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端
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ぱ
ふりがな文庫
“
端
(
ぱ
)” の例文
『
町方役
(
まちかた
)
とか、牢役人などが、袖の下を取るのは
公
(
おおび
)
らだが——それにしても、牢番なんて下ッ
端
(
ぱ
)
までが
小費
(
こづかい
)
をせびりに来るのかなあ』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然し、
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の図書館員の仕事はいつも機械的であり、あてがわれるままを甘受する飜訳はいつも機械的であった。それも生活のためだ。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ただしかし、面をかぶっていますが、それは
先刻
(
さっき
)
もお許しを願ったとおり、下っ
端
(
ぱ
)
ではないのですから、これだけあどうも——。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
今丁度御茶に
好
(
い
)
い時分です。もう少しするとね、御茶には
遅
(
おそ
)
し
晩餐
(
ヂンナー
)
には早し、中途半
端
(
ぱ
)
になる。どうです。一所に
入
(
い
)
らつしやいな
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
多寡
(
たくわ
)
が地主の金持と思つたのは、大變な
見縊
(
みくび
)
りやうで、近所の
木
(
こ
)
つ
端
(
ぱ
)
旗本や、安
御家人
(
ごけにん
)
の屋敷などは蹴落されさうな家です。
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
長次はそれを知っていて、
焚木
(
たきぎ
)
になりそうな物があると拾って来る。
木
(
こ
)
っ
端
(
ぱ
)
、板切れ、枯枝、米俵や
蓆
(
むしろ
)
などまで拾って来た。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その取巻や
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
、現に自分のところへ、親玉を置いてた時分に、よく秘密の使者にやって来た若いのも、現在ここにいる。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やがて、
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
芸人などの泊まる、
木更津屋
(
きさらづや
)
という軒
行燈
(
あんどん
)
を掲げた安宿の前へ出ると、日本一太郎は、
顎
(
あご
)
をしゃくって、お駒ちゃんをかえりみた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それでもいちばん
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の門番にすぎない。広間から広間へと門番が立っていて、だんだん力が大きくなるばかりだ。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「そいつはいい」——ロベエルは言う——「あなたは気位の高くない方だ。
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の人間が好きなんだから」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
新聞紙も敷かず板の間に
坐
(
すわ
)
ってしまうと、両手で顔を
蔽
(
おお
)
うて眼をツブった。「休まなくては
不可
(
いけ
)
ない、俺が倒れてはならぬ」そンな
切
(
せ
)
ッ
端
(
ぱ
)
つまった気持だった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
なにしろ
昨夜
(
ゆうべ
)
の幽霊などは
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の方はだいぶ燃えたような様子だから、今晩は多分腰から上だけで出てくるつもりなんだろう。いやもう思っただけでもぞっとする
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その頃、士族の
下
(
した
)
ッ
端
(
ぱ
)
連の成れの果は皆、警官(
邏卒
(
らそつ
)
、部長、警部等)に採用されていたものであったが、この羅卒(今の巡査)連中が皆鎮台兵と
反
(
そ
)
りが合わなかった。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かれは有名な
悪口家
(
わるくちや
)
で、事件に緊張している
下
(
した
)
ッ
端
(
ぱ
)
の警官たちの
頤
(
あご
)
を解く妙法を心得ていた。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
満面に
朱
(
しゅ
)
をそそぎ、今にもみんなに躍りかかって、わたしたちを
木
(
こ
)
っ
端
(
ぱ
)
みじんに八方へ投げ飛ばしそうな
剣幕
(
けんまく
)
を見せたが、令嬢がちらりと彼を見て、指を立てておどかすと
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ステンカラの粗末な洋服を着ており、昔し国定と
対峙
(
たいじ
)
して、
利根川
(
とねがわ
)
からこっちを
繩張
(
なわばり
)
にしていた大前田の下ッ
端
(
ぱ
)
でもあったらしく、請負工事の
紛紜
(
いざこざ
)
で血生臭い
喧嘩
(
けんか
)
に連累し
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
伯林ウインター・ガルテンの
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の女優で半日はお裁縫に行き、夜は舞台で稼いで喰べているというのだ。見たところ、小柄ながらがっしりしてよく働きそうな独逸少女だった。
褐色の求道
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それからこれも末期の現象の一つであったのであろうが、東京の下町などには、女
髪結
(
かみゆい
)
のような職業の人たちにいやがらせをやって生活していた自称愛国団体の
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の連中があった。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「……七十五
号
(
がう
)
。
第
(
だい
)
一、五がつくのなんて半
端
(
ぱ
)
な
処
(
とこ
)
がなくて
馬𢈘
(
ばか
)
にいいよ。」
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「
下
(
した
)
ッ
端
(
ぱ
)
は、引っこんどれ。永田組の仕事の話は、永田の親方にするんじゃ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「その度に新規になりますから、いつまでたっても一番
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
です」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
が、その相手は何かと思えば、
浪花節語
(
なにわぶしかた
)
りの
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
なんだそうだ。君たちもこんな話を聞いたら、小えんの
愚
(
ぐ
)
を
哂
(
わら
)
わずにはいられないだろう。僕も実際その時には、
苦笑
(
くしょう
)
さえ出来ないくらいだった。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
悪所通
(
あくしょがよ
)
いのしたい
放題
(
ほうだい
)
はしたし、
普
(
なみ
)
の道楽者の十倍も余計に女の
肌
(
はだ
)
を知り
尽
(
つく
)
して来はしたものの、いまだ、ただの一度も
賽
(
さい
)
の
目
(
め
)
を争ったことはなし、まして人様の物を、
塵
(
ちり
)
ッ
端
(
ぱ
)
一本でも盗んだ覚えは
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今はもう
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
のオルグじゃなくて、組合か何かの幹部だろう。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「われわれの申入れを承知して、数日の間に、
木鹿王
(
もくろくおう
)
は自国の軍を率いて来ましょう。木鹿軍が来れば、蜀軍などは
木
(
こ
)
っ
端
(
ぱ
)
微塵
(
みじん
)
です」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに、深紅の農民服を着た人足たち——と言っても、これはみんな名ある闘牛士の
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
弟子で、若いのばかりか、なかには白髪頭のお爺さんもいる。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ナーンだ、くだらぬ人騒がせ、つまらぬいたずら、そうして
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
をおどかしてみたところが何だ。トテモやるなら、あの将軍の本丸まで届くほどの火を出せ。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分の地位をこんな
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
のあいだでついに失わねばならぬとしたら、いったいどうなるだろうか? そうなってもまだそこには救いの機会はあるのであって
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
コンクリートの天井と、床の間が頭の
閊
(
つか
)
える位低い、ダダッ広い部屋になっているんで、ジメジメと濡れたタタキの上には机も、椅子も
塵
(
ちり
)
っ
端
(
ぱ
)
一本散らかっておりません。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、呉の船は、その鋭角を、敵の横腹へぶつけて、たちまち
木
(
こ
)
ッ
端
(
ぱ
)
微塵
(
みじん
)
とするか、或いは飛び移って、皆殺しとなし、それを焼き払った。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「老いぼれた、
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
の役者をおれのところへよこしやがった」と、Kはつぶやき、もう一度そのことを確かめるために、振向いた。「手軽なやりかたで、おれのことを片づけようとしているんだ」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「……ははあ、兇状持ちの
股旅者
(
またたびも
)
ンだな。叩けば何か出るだろう。なにしろ、紅葉の葉ッ
端
(
ぱ
)
じゃ
土産
(
みやげ
)
にもならねえからな」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「白状しますが、実は、
仲間
(
ちゅうげん
)
部屋や
船番
(
ふなばん
)
の
下
(
した
)
ッ
端
(
ぱ
)
が、こッそり夜遊びに出る抜け道が一つあるんで」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しがない
白浪
(
しらなみ
)
の下ッ
端
(
ぱ
)
にしろ、剣といえば日本のほこりと合点し、伊勢の
玉纏横太刀
(
たまきのたち
)
や天王寺の七星剣などの
古事
(
ふるごと
)
はとにかくとして、
天国
(
あまくに
)
出現以来の
正宗
(
まさむね
)
、
義弘
(
よしひろ
)
、
国次
(
くにつぐ
)
、
吉平
(
よしひら
)
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もし、曹操に出会ったら、
木
(
こ
)
ッ
端
(
ぱ
)
みじんに敗れて帰るだろうと、それを心配なさるのでござろう。笑止笑止。曹操が出てきたら、むしろもっけの幸い、引ッつかんで、これへ持ちくるまでのこと」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おまえみたいな
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
に、からかってなんかいられるもんかい!」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“端”を含む語句
端折
尖端
尻端折
片端
出端
端緒
一端
端正
山端
縁端
端然
端艇
突端
上端
町端
切端
川端
下端
端々
発端
...