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鮑
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あわび
ふりがな文庫
“
鮑
(
あわび
)” の例文
その他、鮨の材料を採ったあとの
鰹
(
かつお
)
の
中落
(
なかおち
)
だの、
鮑
(
あわび
)
の
腸
(
はらわた
)
だの、
鯛
(
たい
)
の白子だのを
巧
(
たくみ
)
に調理したものが、ときどき常連にだけ突出された。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
海女
(
あま
)
が
鮑
(
あわび
)
を取る時は、水の中に潜って、
鑿
(
のみ
)
を使うと聞きました。水に潜ってあれだけ鑿を使えるのは、武芸の達人にも出来ませんよ」
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お雪さんは、歌磨の絵の
海女
(
あま
)
のような姿で、
鮑
(
あわび
)
——いや小石を、そッと拾っては、鬼門をよけた
雨落
(
あまおち
)
の下へ、積み積みしていたんですね。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東海道の
薩埵峠
(
さったとうげ
)
の倉沢で
鮑
(
あわび
)
を食った時からでございますがね、その時から、あいつは無暗に、私に
楯
(
たて
)
をついてみたがるんで、私が三里歩けば
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
内ン中の
鮑
(
あわび
)
ッ貝、外へ出りゃ
蜆
(
しじみ
)
ッ貝、と友達に
囃
(
はや
)
されて、私は悔しがって
能
(
よ
)
く泣いたッけが、併し全く其通りであった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
章魚
(
たこ
)
や
鮑
(
あわび
)
が吸いついた時にそれをもいでのけようと思うても自分には手が無いなどというのは実に心細いわけである。
死後
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そして、海辺の渡し口に立っている
鮑
(
あわび
)
売りの加山
耀蔵
(
ようぞう
)
に何かささやくと、
嬉色
(
きしょく
)
をみなぎらして、すぐにまた、
羅門
(
らもん
)
塔十郎の宿所へ引っ返して行った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち、貞女は両夫にまみえずとの意である。これに反して
鮑
(
あわび
)
を嫌うのは、貝が対になっておらぬからである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
右の睾丸はゆっくりと
鮑
(
あわび
)
が
蠢
(
うご
)
めくように上り下りの運動をするが、左の睾丸はあまり運動する様子がなかった。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蟹
(
かに
)
、
鮑
(
あわび
)
、
蠣
(
かき
)
、次々と持って来るのである。はじめは
怺
(
こら
)
えて黙っていたが、たまりかねて女中さんに言った。
佐渡
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
魚を贈る時にはすべて熨斗(紙を一種異様な形にたたみ、中に
鮑
(
あわび
)
の乾した肉片を入れたもの)をつけない。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
章魚と
鮑
(
あわび
)
は人によるとよく塩で揉む事がありますけれども塩で身が締まってどうしても柔くなりません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
蛸を「テンガイ」といったのはお寺の本堂の天蓋から見立てたことばで、
鮑
(
あわび
)
を「フセガネ」なぞはうまい。玉子を「御所車」、なかに「キミ」が御座るの洒落である。
符牒の語源
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
縁側には、七輪や、
馬穴
(
バケツ
)
や、ゆきひらや、
鮑
(
あわび
)
の
植木鉢
(
うえきばち
)
や、
座敷
(
ざしき
)
は六
畳
(
じょう
)
で、押入れもなければ
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
もない。これが私達三人の落ちついた二階借りの部屋の風景である。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
たとい市中にあってもそれが人家の庭園に
叢生
(
そうせい
)
する場合には、格別の値いあるものとして観賞されないらしいが、ひとたび
鮑
(
あわび
)
の貝に養われて人家の軒にかけられた時
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
磯の岩にはアラメ、カジキ、
鮑
(
あわび
)
もあれば藤壺もある。昨夜、たしかに
海鳥
(
うみどり
)
の声を聞いた。海鳥を食い、磯魚をせせっても、一年や二年は生きのびられぬことはあるまい。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今まで石の下に隠れていた古来からの迷信が
復活
(
よみがえ
)
った。家々の
門
(
かど
)
の柱に赤い紙や、
鮑
(
あわび
)
の
殻
(
から
)
などを吊した。まだ花の咲くに間のある北国の、曇った空の下に吹く風が寒かった。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
海へ入って
鮑
(
あわび
)
だの
心太草
(
ところてんぐさ
)
だの真珠だのを採るばかりでなく、畑の仕事まで一手に引き受けて決して亭主に迷惑を掛けません。それですから私も女房に申すのでございます——
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
唐人敦賀へ来る途上、この島に寄って食物を
儲
(
もう
)
け、
鮑
(
あわび
)
など取る由を委細に載せ居る、これを以て
攷
(
かんが
)
えると秀郷が蜈蚣を射て竜を助けた話も、話中の蜈蚣の眼が火のごとく光ったというも
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
杉田は水中深くもぐりこみました。彼はもと
鮑
(
あわび
)
とりを業としていたので、なかなかうまいのであります。かれこれ三分ほどももぐっていたでありましょうか、やがて彼はしずかに海面に顔だけを
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二階の
襖
(
ふすま
)
に半紙四ツ切程の大きさに複刻した浮世絵の美人画が
張交
(
はりまぜ
)
にしてある。その中には歌麻呂の
鮑
(
あわび
)
取り、
豊信
(
とよのぶ
)
の入浴美女など、
曾
(
かつ
)
てわたくしが雑誌
此花
(
このはな
)
の
挿絵
(
さしえ
)
で見覚えているものもあった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……とまれ、こうしたいかにも昔の日本の素町人みたいな、たとうれば窓辺の
鮑
(
あわび
)
ッ貝に咲く、あの雪の下の花にかも似た感情も、じつは、まだ、我らの感情の、どこかに残ってはいるはずである。
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「君は
鮑
(
あわび
)
のとろろってものを知ってるかい?」
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
大変な
風説
(
うわさ
)
です、地震の前で海があおっと見えまして、この
不漁
(
しけ
)
なこと御覧じやし、
蠣
(
かき
)
、
鮑
(
あわび
)
、鳥貝、
栄螺
(
さざえ
)
、貝ばかりだ、と大
呼吸
(
いき
)
をついております。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは
鮑
(
あわび
)
を取るためでもなければ、人魚の
戯
(
たわむ
)
れといったような
洒落
(
しゃれ
)
た心持でもない。つまり、風呂へ入る代りに、海で色揚げをするのかも知れません。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かれの夫人は、事態を察して、早くも、利家のよろい具足を取揃え、のし
鮑
(
あわび
)
、かち栗などを三方に盛り、出陣の水さかずきを、一室の灯に、
調
(
ととの
)
えていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで
鮑
(
あわび
)
の身のやうに体ぢゆうを引き締めて、固くなつてゐる様が指先に感じられる。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
村の一軒の小さな家の屋根が、
鮑
(
あわび
)
の大きな完全な介殻や、
烏賊
(
いか
)
の甲で被われていたことを覚えている。これ等は食料として海から持って来たもので、殻を屋根の上にのせたのである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
降魔利生
(
ごうまりしょう
)
の鑿は岩から
鮑
(
あわび
)
を
剥
(
は
)
がすよりも楽に、悪性男をあの世へ引渡してしまいました。これは、良いこととは少しも思いません。御仏に仕える身で、まア、私としたことが、何という大罪を
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
外
(
ほか
)
鱒、シビ鮪、鮭、カマス等の肉中には真田虫の原虫を含む。殊に鱒と鮭の生肉を長く食しおれば人の腹中に必ず真田虫を生ず。
鰒
(
ふぐ
)
は卵巣に激毒あり、イナダ、
鰤
(
ぶり
)
、
鮑
(
あわび
)
等は肝臓に毒あり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それから五分間——二人は
鮑
(
あわび
)
のように固くなって、教壇の陰に
潜
(
ひそ
)
んでいた。もうよかろうというので
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る頭をあげて窓の方をみると、窓は明け放しになったままで、もう怪漢の姿がなかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが一向お芽出度く無い事サ、
所謂
(
いわゆる
)
鮑
(
あわび
)
の片思いでネ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
で——その湯口のそばには、江の島の
鮑
(
あわび
)
取りみたいに、「法斎きちがい」を商売にしている鼻ッたらしがウヨウヨ居て、湯鳴りがやむと、黒い手を出して
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悪い
洒落
(
しゃれ
)
です。それに、弁慶に
鮑
(
あわび
)
を取らせたから、鮑は富来の名物だ、と言います。多分七つ道具から思いついたものだろう、と可心もこれには弱っている。……
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まるで
鮑
(
あわび
)
の身のやうに体ぢゆうを引き締めて、固くなつてゐる様が指先に感じられる。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
又私の食膳には Cynthia属に属する、巨大な
海鞘
(
ほや
)
が供され、私はそれを食った。私はちょいちょい、カリフォルニヤ州でアバロンと呼ばれる、
鮑
(
あわび
)
を食う。帆立貝は非常に美味い。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「そいつは飛んだ判じ物だね。
鮑
(
あわび
)
ツ貝か何かなら戀と判ずるが——」
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
... 煮ましょうか、しかし干瓢はなかなか急に
柔
(
やわらか
)
くなりませんね」お登和「イイエ塩で
揉
(
も
)
むと直きに柔く煮えます。章魚や
鮑
(
あわび
)
は塩で揉むと堅くなりますが干瓢は反対で大層柔くなります。大原さん、干瓢を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
島を巡って、
鮑
(
あわび
)
とりの
海女
(
あま
)
を見ていたのである。——と貝細工を売っている土産物屋の軒先から、じっと、三名の背をながめている若党連れの武家の
父娘
(
おやこ
)
があった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「馳走をしねえ、聞かして
遣
(
や
)
ら。二見中の
鮑
(
あわび
)
と鯛を
背負
(
しょ
)
って来や。熱燗熱燗。」と大手をふった。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まるで
鮑
(
あわび
)
の身のように体じゅうを引き締めて、固くなっている様が指先に感じられる。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「そいつはとんだ判じ物だね。
鮑
(
あわび
)
ッ貝か何かなら恋と判ずるが——」
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鮑
(
あわび
)
七三・〇〇 二四・五八 〇・四四 一・九八
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
たとえば酢は東京流の黄色いのを使わないで、白いのを使った。
醤油
(
しょうゆ
)
も、東京人は決して使わない関西の
溜
(
たまり
)
を使い、
蝦
(
えび
)
、
烏賊
(
いか
)
、
鮑
(
あわび
)
等の鮨には食塩を振りかけて食べるようにすすめた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
手籠の中には、海草だの、
蛤
(
はまぐり
)
や
鮑
(
あわび
)
などが売れ残っていた。背なかの児が、時々泣くので、籠を下へ置いては、子をあやし、子が泣きやむと、女房たちへ向って、
商
(
あきな
)
いをせがんでいるふうだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼奴
(
あいつ
)
が片思いになるように
鮑
(
あわび
)
がちょうど可い、と他愛もない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鮑
(
あわび
)
のフクラ
煮
(
に
)
夏 第百七十九 野菜の功
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
………チッツンチッツン、ツン、チンリン、チンリンやしょめ、やしょめ、京の町の
優女
(
やしょめ
)
、………
大鯛
(
おおだい
)
小鯛、
鰤
(
ぶり
)
の
大魚
(
おおうお
)
、
鮑
(
あわび
)
、
栄螺
(
さざえ
)
、
蛤子々々
(
はまぐりこはまぐりこ
)
、蛤々、蛤召ッさいなと、売ったる者は
優女
(
やしょめ
)
。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
鮑
(
あわび
)
か。鮑はいらん。帰りに買ってやる」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鮑
(
あわび
)
のトロロ 夏 第百七十九 野菜の功
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
“鮑”の意味
《名詞》
(あわび)貝の一種、詳細は「あわび」参照。
(出典:Wiktionary)
“鮑(アワビ)”の解説
アワビ(鮑、鰒、蚫、en: abalone æbəˈləʊni)は、ミミガイ科の大型の巻貝の総称。雌雄の判別は外見からではほぼ不可能で、肝ではなく生殖腺の色で見分ける。生殖腺が緑のものがメス で、白っぽいものがオスである。
(出典:Wikipedia)
鮑
漢検1級
部首:⿂
16画
“鮑”を含む語句
鮑貝
鮑叔
管鮑
鮑捕
鮑氏
蒸鮑
打鮑
鮑信
鮑照
鮑魚神
鮑聶
鮑珠
鮑玉
鮑泉
鮑龍
鮑殻
鮑廷博
鮑旭
鮑忠
川鮑魚湯
...