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鄭寧
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ていねい
ふりがな文庫
“
鄭寧
(
ていねい
)” の例文
母はすぐ受取ってタオルで
鄭寧
(
ていねい
)
に拭いて元の着物を着せてやったが、ぐたぐたになった宵子の様子に、ちっとも前と変りがないので
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
といふ藹山の言葉に、初めて気が附いたやうに、その男は
鄭寧
(
ていねい
)
にお辞儀をした。そして顔を上げて相手を見た時
吃驚
(
びつくり
)
した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
鄭寧
(
ていねい
)
に云つて再び
答
(
こたへ
)
を促した。阿母さんは未だ
黙
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。見ると、
晃
(
あきら
)
兄
(
にい
)
さんの
白地
(
しろぢ
)
の薩摩
絣
(
がすり
)
の
単衣
(
ひとへ
)
の
裾
(
すそ
)
を両手で
握
(
つか
)
んだ儘阿母さんは泣いて居る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
俥
(
くるま
)
が一間ばかりの前へ来たときに、俥の上の美しい人が
鄭寧
(
ていねい
)
な
会釈
(
えしゃく
)
をして通りすぎたので、楠緒さんだったということに気がおつきなされたのでした。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鄭寧
(
ていねい
)
な中に強い歯止めのかかって居る老人の取扱いに女は暴れても仕方が無かった。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
この「おおみ」という敬語は、
鄭寧
(
ていねい
)
な言葉でありますが、今では
下様
(
しもさま
)
のものでも軽々しく用いております。我々風情のものの足のことをも、時としては他から「おみあし」などという。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
或晩
(
あるばん
)
竜子は母と一緒に
有楽座
(
ゆうらくざ
)
へ
長唄
(
ながうた
)
研精会の演奏を聞きに行った時廊下の
人込
(
ひとごみ
)
の中で岸山先生を見掛けた。岸山先生は始めて診察に来た時の
無愛想
(
ぶあいそ
)
な態度とはちがって
鄭寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をした。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
主人
(
あるじ
)
のエルは喜んで私を応接間へ
延
(
ひ
)
いて、「過日は別荘の方へ
御立寄
(
おたちより
)
下すったそうでしたが、アノ通りの田舎家で
碌々
(
ろくろく
)
お構い申しも致さんで、
豪
(
えら
)
い失礼しました」と
鄭寧
(
ていねい
)
な挨拶、私は
酷
(
ひど
)
く痛み
入
(
い
)
って
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そのぉ、お砂糖がア、問題なんだね。それ、どうせ印旛沼だ。あっちに一軒、こっちに二、三軒だ。一日がかりだアね。とう、やっと尋ねあてると、吉植です。それはまあ御
鄭寧
(
ていねい
)
さまに、さあどうぞ、さて、そこで砂糖を
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
私は
対手
(
あいて
)
にするのが厭で
鄭寧
(
ていねい
)
にいうと
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ここのうちは、いか銀よりも
鄭寧
(
ていねい
)
で、親切で、しかも上品だが、
惜
(
お
)
しい事に食い物がまずい。昨日も芋、
一昨日
(
おととい
)
も芋で今夜も芋だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「私は房州
某寺
(
なにがしでら
)
の住職でござるが、先生の
御作
(
ごさく
)
を戴いて、永く寺宝として
後
(
のち
)
に伝へたいものだと存じますので。」と
所禿
(
ところはげ
)
のある頭を
鄭寧
(
ていねい
)
に下げた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
並
(
なみ
)
の
状袋
(
じょうぶくろ
)
にも入れてなかった。また並の状袋に入れられべき分量でもなかった。半紙で包んで、封じ目を
鄭寧
(
ていねい
)
に
糊
(
のり
)
で
貼
(
は
)
り付けてあった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さあ、差し当つて……」司令官は
労
(
いた
)
はるやうな眼附で、老人の下士を見かへつた。そして不思議な程
鄭寧
(
ていねい
)
な言葉つきで言つた。「差し当つて用事といつては無いやうです。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
急に静かになった食堂を見廻した叔父は、こう云って白服のボイに
訊
(
き
)
いた。ボイは彼の前に温かい皿を置きながら、
鄭寧
(
ていねい
)
に答えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこへ入つて来た福来博士は
吃驚
(
びつくり
)
して
艶々
(
つや/\
)
した夫人の顔を見てゐたが、
漸
(
やつ
)
とそれが自分の最愛の妻だと判ると、実験心理学でごちや/\になつた頭を
鄭寧
(
ていねい
)
に下げてお辞儀を一つした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「アハハハ君は刑事を大変尊敬するね。つねにああ云う
恭謙
(
きょうけん
)
な態度を持ってるといい男だが、君は巡査だけに
鄭寧
(
ていねい
)
なんだから困る」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頭取はかう言つて、それが蔵相のお蔭ででもあるやうに
鄭寧
(
ていねい
)
に頭を下げたが、その一刹那、何か難かしい漢語でも使つて、自分が一ぱし
物識
(
ものしり
)
だといふ事を、居合はす皆の前で吹聴したかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
頃
(
ころ
)
の新聞は実際
田舎
(
いなか
)
ものには日ごとに待ち受けられるような記事ばかりあった。私は父の枕元に坐って
鄭寧
(
ていねい
)
にそれを読んだ。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
亜米利加の前大統領タフト氏が、
先日
(
こなひだ
)
ある街の四辻で、自動車からのつそりとあの大きな図体を運び出すと、
其処
(
そこ
)
に立つてゐた八つ
許
(
ばか
)
りの子供が前に出て来て、
鄭寧
(
ていねい
)
にお辞儀をするのに
出会
(
でくは
)
した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
玄関の
格子
(
こうし
)
を開ける音と共に、台所の方から
駈
(
か
)
け出して来たお時は、彼女の予期通り「お帰り」と云って、
鄭寧
(
ていねい
)
な頭を畳の上に押し付けた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うむ、よし/\。」
老
(
としよ
)
つた化学者は娘の言ひなり通り、さくらんぼを一つ
宛
(
づつ
)
鄭寧
(
ていねい
)
に丼の水で洗つて食べてゐたが、暫くすると籠のなかは空つぽになつた。すると化学者は手を伸ばして丼を取上げた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昇るものは、昇りつつある自覚を抱いて、
降
(
くだ
)
りつつ夜に行くものの前に
鄭寧
(
ていねい
)
な
頭
(
こうべ
)
を惜気もなく下げた。これを神の作れるアイロニーと云う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
亭主は
鄭寧
(
ていねい
)
にお辞儀をした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それを奥の
茶箪笥
(
ちゃだんす
)
か何かの
抽出
(
ひきだし
)
から出して来た奥さんは、白い半紙の上へ
鄭寧
(
ていねい
)
に重ねて、「そりゃご心配ですね」といった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「教頭は角屋へ泊って
悪
(
わ
)
るいという規則がありますか」と赤シャツは
依然
(
いぜん
)
として
鄭寧
(
ていねい
)
な言葉を使ってる。顔の色は少々蒼い。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時は僕もだいぶ
大人
(
おとな
)
らしくなっていたので、静かにその問題を取り上げて、裏表から
鄭寧
(
ていねい
)
に
吟味
(
ぎんみ
)
する
余裕
(
よゆう
)
ができていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まのあたり見る父は
鄭寧
(
ていねい
)
であった。この二つのものが健三の自然に圧迫を加えた。積極的に
突掛
(
つっかか
)
る事の出来ない彼は控えなければならなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
部屋のなかは少し暗くなって、前の時より見にくく、なったから、とうとう
椽鼻
(
えんばな
)
へ出て
腰
(
こし
)
をかけながら
鄭寧
(
ていねい
)
に拝見した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はまるで身分の懸隔でもある人の前へ出たような様子で、
鄭寧
(
ていねい
)
に頭を下げた。言葉遣も
慇懃
(
いんぎん
)
を
極
(
きわ
)
めたものであった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はその不規則な筋を指の先でざらざら
撫
(
な
)
でて見た。けれども今更
鄭寧
(
ていねい
)
に
絡
(
から
)
げたかんじん
撚
(
より
)
の結び目を
解
(
ほど
)
いて、一々中を
検
(
あら
)
ためる気も起らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「只今御宅へ伺いましたところで、ちょうどよい所で御目にかかりました」と
藤
(
とう
)
さんは
鄭寧
(
ていねい
)
に頭をぴょこつかせる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は転がった
花瓶
(
はないけ
)
を元の位置に直して、
摧
(
くだ
)
けかかった花を
鄭寧
(
ていねい
)
にその中へ
挿
(
さ
)
し込んだ。そうして今までの
頓興
(
とんきょう
)
をまるで忘れた人のように澄まし返った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
とん子は驚ろく
景色
(
けしき
)
もなく、こぼれた飯を
鄭寧
(
ていねい
)
に拾い始めた。拾って何にするかと思ったら、みんな御はちの中へ入れてしまった。少しきたないようだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古
(
いにしえ
)
の人は
顎
(
あご
)
の下まで影が薄い。一本ずつ吟味して見ると先生の髯は一本ごとにひょろひょろしている。小野さんは
鄭寧
(
ていねい
)
に帽を脱いで、無言のまま
挨拶
(
あいさつ
)
をする。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると俥が私の一間ばかり前へ来た時、突然私の見ていた美しい人が、
鄭寧
(
ていねい
)
な
会釈
(
えしゃく
)
を私にして通り過ぎた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「宵子さんかんかん
結
(
い
)
って上げましょう」と云って、千代子は
鄭寧
(
ていねい
)
にその縮れ毛に
櫛
(
くし
)
を入れた。それから乏しい
片鬢
(
かたびん
)
を一束
割
(
さ
)
いて、その根元に赤いリボンを
括
(
くく
)
りつけた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼が私を庭の
木立
(
こだち
)
の前に立たして、レンズを私の方へ向けた時もまた前と同じような
鄭寧
(
ていねい
)
な調子で、「御約束ではございますが、少しどうか……」と同じ言葉を
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
した。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一人は
鄭寧
(
ていねい
)
な手紙を書いて、面会の時間を
拵
(
こしら
)
えてくれと注文して来た。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相手の調子がいかにも
鄭寧
(
ていねい
)
で親切だから——つい泣きたくなった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小野さんは帽子のまま
鄭寧
(
ていねい
)
に
会釈
(
えしゃく
)
した。両手は
塞
(
ふさ
)
がっている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鄭
漢検準1級
部首:⾢
15画
寧
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
“鄭”で始まる語句
鄭重
鄭
鄭玄
鄭文
鄭泰
鄭和
鄭天寿
鄭成功
鄭人
鄭宝