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禁物
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きんもつ
ふりがな文庫
“
禁物
(
きんもつ
)” の例文
とにかく山の手は御存じの如く都の中にても
桃隣
(
とうりん
)
が「
市中
(
いちなか
)
や木の葉も落す富士
颪
(
おろし
)
」の一句あり冬の西風と秋の西日
禁物
(
きんもつ
)
に有之候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
するには研究が必要かも知れないけれども、交際に研究は
禁物
(
きんもつ
)
よ。あなたがその癖をやめると、もっと
人好
(
ひとずき
)
のする好い男になれるんだけれども
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほろびた柴田の
残臣
(
ざんしん
)
を、まだねらっている者もたくさんあるし、ことに
豊臣家
(
とよとみけ
)
の者のいるところで、それをいうのは
禁物
(
きんもつ
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「弟の肩を持って、亭主と喧嘩でもしやあしねえか。ふだんもそうだが、こういう時に夫婦喧嘩は猶さら
禁物
(
きんもつ
)
だ。仲好くしねえじゃあいけねえぜ」
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は実は
平仮名
(
ひらがな
)
には
時時
(
ときどき
)
形にこだはることがある。たとへば「て」の字は出来るだけ避けたい。殊に「何何して何何」と次に続けるのは
禁物
(
きんもつ
)
である。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
鰹船の
禁物
(
きんもつ
)
は第一は遠島船。第二が
讃岐
(
さぬき
)
の
藍玉船
(
あいだまぶね
)
。遠島船にあうと鰹の
群来
(
くき
)
が沖へ流れるといって、たいへんに嫌う。藍のほうはむかしから魚には禁物。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
老人は
身体
(
からだ
)
を養うために沢山の滋養分を取らなければなりませんが歯の悪いため硬い物は
禁物
(
きんもつ
)
ですし、何の肉でも細かくして食べさせるのに限りますね。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
酒はお師匠さまには
禁物
(
きんもつ
)
でしょうが、ああして置いたら自然とおからだが弱りはしまいますまいか。いくら御謹慎中でも、すこしはお勧めした方がいい。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、叛乱とか叛軍とかいう言葉は、今のところ絶対
禁物
(
きんもつ
)
のようです。それをはっきり口に出したら、それだけで、最悪の事態におちいるかもしれません。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
ほどよく、いい加減にお茶を濁しておけ、一所懸命になるな、熱心は
禁物
(
きんもつ
)
だというように誤解を起こしやすいけれども、僕の意は決してそういう考えでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「うんにゃ、駄目だ! その手は食わねえ! また兄妹なら兄妹でもいい、泥棒に情けは
禁物
(
きんもつ
)
だ。何んと云っても駄目の皮だ! さあソロソロ取りかかろうぜ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おまえが、つまらないことをいったばかりに、ふじの
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
国
(
くに
)
と
戦争
(
せんそう
)
をするようになってしまった。この
国
(
くに
)
では、ひすいばかりでない。いっさいの
青
(
あお
)
い
石
(
いし
)
は
禁物
(
きんもつ
)
である。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「この尊い犠牲を生かさねば、われわれの義務は果せませんぞオ。——さあ全員配置について、スピードをあげましょう。ここは丁度、恐ろしい無引力空間の近くです。
油断
(
ゆだん
)
は
禁物
(
きんもつ
)
!」
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「下世話にも
病
(
やまい
)
は気からと申す。いまの若さに
欝気
(
うつけ
)
は大の
禁物
(
きんもつ
)
じゃ。ああ、ええ陽気じゃわい。枯れ木にも花が咲いて、わしがごとき老骨でさえ浮かれ出しとうなるて。わっはっはっは」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一體
(
いつたい
)
童謠
(
どうえう
)
を
收録
(
しうろく
)
するのに、なまりを
正
(
たゞ
)
したり、
當推量
(
あてずゐりやう
)
の
註釋
(
ちうしやく
)
は
大
(
だい
)
の
禁物
(
きんもつ
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
支那、
馬来
(
マレイ
)
、
瓜哇
(
ジヤワ
)
あたりの売春婦の
通
(
つう
)
を話した人もあつた。蓄音機が持出されて僕に初めて
呂昇
(
ろしよう
)
を聴かせて
呉
(
く
)
れた
夜
(
よる
)
もあつた。航海中は笑はされるのが何より
好
(
い
)
い。
真面目
(
まじめ
)
な話は
禁物
(
きんもつ
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
余の如きは胸中大に其
無礼
(
ぶれい
)
を
憤懣
(
ふんまん
)
す、然れ共之れ
例
(
れい
)
の
放言大語
(
はうげんたいご
)
、
容易
(
やうい
)
に
信
(
しん
)
ずべからざるを
知
(
し
)
る、何となれば元と藤原地方の人民は
皆
(
みな
)
常
(
つね
)
に這般の
言語
(
げんご
)
を
吐
(
は
)
き、深山に
分
(
わ
)
け入るを
禁物
(
きんもつ
)
となす者なればなり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ただ
一
(
ひと
)
つ
良人
(
おっと
)
にとりての
禁物
(
きんもつ
)
は
三崎
(
みさき
)
の
話
(
はなし
)
でした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
青酸加里
(
せいさんかり
)
だけは、
禁物
(
きんもつ
)
ということにしましてね
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
「でも縁談に墓地のお話なんか
禁物
(
きんもつ
)
でしょう」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
突き通しは
廓
(
くるわ
)
の
禁物
(
きんもつ
)
で、それが知れると面倒であるから、誰袖は病気にかこつけて入谷の寮へたびたび出養生にゆく。そこへ永太郎が忍んでゆく。
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで、円座いっぱいにすわりなおして、ひけ目は
禁物
(
きんもつ
)
、大いに飲んで、充分、こっちの人間も見せ、かの女の美か否かも、はらをすえて見るべきだと、ひそかに思う。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一 小説かかんと思はば何がさて置き一日も早く
仏蘭西
(
フランス
)
語を学びたまへ。但し手ほどきは日本人についてなす事
禁物
(
きんもつ
)
なり。
暁星
(
ぎょうせい
)
学校の夜学にでも行きその国人についてなすべし。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
とうとう来たな! おおよう来た! 涙は人生に
禁物
(
きんもつ
)
じゃ! 笑って進め笑うに限る! 嵐よ雪よ、
荒
(
すさ
)
ぶがいい! それを突っ切るのが目的じゃ! ——おお気を付けるがいい。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もっとも実際にことにあたるときは他を顧みず猛進せねばならぬが、ことにあたるか否かを考うるあいだは
凝
(
こ
)
ることは
禁物
(
きんもつ
)
である。しかるに青年の一大特長はものに熱するにある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「いやいや、まだまだゆだんは
禁物
(
きんもつ
)
だ。X号は、このうえ何を考えだすか、知れないのだから、なんとかして、あいつをこっぱみじんに
粉砕
(
ふんさい
)
してしまわないと、どうしても安心はできないよ」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「勿論知らん。音楽家と犬とは昔から僕にゃ
禁物
(
きんもつ
)
だ。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
攘夷の軍用金を口実にして、物持ちの町家をあらし廻るのは此の頃の流行で、
麻疹
(
はしか
)
と浪士は江戸の
禁物
(
きんもつ
)
であった。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「大事をもくろむ矢先に立って、気を散らすのは
禁物
(
きんもつ
)
だ。そんな
量見方
(
りょうけんかた
)
なら、この俺は俺で、勝手な道をとるとして、お
前
(
めえ
)
と組むのはお断りだから、そう思って貰いたい」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なんのなんのこの四人がたとえ一度にかかったとて、貧乏ゆるぎもすることか、それに第一ここは霊地。軍神
荒神
(
あらがみ
)
のまします所ゆえ、そんな
狼藉
(
ろうぜき
)
は
禁物
(
きんもつ
)
禁物、神罰のほどがおそろしい」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人目
(
ひとめ
)
を忍ぶ身には煙草の火も
禁物
(
きんもつ
)
である。まして迂闊にしゃべることも出来ないので、二人は無言の
行
(
ぎょう
)
に入ったように、桜の蔭にしゃがんで黙っていた。
半七捕物帳:65 夜叉神堂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「相良さん、これから先は、あまり口数をきかないように。それと、武家言葉は
禁物
(
きんもつ
)
ですぜ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奉行所の
白洲
(
しらす
)
の調べもそうですが、わたくし共の調べでも、ぽつりぽつりとしずかに調べて行くのは
禁物
(
きんもつ
)
です。
半七捕物帳:45 三つの声
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
武術
(
ぶじゅつ
)
に
酒気
(
しゅき
)
のあるのは
禁物
(
きんもつ
)
ということ、
未熟者
(
みじゅくもの
)
にとってはことにだいじな
試合
(
しあい
)
、もし
不覚
(
ふかく
)
があってはもの
笑
(
わら
)
いのたねとも
相
(
あい
)
なるから、まず、お
志
(
こころざし
)
だけをうけて、お
祝
(
いわ
)
いはあとでちょうだいいたす
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「邪教
風
(
かぜ
)
は
禁物
(
きんもつ
)
な当今、かりにも切支丹屋敷の付近を、尾州家の者がウロついていたなどと風聞されては困る、第一、
宗門
(
しゅうもん
)
役人が寄せつけまい。それよりは、この万太郎に一策があるがどうじゃ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いけねえ。
燧石
(
ひうち
)
の火は
禁物
(
きんもつ
)
だ」
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
泪
(
なみだ
)
のなの字も目明しにゃ
禁物
(
きんもつ
)
、一足お先へ押ッ放してお貰い申します
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
禁
常用漢字
小5
部首:⽰
13画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“禁”で始まる語句
禁
禁厭
禁呪
禁裡
禁錮
禁制
禁闕
禁忌
禁足
禁裏