色氣いろけ)” の例文
新字:色気
だがのいづれの相乘あひのりにも、ひとしくわたしくわんせざることふまでもない。とにかく、色氣いろけいさゝ自棄やけで、おだやかならぬものであつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お時はしたゝるやうな色氣いろけを眼元に含ませて、こんなことを言つた。お時の妹のお今といふ十一になるのが、宵張よひツぱりをして起きてゐるだけで、他の子供等は皆寢て了つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
色氣いろけのない男まさりの處女きむすめの女王
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
もとよりをやつす色氣いろけ十分じふぶんをとこであるから、道中笠だうちうがさなかながらやにのついたかほは、茶店ちややばゞあにものぞかせたくない。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
背戸せどつて御覽ごらんなさい、と一向いつかう色氣いろけのなささうな、腕白わんぱくらしいことをつてかへんなすつた。——翌日よくじつだつけ、御免下ごめんくださアい、とけたこゑをして音訪おとづれたひとがある。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いや、色氣いろけどころか、ほんたうに北山きたやまだ。……どうふだ。が、家内かない財布さいふじりにあたつてて、安直あんちよくたひがあれば、……魴鮄はうぼうでもいゝ、……こひねがはくは菽乳羮ちりにしたい。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて色氣いろけきとなれば、うだらう。(そばにいてきぬことわりや夏羽織なつばおり)と古俳句こはいくにもある。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……おもことがある。淺草あさくさ田原町たはらまち裏長屋うらながやころがつてとき春寒はるさむころ……足袋たびがない。……もつと寒中かんちうもなかつたらしいが、うも陽氣やうきむかつて、何分なにぶん色氣いろけづいたとえる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第一だいいち色氣いろけがあつてはゞからず、親不孝おやふかうかへりみざるともがらは、男女ふたり相乘あひのりをしたものである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……張合はりあひのないれい寢坊ねばう朝飯あさめしましたあとだから、午前ごぜん十時半頃じふじはんごろだとおもふ……どん/\と色氣いろけなく二階にかいあがつて、やあ、いゝお天氣てんきだ、難有ありがたい、と御禮おれいひたいほどの心持こゝろもち
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
母樣おつかさんまへであるから、なん見得みえも、色氣いろけもなう、鼻筋はなすぢとほつた、生際はえぎはのすつきりした、きつとして、まゆやさしい、お小姓こしやうだちのいろしろい、面長おもながなのを横顏よこがほで、——團子だんご一串ひとくし小指こゆびねて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われらしきが、一念發起いちねんほつきおよんだほどお小遣こづかひはたいて、うすものつまに、すツとながじゆばんの模樣もやうく、……水色みづいろの、色氣いろけは(たつた)で……なゝめすわらせたとしたところで、歌澤うたざはなんとかで、あのはにあるの
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)