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苗字
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みょうじ
ふりがな文庫
“
苗字
(
みょうじ
)” の例文
町人ながら諸大名の御用達を勤め、
苗字
(
みょうじ
)
帯刀
(
たいとう
)
まで許されている玉屋金兵衛は、五十がらみの分別顔を心持
翳
(
かげ
)
らせてこう切出しました。
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香炉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すでに平民へ
苗字
(
みょうじ
)
・乗馬を許せしがごときは
開闢
(
かいびゃく
)
以来の一
美事
(
びじ
)
、士農工商四民の位を一様にするの
基
(
もとい
)
ここに定まりたりと言うべきなり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それに
苗字
(
みょうじ
)
は変ってましょう、
髭
(
ひげ
)
なぞが生えてる、見違えて
了
(
しま
)
いましたネ。実は西君が来ると言いますから、S君などと散々悪口を
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大村は篤介の
苗字
(
みょうじ
)
だった。広子は「大村の」に微笑を感じた。が、一瞬間
羨
(
うらや
)
ましさに似た何ものかを感じたのも事実だった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中積船が来たら
托送
(
たくそう
)
しようと、同じ
苗字
(
みょうじ
)
の女名前がその
宛
(
あて
)
先きになっている小包や手紙が、彼等の荷物の中から出てきた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
木村とやらん
苗字
(
みょうじ
)
を聞くだに始ての事にて候ものをと申ければ、其後勝野吾作と交りしや否やと一、二の尋問ありしのみ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と私の
苗字
(
みょうじ
)
を云った。それはたしかに弘光君であった。私はそこでついすると二人は東京にいるのではないかと思った。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
時々は間違えて
苗字
(
みょうじ
)
と名前を
顛倒
(
てんどう
)
して、石井町子嬢とも呼んだ。すると看護婦は首を
傾
(
かし
)
げながらそう改めた方が好いようでございますねと云った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もとより手前はやくざ、生れ故郷は
東潞
(
とうろ
)
州でござんす。
苗字
(
みょうじ
)
は
劉
(
りゅう
)
、名は
唐
(
とう
)
、と申しましても、それは顔も知らないうちに死に別れた親のくれた名。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苗字
(
みょうじ
)
をまちがえたり、用向きをまちがえて取り次いだりしたために、約束してこられたお客様を断わったりするような
粗忽
(
そこつ
)
のおこることもあります。
女中訓
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
大東
(
おおひがし
)
という
苗字
(
みょうじ
)
だったから、そこを利かせたんだ。それから小使の爺さんが禿げていた。此奴も斑だらけだったから、校長の東に対して、西半球とつけた
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「お前株内や株内や云うけど、
苗字
(
みょうじ
)
が一緒やで株内やと定ってまいが、それに自分勝手に私とこへ連れて来て、たちまちわしとこが迷惑するやないか。」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
川延源兵衛
(
かわのべげんべえ
)
と
苗字
(
みょうじ
)
をゆるされた旧家の三女で、名をお直といい十七歳だった、嫁の実家が庄屋に次ぐ旧家なので、三人のなかでもとりわけ彼は騒がれたし
蜆谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
新しい門の柱には、お増の
苗字
(
みょうじ
)
などが記されて、広小路にいた時分、よそから貰った犬が一匹飼われてあった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先代が頂戴の名を附けて居ては成らぬと云うので、信州水内郡の水と白島村の島の字を取って
苗字
(
みょうじ
)
に致し、これに父の旧名太一を
名告
(
なの
)
って水島太一と致したが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
スウルヂェエにしろ、ジネストにしろ、いずれも誰にも知られない平民的な
苗字
(
みょうじ
)
で目下自分の交際している貴夫人何々の名に比べてみれば、すこぶる殺風景である。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
終
(
つい
)
には尊敬されて名主ともなり、また幕府からも大いに
賞
(
ほ
)
められて、
苗字
(
みょうじ
)
、
佩刀
(
はいとう
)
をも許されました。
伊能忠敬
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
父は米次郎といった人で、維新前までは、霊岸島に店を構えて、諸大名がたのお金
御用達
(
ごようたし
)
を勤めていた。
市人
(
いちびと
)
でも、
苗字
(
みょうじ
)
帯刀を許されていたほどの家がらだったそうである。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
洞川
(
どろかわ
)
という谷底の村に、今では五鬼何という
苗字
(
みょうじ
)
の家が五軒あり、いわゆる山上参りの
先達職
(
せんだつしょく
)
を世襲し
聖護院
(
しょうごいん
)
の法親王御登山の案内役をもって、一代の
眉目
(
びもく
)
としておりました。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
椿岳及び寒月が淡島と名乗るは維新の新政に
方
(
あた
)
って町人もまた
苗字
(
みょうじ
)
を戸籍に登録した時、屋号の淡島屋が世間に通りがイイというので淡島と改称したので、本姓は
服部
(
はっとり
)
であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しばらく
眸
(
め
)
を合わせたまま、彼は、
苗字
(
みょうじ
)
をけんめいに思い出そうとしていた。でも、思い出せたのは、薄いベニヤ板に黒ペンキで書かれた、「好文社」という文字でしかなかった。
十三年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
余がかつて経験するところによるに、ある人の
苗字
(
みょうじ
)
を知りて実名を忘れたることあり。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
名前はコンスタンチェとして、その下に書いた
苗字
(
みょうじ
)
を読める位に消してある。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
苗字
(
みょうじ
)
のないという子がいるので聞いてみると
木樵
(
きこり
)
の子だからと言って村の人は当然な顔をしている。小学校には生徒から名前の呼び棄てにされている、薫という村長の娘が教師をしていた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
あげて飛び出して来た若い女がいたがネ、それがなんでも生みの母親とか云っていたが家出している女らしかった。父親というのは徳島の安宅村に住んでいるとか云ったが、その
苗字
(
みょうじ
)
は……
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二度目にこの男と
逢
(
あ
)
いましたのは、それから三日後のことでありまして、名古屋お城下は
水主町
(
かこまち
)
、尾張様御用の船大工の
棟梁
(
とうりょう
)
、
持田
(
もちだ
)
という
苗字
(
みょうじ
)
を許されている八郎右衛門というお方の台所口で。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
母は
侍僕頭
(
じぼくがしら
)
に向って、
隣
(
となり
)
へ引っ越して来たのは誰かと
尋
(
たず
)
ねたが、
公爵夫人
(
こうしゃくふじん
)
ザセーキナという
苗字
(
みょうじ
)
を耳にすると、まんざら敬意のないでもない調子で、まず「まあ! 公爵夫人……」と言ったが
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
それから
苗字
(
みょうじ
)
を
深中
(
ふかなか
)
と
名告
(
なの
)
って、酒井家の下邸
巣鴨
(
すがも
)
の山番を勤めた。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お高の父は、深川の
古石場
(
ふるいしば
)
に住んでいた御家人だったが、母は、柘植という町医の娘であった。あまりない
苗字
(
みょうじ
)
なので、一空和尚は、母方の何かに当たるのではないかと、ちょっとそんな気がした。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
クレーン(
鶴
(
つる
)
)という
苗字
(
みょうじ
)
は彼の容姿にぴったりしていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「私の亭主の
苗字
(
みょうじ
)
さ」と言って、女は無理に笑顔を作る。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
苗字
(
みょうじ
)
は
湯
(
とう
)
、名は
隆
(
りゅう
)
、つまり
湯隆
(
とうりゅう
)
という者で、父はもと
延安府
(
えんあんふ
)
の
軍寨
(
ぐんさい
)
長官だったそうだが、軍人の子にもやくざは多い。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こりゃおれたちの時代に藩から
苗字
(
みょうじ
)
帯刀を許したぐらいのことじゃ済むまいぞ。王政御一新はありがたいが、飛んだところに
禍
(
わざわ
)
いの根が残らねばいいが。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこを少し行って、大通りを例の細い往来へ切れた彼は、何の苦もなくまた
名宛
(
なあて
)
の
苗字
(
みょうじ
)
を
小綺麗
(
こぎれい
)
な二階建の一軒の
門札
(
もんさつ
)
に
見出
(
みいだ
)
した。彼は玄関へかかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「清水和助という町一番の大地主で、
苗字
(
みょうじ
)
まで名乗る家の
掛
(
かか
)
り
人
(
うど
)
、お夏という十八になる娘が盗まれましたよ」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
銀次というのか銀太というのか、あるいは銀造とでもいうのか、
苗字
(
みょうじ
)
も正しい名もわからない。この土地では一般にそういうことに興味をもつ者はいないようだ。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
是れから其の修行者は剣術も心得て居るだろうから当家へ抱えろという事になって、これまで
桜川
(
さくらがわ
)
の庵室に居ったから
苗字
(
みょうじ
)
を櫻川と云って五十石にお抱えに成ったが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
均平はここでの習慣になっている「お父さん」をいやがるので、皆は
苗字
(
みょうじ
)
を呼ぶことにしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分の
苗字
(
みょうじ
)
が呼ばれても、私は一ぺんでもってそれに返事をした事はなかった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
わたしは
甚内
(
じんない
)
と云うものです。
苗字
(
みょうじ
)
は——さあ、世間ではずっと前から、
阿媽港甚内
(
あまかわじんない
)
と云っているようです。阿媽港甚内、——あなたもこの名は知っていますか? いや、驚くには及びません。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこには今でも
越石
(
こしいし
)
だの熱田だのという
苗字
(
みょうじ
)
の家があります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「うむ、あれは死んだ種子さんの
苗字
(
みょうじ
)
を拝借したのさ。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
先方
(
むこう
)
の
苗字
(
みょうじ
)
は何といいますの?」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
大江山は捜査課長の
苗字
(
みょうじ
)
だった。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
以後
苗字
(
みょうじ
)
をあらため、一層志を磨き、
疎巾単衣
(
そきんたんい
)
、ただ一剣を帯びて諸国をあるき、識者につき、先輩に学び、浪々幾年かのあげく、
司馬徽
(
しばき
)
の門を叩き
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一度は一代
苗字
(
みょうじ
)
帯刀、一度は永代苗字帯刀、一度は藩主に
謁見
(
えっけん
)
の資格を許すとの書付を贈られていたくらいだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
色に
因縁
(
ゆかり
)
のある
苗字
(
みょうじ
)
か屋号を持っているのはいないか、——これだけの事を、
一刻
(
いっとき
)
のうちに
捜
(
さぐ
)
らせてくれ。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
真白
(
まっしろ
)
な
名札
(
なふだ
)
が立って、それには MISS のついた
苗字
(
みょうじ
)
が二つ書いてあったっけ。……そう、その一方が確か MISS SEYMORE という名前だったのを私は今でも覚えている。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
命を捨てゝも浪島の
苗字
(
みょうじ
)
が大切と
思召
(
おぼしめ
)
し、御老体の身の上で
我子
(
わがこ
)
を思う処から、餓死しても貴方の身を立てさせたいと思召す、それに貴方が御孝心ゆえ左様に御心配なさるのでしょう、宜しい
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
苗字
(
みょうじ
)
はなんというんです」と押返して尋ねると、苗字は知らないが平五郎さんで、平五郎さんていえば近所じゅうどこでも知ってるから、苗字なんかなくっても、とどくのに違いないと保証する。
水の三日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“苗字(
名字
)”の解説
名字または苗字(みょうじ、英語: surname)は、日本の家(家系、家族)の名のこと。法律上は氏(民法750条、790条など)、通俗的には姓(せい)ともいう。
(出典:Wikipedia)
苗
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
字
常用漢字
小1
部首:⼦
6画
“苗字”で始まる語句
苗字帯刀
苗字帶刀
苗字帯刀御免