トップ
>
内儀
>
おかみ
ふりがな文庫
“
内儀
(
おかみ
)” の例文
その廻りに、黒ん坊みたいな子供が四人、ウジャウジャと寝て、その向うに腰巻一つの
内儀
(
おかみ
)
さんが、
肥
(
ふと
)
った
尻
(
しり
)
をこっちへ向けている。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「三輪の萬七親分が、
内儀
(
おかみ
)
さんを縛つて行きました、——どんな證據があらうと、あの人は、そんな事をする人ではございません」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大きな、
肥
(
ふと
)
った
体躯
(
からだ
)
をした
他
(
よそ
)
の
内儀
(
おかみ
)
さんなぞが、女というものは弱いもんですなんて、そんなことを聞くと俺は
可笑
(
おか
)
しく成っちまう……
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
暗い予感が当って、ことによれば、二度と可愛い顔が、見られなくなったかも知れぬと知った、
内儀
(
おかみ
)
、もはや、真正の気違いだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
台所には蕗子の妹で十三か四になる
艶子
(
つやこ
)
が、近所の
内儀
(
おかみ
)
さんたち二三人に囲まれて、畳に打伏したまま
潸々
(
さめざめ
)
と泣いていました。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
▼ もっと見る
丸文字屋の
内儀
(
おかみ
)
は邪推深い、剛慾な女だ。番頭や小僧から買うよりも、内儀から買う方が高い、これは、村中に知れ渡っていることである。
窃む女
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
柳「
左様
(
そう
)
でしょう、それに病み煩いの時などは
内儀
(
おかみ
)
さんがないと困りますから、早くお貰いなすっては何うです、ねえ旦那」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
父は風呂で
火照
(
ほて
)
った顔を
双手
(
りょうて
)
でなで上げながら、大きく
気息
(
いき
)
を吐き出した。
内儀
(
おかみ
)
さんは座にたえないほどぎごちない思いをしているらしかった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼はまた、春月亭の
内儀
(
おかみ
)
に侮辱されて、人間の道義というものに絶望しかけていたとき、朝倉先生にきいたミケラシゼロの話を思いおこしていた。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
又その
内儀
(
おかみ
)
さんが猫が大好き、
狆
(
ちん
)
が大好き、
生物
(
いきもの
)
が好きで、猫も狆も犬も居るその
生物
(
いきもの
)
一切の世話をしなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
其室
(
そこ
)
にはその
内儀
(
おかみ
)
さんのペートン(
蓮顕
(
れんげん
)
)という女がやはりダージリンから一緒に来て居る。私はじきに知りましたけれども先方では全く知らない様子。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
願くは、今自分の見て居る
間
(
うち
)
に、早く何處かの
内儀
(
おかみ
)
さんが來て、
全體
(
みんな
)
では餘計だらうが、アノ一番長い足一本だけでも買つて行つて呉れゝば
可
(
いゝ
)
に、と思つた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
まアこちらのお宅に辛抱してごらんなさい。こちらもあまりパッパとする方じゃないけれど、
内儀
(
おかみ
)
さんが目を
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
僕の室に入ってみますと、下宿の
内儀
(
おかみ
)
が普段大事にしている座蒲団が五枚も片隅にうず高く積み重ねられているのを発見した時、僕は万事を直感してしまった。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いわゆる後家の気丈者らしいここの
内儀
(
おかみ
)
さんは、かぞえかけていた一円
紙幣
(
さつ
)
の束をもういちど読み直して
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんなに待ちやァしないでしょ。随分いそいだのよ」と云いながら、今更のように慶三の顔を見て「羽織の襟が折れていない事よ。あなたの
内儀
(
おかみ
)
さんは
実
(
じつ
)
がないね。」
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ともかく珊瑚が戻ったのだから、今度だけは内済にして、そのうえ別に
強談
(
ごうだん
)
もしなかったという。あの
内儀
(
おかみ
)
がゆうべ自殺したと聞いて、番頭は不思議そうな顔をしていた。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
作蔵 その人は
内儀
(
おかみ
)
さんか。この前来た時のと違ってるから、内儀さんではないと思った。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「今に分りますが、ここの
内儀
(
おかみ
)
は一流の板前ですよ。その他、サービス満点……」
神サマを生んだ人々
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
むく/\肥つた四十
恰好
(
かつかう
)
の
内儀
(
おかみ
)
が何だか言つてゐるのを聞き流して私は取りあへずそこの店さきにある井戸傍に立つた。頭から背から足さきまで洗ひ流して、直ぐ二階に上らうとした。
岬の端
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
大店
(
おおだな
)
の
内儀
(
おかみ
)
さんたちは嫁をそしる。中年になったお嫁さんは、いつまでも
姑
(
しゅうとめ
)
が意地わるく生きていると
悪口
(
あっこう
)
しあうのを、番僧たちはうまく口を合せていた。そんな時、祖母は口を決してださなかった。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
内儀
(
ないぎ
)
を
一寸
(
ちょっ
)
と呼で呉れ下「
内儀
(
おかみ
)
さんは
最
(
も
)
う出て仕舞いましたよ」目科は驚きたる風を示し「其様な筈は無いよお前先程来た己の顔を忘れたな下「いえ爾では有ませんが、全く
内儀
(
おかみさん
)
は出て仕舞たのです、 ...
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
こんなこというは婆と呼ばれる酒屋の
内儀
(
おかみ
)
だ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「
内儀
(
おかみ
)
、いつも景気がよいな」
善悪両面鼠小僧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
商賣の事ゆゑ
厭
(
いと
)
ひませんが
若
(
もし
)
内儀
(
おかみ
)
さん承まはるも餘り
率爾
(
ぶしつけ
)
ながら
能
(
よく
)
急
(
きふ
)
に金子が出來ました尤も外より
御融通
(
ごゆうづう
)
なされたとか仰せなれども
金子
(
かね
)
と云ふものは
勿々
(
なか/\
)
容易
(
ようい
)
には
調
(
とゝの
)
ひ難きもの
最早
(
もはや
)
濟
(
すみ
)
し事ながら
既
(
すで
)
に流れ買に賣拂はんとする處なりしが
彼金
(
あのかね
)
は
何處
(
どこ
)
から御融通なされしにや
些
(
ちと
)
申し
惡
(
にく
)
き事なるが
御立腹
(
ごりつぷく
)
なさるな
内儀樣
(
おかみさん
)
一文
貰
(
もらひ
)
の
袖乞
(
そでごひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「飛んだ災難——と言い度いが、実は
内儀
(
おかみ
)
さん、あの櫓は落ちるように、縄を切って置いたものがあると聴いたら、驚くだろう」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こういう物の言い振からして、お新は大人びて、郷里の方でも指折の大きな家の若い
内儀
(
おかみ
)
さんらしい、何となくサバケた人に成って来た。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人が風呂から上がると
内儀
(
おかみ
)
さんが食膳を運んで、監督は相伴なしで話し相手をするために部屋の入口にかしこまった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
願くは、今自分の見て居る
間
(
うち
)
に、早く何処かの
内儀
(
おかみ
)
さんが来て、
全体
(
みんな
)
では余計だらうが、アノ一番長い足一本だけでも買つて行つて呉れれば
可
(
いい
)
に、と思つた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
兼「聞きやアしねえが、隣の
内儀
(
おかみ
)
さんの話に、今朝婆さんが来て、親方が旅に出ると云って暇をくれたから、田舎へ
帰
(
けえ
)
らなけりゃアならねえと云ったそうだ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お前とこの、子供は、まあ、中学校へやるんじゃないかいな。
銭
(
ぜに
)
が
仰山
(
ぎょうさん
)
あるせになんぼでも入れたらえいわいな。ひゝゝゝ。」と、他の
内儀
(
おかみ
)
達に皮肉られた。
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
豚の如く肥えたここの
内儀
(
おかみ
)
さんは
法華
(
ほっけ
)
信者とみえて、店先から見通しの部屋で、非常に木音のよく響くものをカチカチと懸命にたたきながら、トム公を横目に見て
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこぞの
内儀
(
おかみ
)
らしい
扮装
(
よそおい
)
でまじっているのを見出しても、別に、気にも止めはしなかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
前の
離房
(
はなれ
)
の二室へは、急に下町の商家の
内儀
(
おかみ
)
らしい、四十前後の女が、息をぬきに来たという風で入って来た。どこか体に悪いところのあるようなその女は、毎日枕を出して
臥
(
ね
)
そべっていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
帆村は
道傍
(
みちばた
)
に立っている人のよさそうな
内儀
(
おかみ
)
さんに
訊
(
たず
)
ねた。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
内儀
(
おかみ
)
は、
白無垢鉄火
(
しろむくてっか
)
の「知らずのお
絃
(
げん
)
」。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
内儀
(
おかみ
)
さんはどんな人だい。
別嬪
(
べっぴん
)
か。」
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
答える
内儀
(
おかみ
)
の声が聞こえた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「私でございました。
内儀
(
おかみ
)
さんが昨夜から居ないといふのに、藏の戸前の外に、内儀さんの
履物
(
はきもの
)
がキチンと揃へて脱いでありましたので」
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宿の
内儀
(
おかみ
)
さんは肥つた、丁寧な物の言ひやうをする人だつた。夕飯には吾儕の爲に
鰒
(
あはび
)
を用意して、それを酢にして、大きな皿へ入れて出した。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
事務所にはもう赤々とランプがともされていて、監督の母親や
内儀
(
おかみ
)
さんが戸の外に走り出て彼らを出迎えた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
『東京は流石に暑い。
腕車
(
くるま
)
の上で汗が出たから喃。』と言つて
突然
(
いきなり
)
羽織を脱いで投げようとすると、三十六七の
小作
(
こづく
)
りな
内儀
(
おかみ
)
さんらしい人がそれを受取つた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、茶屋の
内儀
(
おかみ
)
は、左右太を知っていた。お次は、身のおき場がないように坐っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うしろから、眉は落しているが、歯の白い、目にしおのある、
内儀
(
おかみ
)
が顔を出して
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
なに
心配
(
しんぺえ
)
しねえが
宜
(
い
)
いだ、
大丈夫
(
でえじょうぶ
)
、
内儀
(
おかみ
)
さんは分った
者
(
もん
)
で、それに若旦那が
彼
(
あ
)
ア
遣
(
や
)
って堅くするし、それに小さいけれども惣吉様も居るから
其様
(
そん
)
な事はねえ、旦那は年い取ってるから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雑貨店の
内儀
(
おかみ
)
に緒を見せて貰いながら、母は
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「
内儀
(
おかみ
)
さんとお絹さんが一番ひどく、今頃は死んだかも知れません。男達は早く氣のついたせゐか、みんな大したこともなかつた樣子です」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
同行の画家B君は外国仕込の洋服を着、ポケットに写生帳を入れていたが、戯れに「お寺さん」に成り済まして
一寸
(
ちょっと
)
休茶屋の
内儀
(
おかみ
)
をまごつかせた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『東京は流石に暑い。
腕車
(
くるま
)
の上で汗が出たから
喃
(
なあ
)
。』と言つて、
突然
(
いきなり
)
羽織を脱いで投げようとすると、三十六七の小作りな
内儀
(
おかみ
)
さんらしい人がそれを受取つた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手に
採
(
と
)
るな矢張野に置け
蓮華草
(
れんげそう
)
、
家
(
いえ
)
へ入ると矢張並の
内儀
(
おかみ
)
さんなれども、女郎に似合わぬ親切に七兵衞の用をするが、二つになるお
繼
(
つぎ
)
という女の子に九つになる
正太郎
(
しょうたろう
)
という男の子で
悪戯盛
(
いたずらざか
)
り
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“内儀”の意味
《名詞》
内儀(ないぎ)
(context、dated)内々に行われる評議。
(context、dated)内証。内密の事柄。
貴人、他人の妻の尊称。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
儀
常用漢字
中学
部首:⼈
15画
“内儀”で始まる語句
内儀様
内儀樣
内儀姿
内儀風