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靴音
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くつおと
ふりがな文庫
“
靴音
(
くつおと
)” の例文
満廷粛として水を打ちたるごとくなれば、その
靴音
(
くつおと
)
は四壁に響き、天井に
※
(
こた
)
えて、一種の恐ろしき音を
生
(
な
)
して、傍聴人の胸に
轟
(
とどろ
)
きぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
格闘者の群れが舗道の石をける
靴音
(
くつおと
)
との合奏を聞かせたり、あるいはまた終巻でアルベールの愛の
破綻
(
はたん
)
と友情の危機を象徴するために
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
重い
靴音
(
くつおと
)
が天井の上を歩いていた。階下には金切声が言い争っていた。そしてたえず四方の壁は、街路を通る乗合馬車の響きに揺れていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
今しも、バイエルタールの部下二人が
靴音
(
くつおと
)
立てて、小屋のまえを通り過ぎていったところを見ると、マヌエラは、彼らの会話を口真似したに違いない。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
靄
(
もや
)
の深い晩なので、Aデッキから、ボオト・デッキに上がり、誰にも見られず、
索具
(
さくぐ
)
の蔭で悲しもうと、近づいて行くと、向うから、
靴音
(
くつおと
)
がきこえて来た。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
しばらくすると、楽屋口の大戸のそとに、大勢の
靴音
(
くつおと
)
がして、何か言いながら、戸を
叩
(
たた
)
きはじめた。それを聞きつけて、道具方の若者が、部屋を飛び出してきた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
待
(
ま
)
つ
程
(
ほど
)
もなく
靴音
(
くつおと
)
高
(
たか
)
く
入
(
い
)
つて
來
(
き
)
たのはまさしく
濱島
(
はまじま
)
! 十
年
(
ねん
)
相
(
あひ
)
見
(
み
)
ぬ
間
(
ま
)
に
彼
(
かれ
)
には
立派
(
りつぱ
)
な
八字髯
(
はちじひげ
)
も
生
(
は
)
へ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夢
(
ゆめ
)
かな‥‥と
思
(
おも
)
ふと、
木
(
き
)
の
空洞
(
うつろ
)
を
叩
(
たた
)
くやうな
兵士達
(
へいしたち
)
の
鈍
(
にぶ
)
い
靴音
(
くつおと
)
が
耳
(
みみ
)
に
著
(
つ
)
いた。——
歩
(
ある
)
いてるんだな‥‥と
思
(
おも
)
ふと、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
知
(
し
)
らない
女
(
をんな
)
の
笑
(
わら
)
ひ
顏
(
がほ
)
が
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にはつきり
見
(
み
)
えたりした。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
靴音
(
くつおと
)
高く、ステッキ打ち振りつつ坂を上り来し武男「失敬、失敬。あ苦しい、走りずめだッたから。しかしあったよ、ステッキは。——う、浪さんどうかしたかい、ひどく
顔色
(
いろ
)
が悪いぞ」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
東京の
午砲
(
どん
)
につゞいて横浜の午砲。
湿
(
しめ
)
った日の電車汽車の
響
(
ひびき
)
。稀に聞く工場の汽笛。夜は北から響く烏山の水車。
隣家
(
となり
)
で
井汲
(
いどく
)
む音。向うの街道を通る行軍兵士の
靴音
(
くつおと
)
や砲車の響。小学校の唱歌。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
百人ちかくの試験官の
見張
(
みは
)
り監督していても、ただ水を打ったように
静寂
(
せいじゃく
)
を極めて、
廊下
(
ろうか
)
の板をふむ巡視の
靴音
(
くつおと
)
さえも聞こえないほど静かで、ほとんど人なきがごとき
様
(
さま
)
であるところの玄関に
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
仕
(
し
)
かへしには
何時
(
いつ
)
でも
來
(
こ
)
い、
薄馬鹿野郎
(
うすばかやらう
)
め、
弱虫
(
よはむし
)
め、
腰
(
こし
)
ぬけの
活地
(
いくぢ
)
なしめ、
歸
(
かへ
)
りには
待伏
(
まちぶ
)
せする、
横町
(
よこてう
)
の
闇
(
やみ
)
に
氣
(
き
)
をつけろと三五
郎
(
らう
)
を
土間
(
どま
)
に
投出
(
なげだ
)
せば、
折
(
をり
)
から
靴音
(
くつおと
)
たれやらが
交番
(
かうばん
)
への
注進
(
ちうしん
)
今
(
いま
)
ぞしる
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しのびやかに歩く見まわり役人の
靴音
(
くつおと
)
と
佩剣
(
はいけん
)
の音。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
その
時
(
とき
)
彼
(
かれ
)
は
背後
(
はいご
)
に
迫
(
せま
)
る
靴音
(
くつおと
)
を
聞
(
き
)
き
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
および
靴音
(
くつおと
)
とに
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この映画の独自な興味は結局太鼓の音と
靴音
(
くつおと
)
とこれに伴なう兵隊の行列によって象徴された特異なモチーフをもって貫かせた楽曲的構成にあると思われる。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
處
(
ところ
)
へ——
靴音
(
くつおと
)
をチヤ/\と
刻
(
きざ
)
んで、
銀杏
(
いてふ
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
なすつたのは、
町内
(
ちやうない
)
の
白井氏
(
しらゐし
)
で、おなじく
夜警
(
やけい
)
の
當番
(
たうばん
)
で
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
折々
(
をり/\
)
當番
(
たうばん
)
の
船員
(
せんゐん
)
が
靴音
(
くつおと
)
高
(
たか
)
く
甲板
(
かんぱん
)
に
往來
(
わうらい
)
するのが
聽
(
きこ
)
ゆるのみである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
大地
(
だいち
)
に
當
(
あた
)
る
靴音
(
くつおと
)
は
生
(
い
)
き
生
(
い
)
きして
高
(
たか
)
く
夜
(
よる
)
の
空氣
(
くうき
)
に
反響
(
はんきやう
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
唯
(
たゞ
)
軒下
(
のきした
)
を
行
(
ゆき
)
かよふ
夜行
(
やこう
)
の
巡査
(
じゆんさ
)
の
靴音
(
くつおと
)
のみ
高
(
たか
)
かりき。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
舗道をあるくルンペンの
靴音
(
くつおと
)
によって深更のパリの裏町のさびしさが描かれたり、林間の沼のみぎわに鳴く
蛙
(
かえる
)
や虫の声が悲劇のあとのしじまを記載するような例がそれである。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
医学士は取るとそのまま、
靴音
(
くつおと
)
軽く歩を移してつと手術台に近接せり。
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
太鼓の描くこの主題の伴奏としてはラッパのほかに兵隊の
靴音
(
くつおと
)
がある。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
靴
常用漢字
中学
部首:⾰
13画
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“靴”で始まる語句
靴
靴足袋
靴下
靴屋
靴脱
靴紐
靴底
靴拭
靴墨
靴尖