空想くうさう)” の例文
『ソレ、あの女王樣ぢよわうさまサ』とグリフォンがひました。『みんな女王樣ぢよわうさま空想くうさうだ、どうして一人ひとりでも死刑しけい出來できるものか。ねえ。おでよ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
学窓を離れて五年ばかりの甘美な結婚生活にひたつて、憧憬あこがれ空想くうさうのほか、何一つ世間のことを知る機会のなかつた彼女が
質物 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
洋畫やうぐわつててやうといふぼく空想くうさうとしては此處こゝ永住えいぢゆういへちたいといふのも無理むりではなからう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そも/\空想くうさうは、空氣くうきよりもほのかなもので、いま北國ほっこく結氷こほり言寄いひよるかとおもへば、たちまはらてゝ吹變ふきかはって、みなみつゆこゝろするといふそのかぜよりも浮氣うはきなものぢゃ。
空想くうさうは、彼のやまひである。で此の場合にも彼は何時か、自分が飛出さうと思ふ社會に就いて考へた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼女かのぢよつとむ成長せいちやうたのしみすごした空想くうさうは、はからずもおそろしい不安ふあん彼女かのぢよむね暴露あばいつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
この好奇心かうきしん刺戟しげきせられて、空想くうさう空想くうさうかさね、つひ珍無類ちんむるゐかたち創造さうざうする。ゆゑ化物ばけもの各時代かくじだい各民族かくみんぞくかならくてならないことになる。したがつて世界せかい各國かくこくその民族みんぞく差異さいおうじて化物ばけものことなつてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
みられるわ さういふ夢を想像さうざうとか空想くうさうとかいふんだわ
空想くうさう蠑螺さゞえから
寂寞 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
なつはじめたびぼくなによりもこれすきで、今日こんにちまで數々しば/\この季節きせつ旅行りよかうした、しかしあゝ何等なんら幸福かうふくぞ、むねたのしい、れしい空想くうさういだきながら、今夜こんやむすめはれるとおもひながら
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼女かのぢよふたやうに、またつかれたやうに、しばらくは自分じぶん空想くうさうなかにさまよはしてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
マーキュ さもさうず、ゆめはなしぢゃ。ゆめ空想くうさうで、やくたぬなうからうまるゝ。
なにかなしいのでせう!』とあいちやんがグリフォンにたづねました、グリフォンは以前まへほとんどおなじやうな言葉ことばで、『それはみんあれ空想くうさうだ、なにかなしんでるのではない、ねえ。おでよ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おもふと、其事そのこと頭脳あたま惹入ひきいれられて、様々さま/″\空想くうさういてる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
と、わたしはこんな馬鹿氣ばかげたことまで空想くうさうして見た。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
勿論もちろん大久保おほくぼにも詩人しじんらしい空想くうさうがあつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)