、十八の今日まで恩はいふに及ばず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それをみて、義妹の梅代がなんといふかと思ふと、三人の子供たちが
同胞
(
きやうだい
)
みたいだと云ふ。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
かしけれどお
前
(
まへ
)
さまはお
一人子
(
ひとりご
)
私
(
わたし
)
とても
兄
(
あに
)
ばかり
女
(
をんな
)
の
同胞
(
きやうだい
)
もちませねば
淋
(
さび
)
しさは
同
(
おな
)
じこと
何
(
なに
)
かにつけて
心細
(
こゝろぼそ
)
し
御不足
(
ごふそく
)
かは
知
(
し
)
らねど
妹
(
いもと
)
と
思召
(
おぼしめ
)
してよと
底
(
そこ
)
にものある
詞遣
(
ことばづか
)
ひそれは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
男
同胞
(
きやうだい
)
をもたぬこの二人は、半ば物珍らしげにこれら男子青年の言動に眼をみはり、彼等から対等にあしらはれることを誇りとし、時たま見せられるちよつとした騎士道に頬を熱くした。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
はて
扨
(
さて
)
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なと
太
(
ふと
)
い
眉
(
まゆ
)
を
寄
(
よ
)
せて、お
前
(
まへ
)
にすればたつた
一人
(
ひとり
)
の
同胞
(
きやうだい
)
、
善惡
(
よしあし
)
ともに
分
(
わ
)
けて
聞
(
き
)
かねばならぬ
役
(
やく
)
を
笑
(
わら
)
ひ
事
(
ごと
)
にしては
置
(
お
)
かれまい、
何事
(
なにごと
)
の
相談
(
さうだん
)
か
行
(
い
)
つて
樣子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
たらば
宜
(
よ
)
からう
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
でも、あなた方御
同胞
(
きやうだい
)
三人は、性格的に、まるで極端と極端のやうですね。
沢氏の二人娘
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
親
(
おや
)
といふ
名
(
な
)
のまして
如何
(
いか
)
ならん、さりとは
隱居樣
(
いんきよさま
)
じみし
願
(
ねが
)
ひも、
令孃
(
ひめ
)
が
心
(
こヽろ
)
には
無理
(
むり
)
ならぬこと、
生中
(
なまなか
)
都
(
みやこ
)
に
置
(
お
)
きて
同胞
(
きやうだい
)
どもが、
浮世
(
うきよ
)
めかすを
見
(
み
)
するも
愁
(
つ
)
らし、
何
(
なに
)
ごとも
望
(
のぞ
)
みに
任
(
まか
)
かせて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
欽蔵 それが
間違
(
まちげ
)
えだ。
手前
(
てめえ
)
は、自分のことばかり考へてる。なぜ「殺させない工夫」と云はねえんだ。自分を守るんぢやねえ。
同胞
(
きやうだい
)
を守るんだ。帝都を守るんだ。日本といふ国を守るんだ。
空の悪魔(ラヂオ・ドラマ)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
悦子 (父のそばへ行き)ねえ、お父さん、
同胞
(
きやうだい
)
や親子の間に、何か秘密があるつてことは不幸ぢやない? 秘密つていふと大袈裟だけど、自分だけで苦しまなけりやならないことがあつたら……。
沢氏の二人娘
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「あら、いやだ、かうしてみると、まるで
同胞
(
きやうだい
)
ね、この三人は……」
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
同
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
胞
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“同胞”で始まる語句
同胞達
同胞教会
同胞相剋