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判然
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はんぜん
ふりがな文庫
“
判然
(
はんぜん
)” の例文
その時この長蔵さんは、誰を見ても手頃な若い
衆
(
しゅ
)
とさえ鑑定すれば、働く気はないかねと持ち掛ける男だと云う事を
判然
(
はんぜん
)
と
覚
(
さと
)
った。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見天に耳なしと雖も是を
聞
(
きゝ
)
正邪
(
せいじや
)
判然
(
はんぜん
)
たるは天道の照し給ふ處なり其罪成ぬ九助が無實は今日
顯然
(
げんぜん
)
たる上からは
出牢
(
しゆつらう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もし厳密に精確の調査を遂げて帰らるるにおいては、法王殿下はその臣民を法に問うべきものであるか無いかということがきっと
判然
(
はんぜん
)
せらるるに違いない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今
(
いま
)
一つ
招魂社
(
せうこんしや
)
の
後
(
うしろ
)
の
木立
(
こだち
)
のなかにも、
媚
(
なまめ
)
かしい
此物語
(
このものがたり
)
は
迹
(
あと
)
つけられてあるが、
其後
(
そのゝち
)
の
関係
(
くわんけい
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
今
(
いま
)
も
此
(
こ
)
の
恋
(
こひ
)
なかは
続
(
つゞ
)
いてゐるか
否
(
いな
)
か、
其
(
それ
)
も
判然
(
はんぜん
)
せぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
随
(
したが
)
って
其
(
そ
)
の顔は
判然
(
はんぜん
)
せぬが、
僅
(
わずか
)
に灰色の髪の毛に
因
(
よ
)
って、
其
(
そ
)
の六十近い老人であることを
確
(
たしか
)
め得た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
二つの手の存在が
判然
(
はんぜん
)
としなくなつた時、二人は空につゞくかぎりない白い路と、灰色の野の上に太陽の光線の箭に
條
(
すぢ
)
づけられた雲の色とを、繪でも見るやうに眺めた。
幸福への道
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
竅
(
あな
)
の
數
(
かず
)
と
孔中
(
こうちゆう
)
の
堂宇
(
だうゝ
)
の二
證據
(
しようこ
)
で、石は
雲飛
(
うんぴ
)
のものといふに
定
(
きま
)
り、石賣は或人より二十兩出して
買
(
かつ
)
た
品
(
しな
)
といふことも
判然
(
はんぜん
)
して
無罪
(
むざい
)
となり、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も石は
首尾
(
しゆび
)
よく雲飛の手に
還
(
かへ
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
始めて
何部
(
なにぶ
)
の何番ということを
告
(
つ
)
げたから、さっそくその教室に行って、入ってみると、なるほどその顔形がいかにも
件
(
くだん
)
の婦人によく似た青年で、まさしく両者の関係が親子であることが
判然
(
はんぜん
)
した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
髯
(
ひげ
)
やら
前垂
(
まへだれ
)
やら
判然
(
はんぜん
)
と
區別
(
くべつ
)
が
着
(
つ
)
かぬ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その上白シャツと
白襟
(
しろえり
)
が離れ離れになって、
仰
(
あお
)
むくと間から
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が見える。第一黒い襟飾りが襟に属しているのか、シャツに属しているのか
判然
(
はんぜん
)
しない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仕つり
其節
(
そのせつ
)
切腹
(
せつぷく
)
仕るべき
覺悟
(
かくご
)
に候然らば當年中にはよも御對顏の
運
(
はこ
)
びには相成まじく其内に
眞僞
(
しんぎ
)
判然
(
はんぜん
)
も仕らんかと所存を定め候
間
(
あひだ
)
今晩
(
こんばん
)
は
亡者
(
まうじや
)
の
姿
(
すがた
)
にて不淨門の番人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
Kはむしろ平気でした。お嬢さんの態度になると、知ってわざとやるのか、知らないで
無邪気
(
むじゃき
)
にやるのか、そこの区別がちょっと
判然
(
はんぜん
)
しない点がありました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
破談
(
はだん
)
に致すこと
不埓
(
ふらち
)
千萬なる事なれど
斯
(
かく
)
事柄
(
ことがら
)
の相分り光に病のあらざる事
判然
(
はんぜん
)
致す上は長左衞門
夫婦
(
ふうふ
)
長三郎に
於
(
おい
)
ても光を
嫁
(
よめ
)
に致さん事仔細あるまじければ只今より親子の者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もう
年数
(
ねんすう
)
もよほど
経
(
た
)
っていますし、それに私にはそれほど興味のない事ですから、
判然
(
はんぜん
)
とは覚えていませんが、何でもそこは
日蓮
(
にちれん
)
の生れた村だとかいう話でした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
顋
(
あご
)
の
髯
(
ひげ
)
に至ってはその時から
今日
(
こんにち
)
に至るまで、
寧日
(
ねいじつ
)
なく
剃
(
そ
)
り続けに剃っているから、地面と
居宅
(
やしき
)
がはたして髯と共にわが手に
入
(
い
)
るかどうかいまだに
判然
(
はんぜん
)
せずにいた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
是非探究して見なければならん。それにしても
昨日
(
きのう
)
あの女のあとを付けなかったのは残念だ。もし
向後
(
こうご
)
あの女に逢う事が出来ないとするとこの事件は
判然
(
はんぜん
)
と分りそうにもない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
食
(
く
)
ふに
困
(
こま
)
らないと思つて、さう
無精
(
ぶせう
)
な
顔
(
かほ
)
をしなくつて
好
(
よ
)
からう。もう少し
判然
(
はんぜん
)
として
呉
(
く
)
れ。
此方
(
こつち
)
は
生死
(
せいし
)
の
戦
(
たゝかひ
)
だ」と云つて、寺尾は
小形
(
こがた
)
の本をとん/\と
椅子
(
いす
)
の
角
(
かど
)
で二返
敲
(
たゝ
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その一輪がどこまで
簇
(
むら
)
がって、どこまで咲いているか分らぬ。それにもかかわらず一輪はついに一輪で、一輪と一輪の間から、薄青い空が
判然
(
はんぜん
)
と望まれる。花の色は無論純白ではない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
猫は鼠を
捕
(
と
)
る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の
魂
(
たましい
)
の
居所
(
いどころ
)
さえ忘れて正体なくなる。ただ菜の花を遠く望んだときに眼が
醒
(
さ
)
める。雲雀の声を聞いたときに魂のありかが
判然
(
はんぜん
)
する。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕の心持が何かの調子で
和
(
やわ
)
らげられたのか、千代子の僕に対する態度がどこかで角度を改ためたのか、それは
判然
(
はんぜん
)
と云い
悪
(
にく
)
い。こうだと説明のできる
捕
(
とらえ
)
どころは両方になかったらしく記憶している。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
半紙に認ためられたものは
悉
(
ことごと
)
く鉛筆の走り書なので、光線の暗い所では字画さえ
判然
(
はんぜん
)
しないのが多かった。乱暴で読めないのも時々出て来た。疲れた眼を上げて、積み重ねた束を見る健三は
落胆
(
がっかり
)
した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうさな。あんまり
判然
(
はんぜん
)
としちゃいない」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“判然”の意味
《名詞》
判然(はんぜん)
はっきりとよくわかること。
《形容動詞》
はっきりとよくわかるさま。
(出典:Wiktionary)
判
常用漢字
小5
部首:⼑
7画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“判”で始まる語句
判
判明
判官
判断
判斷
判切
判事
判人
判別
判定