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荒
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あば
ふりがな文庫
“
荒
(
あば
)” の例文
悉
(
ことごと
)
く
荒
(
あば
)
れ出して、雲を呼び雨を降らす——さればこそ竜神の社は、竜神村八所の
鎮
(
しず
)
めの神で、そこに
籠
(
こも
)
る
修験者
(
しゅげんじゃ
)
に人間以上の力があり
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兄の留守のまに、お柳は時々
荒
(
あば
)
れ出して、年
老
(
と
)
った母親をてこずらせた。近所から寄って来た人々と力を
協
(
あわ
)
せて、母親はやっと娘を柱に縛りつけた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それはその町に一人の
鰥夫
(
やもめ
)
の肺病患者があって、その男は病気が重ったままほとんど手当をする人もなく、一軒の
荒
(
あば
)
ら家に捨て置かれてあったのであるが
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
猶奴
(
ジュウ
)
のやつが自分の
荒
(
あば
)
ら
家
(
や
)
の戸を閉めきつて、長持の中の銭を一とほり勘定し終つてから、上掛けをかぶつて
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
学校における成績も中等で、同級生のうち、彼よりも
優
(
すぐ
)
れた少年はいくらもいた。また彼はかなりの
腕白者
(
わんぱくもの
)
で、僕らといっしょにずいぶん
荒
(
あば
)
れたものである。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
そこで
断
(
ことわ
)
っておくが、ここには、黒死舘風景はないんだぜ。豪華な大画
舫
(
ほう
)
や、
綺
(
きら
)
びやかな
鯨骨を張った下袴
(
ファシング・スカート
)
などが、この
荒
(
あば
)
ら家のどこから現われて来るもんか。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
家中
(
いえじゅう
)
の女共も同じ事、
誰
(
た
)
れか狐に喰いつかれはしまいか。お狐様は
家
(
うち
)
の中まで
荒
(
あば
)
れ込んで来はしまいか。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生憎
(
あいにく
)
女の来ようがおそかった。怒った彼れには我慢が出来きらなかった。女の小屋に
荒
(
あば
)
れこむ勢で立上ると彼れは白昼大道を行くような足どりで、
藪道
(
やぶみち
)
をぐんぐん歩いて行った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
荒
(
あば
)
ら屋中の荒ら屋だ、
頓
(
やが
)
て塔へ上る階段の許まで行くと、四辺が薄暗くて黴臭く
芥
(
ごみ
)
臭く、如何にも幽霊の出そうな所だから、余は此の屋敷に就いての一番新しい幽霊話を思い出した
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
寂しい
荒
(
あば
)
ら屋で物思いをばかりして暮らす朝夕の生活に飽いていて、深くも考えずに、源氏の縁のかかった所に生活のできることほどよいこともないようにこれまでから
焦
(
こが
)
れていて
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それに満だって和女がこんな好い娘になっている事は知るまいし、いつぞやの夏休みに帰って来た時分和女はまだ男の子と一緒に真黒になって
荒
(
あば
)
れていたからこんなに変ろうとは思うまい。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼の西乃入の牧場を
荒
(
あば
)
れ廻つて、丑松の父を突殺した程の悪牛では有るが、
斯
(
か
)
うした
潔
(
いさぎよ
)
い臨終の
光景
(
ありさま
)
は、又た人々に
哀憐
(
あはれみ
)
の情を
催
(
おこ
)
させた。叔父も、丑松もすくなからず胸を打たれたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
女はその儘
荒
(
あば
)
らな板敷のうえにいつまでも泣き伏していた。……
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「あれはわしの呼んだ客じゃ。汁講は男ばかりと限ってもおるまい。女のなきは、梅の月のないようなもの。面々が余りに虎になって
荒
(
あば
)
れぬよう呼んだ
女子
(
おなご
)
じゃ。……しかしその女子がひとりのはずだが、あとは誰かな?」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酔
(
ゑ
)
ひて
荒
(
あば
)
れしそのかみの友
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やっている連中を見ると、だらしなく参るのや、勢いこんで猛牛の如く
荒
(
あば
)
れ廻るのや、先後の順も、上下の区別も血迷ってしまっているのが多い。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
所謂
(
いわゆ
)
る富岡先生の暴力
益々
(
ますます
)
つのり、二六時中富岡氏の
顔出
(
かおだし
)
する時は全く無かったと言って
宜
(
よろ
)
しい位、恐らく夢の
中
(
うち
)
にも富岡先生は
荒
(
あば
)
れ廻っていただろうと思われる。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それはさて、よく祭礼の前夜などに、堅気な人たちがこの蜜蜂飼の
荒
(
あば
)
ら
家
(
や
)
へお客にやつて来て、卓をかこんで席につく——さうなつたら、ただもう耳を澄まして聴き入るよりほかはないて。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:02 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「娘を死なせました母親がよくも生きていられたものというように、運命がただ恨めしゅうございますのに、こうしたお使いが
荒
(
あば
)
ら屋へおいでくださるとまたいっそう自分が恥ずかしくてなりません」
源氏物語:01 桐壺
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「御亭主殿が
気狂
(
きちが
)
いになった、御亭主殿が気狂いになって脇差を抜いて
荒
(
あば
)
れ出した、だれかれの見さかいなく人を斬りはじめた、危ない、逃げろ!」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その日は日曜で僕は四五人の学校仲間と
小松山
(
こまつやま
)
へ出かけ、戦争の
真似
(
まね
)
をして、我こそ秀吉だとか義経だとか、十三四にもなりながらばかげた
腕白
(
わんぱく
)
を働らいて大あばれに
荒
(
あば
)
れ
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その光で、あたりの光景が
紅
(
べに
)
を流したように明るくなりました。そこに
一箇
(
ひとり
)
の囚徒が
阿修羅
(
あしゅら
)
のように
荒
(
あば
)
れています。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この道場というは四
間
(
けん
)
と五間の
板間
(
いたのま
)
で、その以前豊吉も小学校から帰り路、この家の
少年
(
こども
)
を餓鬼大将として
荒
(
あば
)
れ回ったところである。さらに維新前はお
面
(
めん
)
お
籠手
(
こて
)
の
真
(
まこと
)
の道場であった。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
あの金蔵という奴が
荒
(
あば
)
れ出したな——こうと知ったら、もう少し
手厳
(
てきび
)
しく
戒
(
いまし
)
めておけばよかったと思いました。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あれ、また、あんなに鷲の子が
荒
(
あば
)
れ出しました、籠をこわしてしまやしないかしら、友さん、どうかして頂戴、籠をこわして飛び出されては大変ですから」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
相当に馬を
譴責
(
けんせき
)
することでしょう——もし、乱暴の主人でしたなら、危険の
虞
(
おそ
)
れある
荒
(
あば
)
れ馬として、売り飛ばすか、つぶしにすることか知れたものではない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
誰も相手にしないで罵るだけ罵らせ、
荒
(
あば
)
れるだけ荒れさせて、その
醒
(
さ
)
める時まで
抛
(
ほう
)
っておくのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
落武者は十一人と数が知れても、それが
死物狂
(
しにものぐる
)
いに
荒
(
あば
)
れる時は危険の程度が測られない、新八郎が惣太に火薬を授けたのは、その辺の遠慮から出た計画と見える。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殿様は
生皮
(
いきがわ
)
を
剥
(
む
)
けとおっしゃるが、このくらいの奴に
荒
(
あば
)
れられると、生皮を剥くにはかなり骨が折れる。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
濁声
(
だみごえ
)
はいよいよ濁り、調子はいよいよ割れ出し、ダンスの足踏みは盛んに
荒
(
あば
)
れ出したものであります。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれども、
今宵
(
こよい
)
に限って誰もお危のうございますと言って止める者はありません。
荒
(
あば
)
れ出した神尾主膳は、この手槍で真一文字に庭の石燈籠へ突っかけて行きました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お角はいよいよ
荒
(
あば
)
れます。お絹は少しもひるみません。お松がもてあましているところへ折よく
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なんでも一気にこの御番所へ
荒
(
あば
)
れこんで、火をつけてしまえ、ということだったそうでございますが、なかに、この御番所には
大筒
(
おおづつ
)
がある、大筒をブッ放されてはたまらない
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでは薩摩屋敷の
荒
(
あば
)
れ
者
(
もの
)
の采配を振っているのは益満という男か、その益満という男は、どんな男であろうと、忠作は益満という名を、しっかりと頭の中へ刻みつけました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いくら
荒
(
あば
)
れても、
俯向
(
うつむ
)
きに落ちたところを上から押しつぶされたのだから動きが取れないでいるうちに、演芸用の綱渡りの綱を持って来てグルグルと縛って難なくこれも
生捕
(
いけどり
)
。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お角に抱き留められた神尾主膳は、例の酒乱が
兆
(
きざ
)
して
荒
(
あば
)
れ出すかと思うと、そうでなく
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今は怪我をしねえようにそっと突いていてやるんだ、穂をつけてから、米友がほんとうに
荒
(
あば
)
れ出したら、いちいち突き殺して、この河原を裸虫で埋めるようなことになるからそう思え。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
米友の
網竿
(
あみざお
)
は恐ろしい、死物狂いになって真剣に
荒
(
あば
)
れ出されてはたまらない、
深傷
(
ふかで
)
、
浅傷
(
あさで
)
の
槍創
(
やりきず
)
を負って逃げ
退
(
の
)
くもの数知れず、米友は無人の境を行くように槍を突っかけて飛び廻る。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
熊はさんざんに
荒
(
あば
)
れ、人はさんざんに蹂躙し合って、名状すべからざる混乱状態を現わしているうちに、道庵の姿も、いつのまにか演壇から没して、逃げたのか、つまみ出されたのか
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
またいくら米友が
荒
(
あば
)
れてみたところで、
楓
(
かえで
)
の木に
結
(
ゆわ
)
いつけられている建具屋の平吉が
赦
(
ゆる
)
さるべきものでもなく、かえって米友が荒れれば荒れるほど、平吉の罪も重くなるというものでしょう。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さいぜんのように
荒
(
あば
)
れ出して始末にいかねえ、なんとか面白い工夫はないか
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それより以後におけるムク犬の
荒
(
あば
)
れ方は、縦横無尽というものであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
急に
獣
(
けだもの
)
のように
荒
(
あば
)
れ出して、わたしの体をおっかぶせてしまいましたから、わたしは声を立てることも、息をすることもできません、けれども、この悪い獣のような奴が誰だかということは
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
動くというよりは
寧
(
むし
)
ろ、長持そのものが
荒
(
あば
)
れ出したように見えました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
間毎間毎を
荒
(
あば
)
れ廻って、そうして庭へ下りた、大勢に囲まれた、幾人か切ったに相違ない、血もついている、それから鉄砲という声が聞えたようだ、それを聞くと庭の大きな松の樹にかけ上った
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
落着いていたが
荒
(
あば
)
れる時は近藤以上に荒れる。怨みはよく覚えていて、根に持っていつまでも忘れない。近藤は
御
(
ぎょ
)
し
易
(
やす
)
し土方は御し
難
(
がた
)
しと
有司
(
ゆうし
)
も怖れていた。隊長の芹沢は性質がことに
僻
(
ねじ
)
けていた。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それとても不思議はない、鼠が中で
荒
(
あば
)
れ廻っているからです。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それ
荒
(
あば
)
れ出した、怪我をするな」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
“荒”を含む語句
荒廃
荒野
荒海
荒男
荒神
荒磯
荒涼
荒寥
荒地
荒魂
吹荒
荒蕪地
荒増
荒凉
荒立
荒熊
荒天
荒庭
荒甲
荒唐無稽
...