不用ふよう)” の例文
不用ふようのものを廉價れんかつて便宜べんぎいうしてゐることなどにうつつて、仕舞しまひその家庭かてい如何いかにも陽氣やうきで、にぎやかな模樣もやうちてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼等かれら幾夜いくよをどつて不用ふようしたときには、それが彼等かれらあるいたみちはたほこりまみれながらいたところ抛棄はうきせられて散亂さんらんしてるのをるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いってみると、いえなかのうすぐらい、喫茶店きっさてんでありました。こわれた道具どうぐや、不用ふようのがらくたをってくれというのでした。
おじいさんが捨てたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、そのとき、にいさんの三之助さんのすけが、ほご(ものをかきそこなって、不用ふようになったかみ)を部屋へやいっぱいにひろげて、整理せいりをしていました。
「お前、この間、そう云ったじゃねえか。このスウィッチは、当分とうぶん不用ふようだから、いつまでもお使いなさい、とな」
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひとえぐられては半身はんしんをけづりられたもおなことこれがために、第一だいいちさく不用ふようした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先方せんぱうではおほい恐縮きようしゆくして、いろ/\相談さうだんすゑ名高なだか針醫はりいなくなつて、藥箱くすりばこ不用ふようになつてゐたのをり、それを療法れうはふれいとしておくつてたのが、この藥箱くすりばこで、見事みごと彫刻てうこくがしてあつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そのとき、いとれた木琴もっきんは、ほかの不用ふようになった品物しなものといっしょに、てられるごとく、このむらのこされたのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一つの不用ふようぶん運河うんがから鬼怒川きぬがはかよ高瀬船たかせぶねたのんで自分じぶん村落むら河岸かしげてもらふことにして、かれ煙草たばこの一ぷくをもわすれないやうにつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこに、各種かくしゅ道具類どうぐるいかれてあるさまは、さながら、みんなは、いままではたらいていたけれど、不用ふようになったので、しばらく骨休ほねやすみをしているというようなようすでありました。
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れも空虚からつてはくた/\としてちからのないかはつゝにはつぶれたまゝ煙管きせるしてた。かれしばらくさうしてたがどうかしてはわすれてくせづけられた手先てさき不用ふよう煙草入たばこいれさぐらせるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)