開墾かいこん)” の例文
竪穴は風雨の作用塵埃ぢんあい堆積たいせきの爲、自然に埋まる事も有るべく、開墾かいこん及び諸種の土木工事の爲、人爲を以てうづむる事も有るべきものなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
それでかれとほ利根川とねがは工事こうじへもつたのであつた。かれ自分じぶん伎倆うでたのんでる。かれ以前いぜんからもすこしづつ開墾かいこん仕事しごとをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
胆振イブリ長万部オシャマンベ字トナッブ原野ですな。あすこに百町歩ほどの貸下げを道庁に願いでて、新たに開墾かいこんを始めようというんです。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
おまえさんは、そのおかね開墾かいこんして、こまっているひとたちをすくってやりなさるがいい。そうするほうが功徳くどくになります。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
土地とちんで、もうまち成立せいりつわすれ、開墾かいこん当時たうじ測量器具そくりやうきぐなどのをさめた、由緒ゆいしよある稲荷いなりやしろさへらぬひとおほからうか、とおもふにつけても。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そうして有名になって、その野が世に知られ、のちのち開墾かいこんせられて村になってからも、べつに新らしい村名を附けるにおよばなかったであろう。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
寒い話では、鍬の刃先はさきにはさまった豆粒まめつぶを噛みに来た鼠の舌が鍬に氷りついたまゝ死に、鼠をげると重たい開墾かいこんぐわがぶらり下ってもはなれなかった話。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
新たに田畑を開墾かいこんしその持主となって生計を立てて居るその有様は、実に著しい進歩を呈して居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
何処どこの原野の開墾かいこんを引受けてソレで幾らかの運上を納めようとう者もあり、又る時江戸市中の下肥しもごえを一手に任せてその利益を政府にめようではないかと云う説がおこった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
楢沢の平野は良樹りやうじゆ蓊欝おううつとして森林事業にのぞみあり、須原峠字上ヶ原の原野は牧畜ぼくちくよろしく尾瀬の大高原は開墾かいこんするを得べし、此他漸次道路を開通かいつうせば無数の良材木をはこび出す事をべし。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
藤原村の入口の湯檜曾ゆびそ温泉でいろいろ聞いて見たが、平岳だの鶴ヶ岳だのという山は聞いた事がないというている、その中に魚沼地方の人々が主となって銀山平(後に記す)の開墾かいこん事業を起されて
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
勘次かんじ開墾かいこん手間賃てまちん比較的ひかくてき餘計よけいあたへられるかはりにはくぬぎは一つもはこばないはずであつた。彼等かれら伴侶なかまはさういふことをもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ねえさん、ぼくゆきえるのをっているんだよ。そうしたら今年ことしはおとうさんとうらのかややま開墾かいこんして、はたけつくるのだ。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
宮崎君夫婦はもともと一文無いちもんなしで渡道とどうし、関家に奉公中貯蓄ちょちくした四十円を資本とし、ひらけの約束で数年前此原野を開墾かいこんしはじめ、今は十町歩も拓いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「たけに草」の目の覚めるような美しさを見せた西隣の空地は、ほどなく土が古びて再びすすきに占領せられ、今年はいよいよ隣組が開墾かいこんして大根をいてしまった。
講話かうわなどおもひもらなかつたからである。しかししいことをした。いまおもへば、かねて一ぽん用意よういして、前記ぜんき郷土会記録きやうどくわいきろくするところ新渡戸博士にとべはかせの三本木ぼんぎ開墾かいこん講話かうわ朗読らうどくすればかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじ自分じぶん壁際かべぎはにはたきゞが一ぱいまれてある。そのうへ開墾かいこん仕事しごとたづさはつてなんといつてもたきゞ段々だんだんえてくばかりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
先頃も雑木ぞうきを売払って、あとには杉か檜苗ひのきなえを植えることに決し、雑木を切ったあとを望の者に開墾かいこんさせ、一時豌豆や里芋を作らして置いたら、神社の林地なら早々そうそう木を植えろ、畑にすれば税を取るぞ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)