だつ)” の例文
跡部は荻野等を呼んで、二にんとらへることを命じた。その手筈てはずはかうである。奉行所に詰めるものは、づ刀をだつして詰所つめしよ刀架かたなかけける。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
武村兵曹たけむらへいそうわたくしとは、ぼうだつして下方したながめたが、かぜみなみからきたへと、輕氣球けいきゝゆうは、三千すうしやく大空たいくうを、次第しだい/\に大陸たいりくほうへと、やがて、れし朝日島あさひじま
されば悟れるとは己れが迷を知ることにして、そをだつせるのいひにはあらず。哀れ、戀の鴆毒ちんどくかすも殘さず飮みせる瀧口は、只〻坐して致命の時を待つの外なからん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
七、 大地震だいぢしんあたおよ最初さいしよ一分間いつぷんかんしのたら、最早もはや危險きけんだつしたものと見做みなられる。餘震よしんおそれるにらず、地割ぢわれにまれることはわがくににては絶對ぜつたいになし。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
よし僕等の生涯しようがいは、勞働者と比較ひかくして何等なんら相違さうゐがないとしても、僕等はつねに勞働者的生涯からだつして、もう少し意味ある、もう少し價値あるライフにりたいと希望きぼうしてゐる。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
だつするは難き事ならんか茲に當時嘉川平助高吉と云る御旗本おはたもとあり先祖は輕き御家人なれども柳澤出羽守殿大老職の頃同家へ謟諛へつらひ段々と立身なし有難くも五代將軍綱吉公の御治世ごぢせいの時つひに御旗本の列に入り高二千五百石まで加増ありて相應の役柄を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兎角とかくしておよそ時間じかんばかりは、くるはし沙魚ふかのためにかれて、いつしかうしほながれをもだつし、沙魚ふか領海りようかいからはすでに十四五海里かいりへだたつたとおもころ流石さすが猛惡まうあくなるうをつひ疲勞つかたをれて
紀念塔きねんたふ建立けんりつをはつて、吾等われらは五六退しりぞいてながめると、うるはしき大理石だいりせきたふ表面ひやうめんには、鮮明あざやかに『大日本帝國新領地朝日島だいにつぽんていこくしんりようちあさひたう』。あゝれで安心あんしん々々、一同いちどうぼうだつして大日本帝國だいにつぽんていこく萬歳ばんざい三呼さんこした。