“路(ぢ)” の例文
本石町の小西と淺沼(あさぬま)、今川小路(ぢ)の進(しん)々堂(どう)——それらが當(とう)時の有(ゆう)名な店(みせ)だつたが、とにかく東京(けう)にも寫眞器屋(しやしんきや)などはまだ數(かぞ)へるほどしかなかつたやうに思(おも)ふ。
左樣の人なるか某(それがし)も此度據(よんどころ)なき事にて九州へ下るなれ共此用向の濟(すみ)次第(しだい)に是非とも關東(くわんとう)へ下向の心得なれば其節(そのせつ)は立寄申べしと契約(けいやく)し其場は別(わかれ)たり扨(さて)寶澤は九州路(ぢ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「親分には御存じの無いことでせうが、戀の通ひ路(ぢ)は、遠く淋しいほど面白いもので、ヒ、ヒ、ヒ」
客は結城朝之助(ゆふきとものすけ)とて、自ら道楽ものとは名のれども実体(じつてい)なる処折々に見えて身は無職業妻子なし、遊ぶに屈強なる年頃なればにやこれを初めに一週には二三度の通ひ路(ぢ)
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天(てん)の神様、高天(たかま)の大御祖(おほみおや)教へ給へと祈るにも、国中(なか)は国低し。山々も尚天に遠し。大和の国とり囲む青垣山では、この二上、山空行く雲の通(かよ)ひ路(ぢ)と昇り立つて、祈りました。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
唄〽あづま路(ぢ)に、あはれを殘す梅若の、雨をなみだと誰(た)が云ひし、戀のあはれは虎が雨。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
又一時近くなるほどに、温習に往きたる日には返り路(ぢ)によぎりて、余と倶(とも)に店を立出づるこの常ならず軽き、掌上(しやうじやう)の舞をもなしえつべき少女を、怪み見送る人もありしなるべし。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「海(うみ)つ路(ぢ)の和(な)ぎなむ時も渡らなむかく立つ浪に船出すべしや」(巻九・一七八一)、「たらちねの母に障(さは)らばいたづらに汝(いまし)も吾も事成るべしや」(巻十一・二五一七)等である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
初君が哥に「ものおもひこし路(ぢ)の浦(うら)の白浪(しらなみ)も立かへるならひありとこそきけ」此哥吉瑞(きちずゐ)となりてや、五年たちてのち嘉元(かげん)元年為兼卿皈洛(きらく)ありて、九年の後(のち)正和元年玉葉集(ぎよくえふしふ)を撰(えらみ)の時
心のうちでは貫之(つらゆき)朝臣(あそん)が「糸に縒(よ)るものならなくに別れ路(ぢ)は心細くも思ほゆるかな」
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
逢ひ見しとにはあらなくに、別れ路(ぢ)つらく覺ゆることの、我れながら訝(いぶか)しさよ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
『その時は世にあつた時と同じやうに、いろいろと浮世のことをきかせて下さるでせうね。そしたら何んなにかうれしいでせうね。そして私は私でよみ路(ぢ)のことをいろいろとお話ししませうね……』
あさぢ沼 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
『……やーみ路(ぢ)をー、てーらせりー、かーみはーあーいーなりー。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
馬酔木(あしび)咲く春日の宮の参(まゐ)り路(ぢ)を蝙蝠傘(かうもり)催合(もや)ひ子ら日暮なり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
君今いのちのかよひ路(ぢ)馳せゆくとき
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
著(いちじ)るき山路(ぢ)を指(さ)すを知らむ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
都(みやこ)おほ路(ぢ)も數(かぞ)へ日(び)に
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
急げば二日路(ぢ)。
客(きやく)は結城朝之助(ゆふきとものすけ)とて、自(みづか)ら道樂(だうらく)ものとは名(な)のれども實体(じつてい)なる處(ところ)折々(をり/\)に見(み)えて身(み)は無職業(むしよくげふ)妻子(さいし)なし、遊(あそ)ぶに屈強(くつきやう)なる年頃(としごろ)なればにや是(こ)れを初(はじ)めに一週(しゆう)には二三度(ど)の通(かよ)ひ路(ぢ)
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
初君が哥に「ものおもひこし路(ぢ)の浦(うら)の白浪(しらなみ)も立かへるならひありとこそきけ」此哥吉瑞(きちずゐ)となりてや、五年たちてのち嘉元(かげん)元年為兼卿皈洛(きらく)ありて、九年の後(のち)正和元年玉葉集(ぎよくえふしふ)を撰(えらみ)の時
別れ路(ぢ)に添へし小櫛をかごとにてはるけき中と神やいさめし
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)
風透(とほ)る廣き芝生の參(まゐ)り路(ぢ)は玉敷きならし目もすまの照り
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
行くさきをはるかに祈る別れ路(ぢ)にたへぬは老いの涙なりけり
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
風透(とほ)る広き芝生の参(まゐ)り路(ぢ)は玉敷きならし目もすまの照り
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
墓地の迷ひ路(ぢ)、間(あひ)の辻
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)