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中年増
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ちゅうどしま
ふりがな文庫
“
中年増
(
ちゅうどしま
)” の例文
御覧の通り、まことに下品な、シャクレた顔をした
中年増
(
ちゅうどしま
)
で、顔一面に塗り
附
(
つけ
)
ております泥は、厚化粧のつもりだそうで御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヴィール夫人は三十歳ぐらいの
中年増
(
ちゅうどしま
)
のわりに、娘のような温和な婦人であったが、数年前に人と談話をしているうちに突然発病して
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
楽屋へ来たのは洗い髪の
中年増
(
ちゅうどしま
)
。色が白くて
光沢
(
つや
)
がある。
朱羅宇
(
しゅらう
)
の
煙管
(
きせる
)
と煙草盆とをさげて、弁慶縞の
大柄
(
おおがら
)
に男帯をグルグル巻きつけて
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まえにそう知らせてあったらしく、
中年増
(
ちゅうどしま
)
のはきはきした女房が出て、自分でその部屋へ案内をし、着換えも手伝ってくれた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二十四五の
中年増
(
ちゅうどしま
)
で、
内証
(
ないしょう
)
は知らず、表立った男がないのである。
京阪地
(
かみがた
)
には、こんな婦人を呼ぶのに
可
(
い
)
いのがある。(とうはん)とか言う。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
艶
(
つや
)
ッぽい
節廻
(
ふしまわ
)
しの身に
沁
(
し
)
み入るようなのに
聞惚
(
ききほ
)
れて、
為永
(
ためなが
)
の
中本
(
ちゅうほん
)
に出て来そうな
仇
(
あだ
)
な
中年増
(
ちゅうどしま
)
を想像しては能く
噂
(
うわさ
)
をしていたが、或る時尋ねると
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
向こうには縁台に赤い
毛布
(
けっと
)
を敷いたのがいくつとなく並んで、赤い
襷
(
たすき
)
であやどった若い女のメリンスの帯が見える。
中年増
(
ちゅうどしま
)
の姿もくっきりと見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
子守ッ子みたいな
禿
(
かむろ
)
ばかりでも五人、
中年増
(
ちゅうどしま
)
や婆さんや、男衆など合せると、総勢四十人からの大家族である。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのなかで半七の眼についたのは三十二三の
中年増
(
ちゅうどしま
)
で、
藍鼠
(
あいねずみ
)
の
頭巾
(
ずきん
)
に顔をつつんでいるが、浅黒い顔に薄化粧をして、ひと口にいえば
婀娜
(
あだ
)
っぽい女であった。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
天井から番傘がつるしてあるだけを覚えている。
眉毛
(
まゆげ
)
をとった
中年増
(
ちゅうどしま
)
の
女房
(
おかみ
)
さんと、その妹だという
女
(
ひと
)
と、妹の方の子らしい、青い
痩
(
や
)
せた小さな男の子とがいた。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「おやお色さん、早々と」
女将
(
おかみ
)
が驚いて顔を長くした。眉を落とした
中年増
(
ちゅうどしま
)
唇から真っ白い歯を見せた。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二十七八の色の青い小作りの
中年増
(
ちゅうどしま
)
で、髪を櫛巻にしている。昨夜私の隣に寝ていた夫婦者の女房だ。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
知らない顔の客のことで、口を掛ければ直ぐに飛んで来るような、
中年増
(
ちゅうどしま
)
の
妓
(
おんな
)
が傍へ来て、先ず酒の興を助けた。庭を隔てて明るく映る障子の方では、
放肆
(
ほしいまま
)
な笑声が起る。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
見違えるほど血色に
曇
(
うる
)
みが出来て、髪なども
櫛巻
(
くしま
)
きのままであった。
丈
(
たけ
)
の高い体には、
襟
(
えり
)
のかかった
唐桟柄
(
とうざんがら
)
の
双子
(
ふたこ
)
の
袷
(
あわせ
)
を着ていた。お雪はもう三十に手の届く
中年増
(
ちゅうどしま
)
であった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大阪のある芸者——
中年増
(
ちゅうどしま
)
であった——がその色男を尋ねて上京し、行くえが分らないので、しばらく僕の家にいた後、男のいどころが分ったので、おもちゃのような一家を構えたが
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
{1}『
春色辰巳園
(
しゅんしょくたつみのその
)
』巻之七に「さぞ意気な
年増
(
としま
)
になるだらうと思ふと、今ツから楽しみだわ」という言葉がある。また『
春色梅暦
(
しゅんしょくうめごよみ
)
』巻之二に「素顔の意気な
中年増
(
ちゅうどしま
)
」ということもある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
最後に出てきた女は、まさしくどこかのお屋敷勤めの腰元らしい
中年増
(
ちゅうどしま
)
です。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
五十六十の老婆もあれば
中年増
(
ちゅうどしま
)
の女房もあり、まだうら若い娘などもいる。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蔓細千成
(
つるぼそせんなり
)
、茄子の花、おはぐろつけたて
中年増
(
ちゅうどしま
)
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
一人の
中年増
(
ちゅうどしま
)
が出て、僕を一間に連れ込んだ。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「まあ親方」と
中年増
(
ちゅうどしま
)
の女が出て来た、このうちの主婦だろう、小さな紙包みを持っていて、それをすばやく男の
袂
(
たもと
)
に入れた
へちまの木
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中年増
(
ちゅうどしま
)
の女中がちょいと浮腰で、
膝
(
ひざ
)
をついて、手さきだけ炬燵に入れて、少し仰向くようにして、旅商人と話をしている。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お定は二十五六で、色のあさ黒い、細おもての
力
(
りき
)
んだ顔で、髪の毛のすこし薄いのを
瑕
(
きず
)
にして、どこへ出しても先ず十人なみ以上には踏めそうな
中年増
(
ちゅうどしま
)
であった。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
渡舟
(
わたし
)
待ちの前から、こう話しかけてきた
中年増
(
ちゅうどしま
)
がある。
身装
(
みなり
)
は地味、世帯やつれの影もあるが、腰をかがめた時下げた髪に、
珊瑚
(
さんご
)
の五分
珠
(
だま
)
が目につくほどないい
土佐
(
とさ
)
だった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辿
(
たど
)
りつくべき
処
(
ところ
)
へ辿りついて、やっとほっとした時分には、彼女もすでに二十一、二の
中年増
(
ちゅうどしま
)
であり、その時代のことで十か十一でお
酌
(
しゃく
)
に出た時のことを考えると、遠い昔しの夢であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
◇美人の手……綺麗な、スンナリとした、上品な
中年増
(
ちゅうどしま
)
……。
涙のアリバイ:――手先表情映画――
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……
浅葱
(
あさぎ
)
の
襷
(
たすき
)
、白い腕を、部厚な釜の
蓋
(
ふた
)
にちょっと
載
(
の
)
せたが、
丸髷
(
まるまげ
)
をがっくりさした、色の白い、歯を染めた
中年増
(
ちゅうどしま
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこは四帖半の小部屋で、行燈が明るく、
手焙
(
てあぶ
)
りの側に
中年増
(
ちゅうどしま
)
の女が一人坐ってい、千之助を見るとうしろへさがって手を突いた。千之助はあがって、刀を右に置きながら坐った。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この女もその時分はすでに二十六七の
中年増
(
ちゅうどしま
)
であり、東京は
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
の花柳界を
渉
(
わた
)
りあるき、信州へまで行ってみて、この世界はどこも同じだと
解
(
わか
)
り、ある特志な養蚕家に救われてようやく東京へ帰り
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
間に合せの車夫に腕車を
曳
(
ひか
)
せ、今や鮫ヶ橋より帰館の途次、四ツ谷見附に出でて、お堀端を走ること十間ばかり、ふと
顕
(
あらわ
)
れたる
中年増
(
ちゅうどしま
)
、行違いざま
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と尻ッ
刎
(
ぱね
)
の上調子で言って、ほほと笑った。
鉄漿
(
かね
)
を含んだ唇赤く、細面で鼻筋通った、
引緊
(
ひきしま
)
った顔立の
中年増
(
ちゅうどしま
)
。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
歯を染めた、
面長
(
おもなが
)
の、
目鼻立
(
めはなだち
)
はっきりとした、
眉
(
まゆ
)
は
落
(
おと
)
さぬ、
束
(
たば
)
ね
髪
(
がみ
)
の
中年増
(
ちゅうどしま
)
、喜蔵の女房で、お
品
(
しな
)
という。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と身を横に、
蔽
(
おお
)
うた
燈
(
ともしび
)
を離れたので、
玉
(
ぎょく
)
ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き
出
(
いだ
)
された、上り口の半身は、雲の絶間の
青柳
(
あおやぎ
)
見るよう、髪も
容
(
かたち
)
もすっきりした
中年増
(
ちゅうどしま
)
。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いいえ、私だ。」とすっきりいって、ずッと入ったのは大和屋の
姐
(
ねえ
)
さんで、
蔦吉
(
つたきち
)
という
中年増
(
ちゅうどしま
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大熨斗
(
おおのし
)
を書いた幕の影から、色の
蒼
(
あお
)
い、
鬢
(
びん
)
の乱れた、
痩
(
や
)
せた
中年増
(
ちゅうどしま
)
が顔を出して、(
知己
(
ちかづき
)
のない、旅の方にはどうか知らぬ、お
望
(
のぞみ
)
なら、内から案内して上げましょうか。)
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何だろう、ここの女中とは思うが、すばらしい
中年増
(
ちゅうどしま
)
だ。」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
増
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
“中年”で始まる語句
中年
中年者
中年寄
中年輩
中年未婚婦人