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侮辱
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ぶじょく
ふりがな文庫
“
侮辱
(
ぶじょく
)” の例文
あれだけの凶賊を、探偵がとらえようともしないで逃がしてやるのが、どんなひどい
侮辱
(
ぶじょく
)
だか、きみには想像もできないくらいだよ。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「いやいや、ぼくのお情けの球を打って喜ぶ青木ではない、そんなことはかえって青木を
侮辱
(
ぶじょく
)
しかつ学校と野球道を侮辱するものだ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
露出だの猥本などというものは、
忽
(
たちま
)
ち、あきてしまうものですよ。禁止するだけ、むしろ人間を、同胞を、
侮辱
(
ぶじょく
)
しているのです。
余はベンメイす
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いつも
憤然
(
ふんぜん
)
として
大
(
おおい
)
に
怒
(
いか
)
り、さながら自分の愛人を
侮辱
(
ぶじょく
)
された時の
騎士
(
きし
)
のごとく、
鋭
(
するど
)
い
反撃
(
はんげき
)
の
槍
(
やり
)
をふるって
突
(
つ
)
き当って行った。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
侮辱
(
ぶじょく
)
されたとも気まりが悪いとも思わなかった。むしろこっちからも相手になってからかってやろうかと思うくらいに心の調子が軽かった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
中津藩の小士族で他人に
侮辱
(
ぶじょく
)
軽蔑
(
けいべつ
)
されたその不平不愉快は骨に
徹
(
てっ
)
して忘れられないから、今
更
(
さ
)
ら他人に屈してお辞儀をするのは禁物である。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
康頼
侮辱
(
ぶじょく
)
されながら、しかも自殺できないほどの
苛責
(
かしゃく
)
がありましょうか。それは実に一種言いようのないわるい状態です。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
主席、あなたのその態度が改められない以上、あなたは、金博士を
侮辱
(
ぶじょく
)
し、そして科学を侮辱し、技術を侮辱し、そして……
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
などいうは、こんにちの女子に対してははなはだ
侮辱
(
ぶじょく
)
の
言
(
げん
)
に聞こゆるも、女学校の設置なかりし時代においてはさもありしなるべしと思われる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
虚栄心を
挫
(
くじ
)
くのは修養上一種の方便かも知れぬが、何も
己
(
おの
)
れの真価以下の顔を見せて、これがあなたですよと、こちらを
侮辱
(
ぶじょく
)
するには及ぶまい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だのに、それらの諸将の下に、主君のお名を記し、あまつさえ秀吉の指揮をうけよというに至っては、武門に加えられる
侮辱
(
ぶじょく
)
の最大なるものだ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らは新聞記者を以て犬猫同様に思ふが故にこの
侮辱
(
ぶじょく
)
の語を吐きたるものならん。しかれども新聞記者は軍中にありてこれを争ふの権利なきなり。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
パリス
欺
(
だま
)
されて、
中
(
なか
)
を
裂
(
さ
)
かれて、
侮辱
(
ぶじょく
)
されて、
賤蔑
(
さげす
)
まれて、
殺
(
ころ
)
されてしまうたのぢゃ。
憎
(
にく
)
い
死神
(
しにがみ
)
めに
欺
(
だま
)
されたのぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「へん、貴さまの出る幕じゃない。引っこんでいろ。こいつが我輩、名誉ある県会議員を
侮辱
(
ぶじょく
)
した。だから我輩はこいつへ決闘を申し込んだのだ。」
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ぼくみたいに、弱気な人間には、ひとから
侮辱
(
ぶじょく
)
されて
抵抗
(
ていこう
)
の手段がないと
諦
(
あきら
)
め切る時ほど、悲しい事はありません。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そういう言葉には、ありありと、役者を身分ちがいと見、女がたを片輪ものとさげすむ
侮辱
(
ぶじょく
)
がふくめられていた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「おい、そんなに僕を
侮辱
(
ぶじょく
)
しないで呉れよ。君がその気なら
憚
(
はばか
)
りながら
一臂
(
いっぴ
)
の力を貸す決心でいるんだからね」
越年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし先生はもうそれらをば余儀ない事であると諦めた。こんな事をいって三味線の議論をする事が、已に三味線のためにはこの上もない
侮辱
(
ぶじょく
)
なのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我が夫として
迎
(
むか
)
えるなど全く己れを
侮辱
(
ぶじょく
)
することだと考えたかも知れぬよろしくこの辺の事情を察すべきであるつまり
目下
(
めした
)
の人間と肉体の縁を結んだことを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、どうかすると、まったくの話、心の底から、何をっていう
風
(
ふう
)
に、腹を立てることもあるの。で、その
侮辱
(
ぶじょく
)
は、もう、どうしたって忘れやしないさ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「
買
(
か
)
いたくないから、
買
(
か
)
わないのだよ。」と、きっぱりといいました。
彼
(
かれ
)
は、すくなくも
侮辱
(
ぶじょく
)
に
対
(
たい
)
する
仕返
(
しかえ
)
しをしたように、
小
(
ちい
)
さな
肩
(
かた
)
をぐっと
上
(
あ
)
げたのです。
花の咲く前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
市五郎にとっては容易ならぬ
侮辱
(
ぶじょく
)
ですから、ムカッと怒って、ポカリと一つ木戸番の
横面
(
よこつら
)
を
撲
(
なぐ
)
りつけました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
また、君らの奴隷根性がなさけないとさえ言った。こういう言葉は人間に対する最大の
侮辱
(
ぶじょく
)
の言葉で、心に愛情をもつものの容易に口にすべきことではない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それに彼は父が、他の者ならともかく、自分を
侮辱
(
ぶじょく
)
しようなどと考えるはずがないと、固く信じていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「例の士族平民で行き悩んでいるんだそうだ。これぐらい
侮辱
(
ぶじょく
)
されゝば僕も諦めるのが本式だろうね?」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その
侮辱
(
ぶじょく
)
は、女らしく執拗で、底意地が悪くて、
傍
(
はた
)
で聞いている者も、胸が悪くなるほどだったと言いますから、お雪が小さい胸を痛めたことは言うまでもありません。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、時間の移るにつれ、だんだん
無愛想
(
ぶあいそう
)
な看守に対する憎しみの深まるのを感じ出した。(僕はこの
侮辱
(
ぶじょく
)
を受けた時に急に不快にならないことをいつも不思議に思っている。)
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それを聞いて
次郎
(
じろう
)
くんはぴくりと耳を動かしました。そしてかんかんにおこってしまいました。こんな
侮辱
(
ぶじょく
)
があるもんか。次郎くんは自分が侮辱されたように
腹
(
はら
)
を立てました。
決闘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そうしてひどく
傲慢
(
ごうまん
)
だ。うん、まだある、厭に気取っている。そうして変にスベスベしていて、自分達ばかりが高等人種で、その他の者を
侮辱
(
ぶじょく
)
する。そうしてひどく侵略的だ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「犬だって!」犬だって、これじゃあまり
惨
(
みじ
)
めだ! 龍介は誇張なしにそう思って、泣いた。龍介は女を失ったということより、今はその
侮辱
(
ぶじょく
)
に堪えられなかった。心から泣けた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
かかる不潔なる仕事をしながら、安い汲取賃の支給を受け、しかも聞くに耐えぬ
侮辱
(
ぶじょく
)
を受けなければならぬ道理はない、組合が出来た以上は、も早、市民は協定以外の料金を以て
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「私が帰るというものを、帰してくださらないから、こんな
侮辱
(
ぶじょく
)
を受けたのです。」
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
言わば、頭をかきむしるような絶望の気持で——妓を
侮辱
(
ぶじょく
)
したかったのではない。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
動いている群衆の面前で、引揚げられると云うことは、その屍体に対する
侮辱
(
ぶじょく
)
のみではなく、人間全体に対する、
酷
(
ひど
)
い侮辱であるように思われて、
憤
(
いきどお
)
りと悲しみの混じったある
感懐
(
かんかい
)
に
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は生来喧嘩は好きではないし、自分から喧嘩を売ることは殆んどない。親爺こそ私を
侮辱
(
ぶじょく
)
したのである。私には自分を押える余裕がなかったのだ。止むを得ないことだと思っている。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
女教師もこのKの
侮辱
(
ぶじょく
)
に対してただちょっと横眼で答えただけで、そのほかは猫にかまいつづけていた。つまり、最初の怒りはKの手に血を流させるという仕置きでおさまったようだ。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
綾麻呂 よし!……くれぐれも我々の受けたあの
侮辱
(
ぶじょく
)
だけは忘れないようにしなさいよ。不潔な血を流すことはたやすいことだが、我々はそんな他愛もない復讐はいさぎよしとしないのだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
と言えば相手を充分に
侮辱
(
ぶじょく
)
しうるほどの、
悪口
(
あっこう
)
の一つになっていたものだ。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
好意からの助言には相違無いが、若崎は
侮辱
(
ぶじょく
)
されたように感じでもしたか
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
カピが同じやり方でわたしを
侮辱
(
ぶじょく
)
したならば、わたしの
自尊心
(
じそんしん
)
はずいぶん
傷
(
きず
)
つけられたにちがいなかった。けれどもジョリクールがどんなことをしようと、わたしはけっしておどろかなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
かれはある恐るべき
侮辱
(
ぶじょく
)
を見て取らずにはいられなかった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
けれど、どうしても私はあの
侮辱
(
ぶじょく
)
を忘れられなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「
侮辱
(
ぶじょく
)
だ。立派な挑戦じゃ——。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
つねに命令にそむき、
侮辱
(
ぶじょく
)
し、反対の行動をとった自分である。それをいま、富士男は一身の
危険
(
きけん
)
をおかして一命を救ってくれた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
いうまでもなく、これは生前の福田氏に深き深き恨みを抱く、かの下手人が、死者に最大の
侮辱
(
ぶじょく
)
を与える為に案出した、恐ろしき私刑に相違なかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
俊寛 わしは
餓鬼
(
がき
)
のように暮らしてきた。どうして生きてきたか自分にもわからない。すべては困苦と欠乏と孤独と、そして堪えられない
侮辱
(
ぶじょく
)
だった。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
笑われた、は時によって死以上の致命的な
侮辱
(
ぶじょく
)
を意味した。ひとり武門ばかりでなく、町人間の借用証文にさえも
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はともかく私の女に最後の
侮辱
(
ぶじょく
)
を加えることを抑えている私自身の惨めな努力を心に寒々と突き放していた。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
重吉はかつて覚えたことのない
侮辱
(
ぶじょく
)
を感じて決然として女の家を出ようと思いながら、また
静
(
しずか
)
にその身を
省
(
かえりみ
)
ると、勤先をしくじってから早くも一年ぢかく
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日々
(
ひび
)
得意先を回る
魚屋
(
さかなや
)
、
八百屋
(
やおや
)
、
豆腐屋
(
とうふや
)
の人々の中に裏門を通用する際、かく
粗末
(
そまつ
)
なる
木戸
(
きど
)
をくぐらすは我々を
侮辱
(
ぶじょく
)
するなりと
憤
(
いきどお
)
る民主主義の人もあるまい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
侮
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“侮辱”で始まる語句
侮辱的
侮辱法