“祕密(ひみつ)” の例文
新字:秘密
黄(き)ばんだ象牙(ざうげ)の額(ひたひ)の薔薇(ばら)の花、自分で自分を愛してゐる黄ばんだ象牙(ざうげ)の額(ひたひ)の薔薇(ばら)の花、處女(をとめ)の夜(よる)の祕密(ひみつ)をお話し、僞善(ぎぜん)の花よ、無言(むごん)の花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
與力(よりき)の中(なか)でも、盜賊方(たうぞくがた)と地方(ぢかた)とは、實入(みい)りが多(おほ)いといふことを、公然(こうぜん)の祕密(ひみつ)にしてゐるだけあつて、其(そ)の裝(よそほ)ひでもまた一際(ひときは)目立(めだ)つて美々(びゝ)しかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
乳母 御家來(ごけらい)は口(くち)の堅(かた)いお人(ひと)かいな? 二人(ふたり)ぎりの祕密(ひみつ)は洩(も)れぬ、三人目(にんめ)が居(を)らねば、と言(い)ひますぞや。
さうして甲斐(かひ)/″\しく夕飯(ゆふめし)の支度(したく)を調(とゝの)へてゐる娘(むすめ)をみると、彼女(かのぢよ)の祕密(ひみつ)な悔(くゐ)にまづ胸(むね)をつかれる。
悔 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
出品(しゆつぴん)の製作(せいさく)は皆(みん)な自宅(じたく)で書(か)くのだから、何人(なにぴと)も誰(たれ)が何(なに)を書(か)くのか知(し)らない、又(また)互(たがひ)に祕密(ひみつ)にして居(ゐ)た殊(こと)に志村(しむら)と自分(じぶん)は互(たがひ)の畫題(ぐわだい)を最(もつと)も祕密(ひみつ)にして知(し)らさないやうにして居(ゐ)た。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
圓髷(まるまげ)に結(ゆ)つて、筒袖(こひぐち)を着(き)た人(ひと)を、しかし、其(その)二人(ふたり)は却(かへ)つて、お米(よね)さんを祕密(ひみつ)の霞(かすみ)に包(つゝ)みました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
金太郎は急(きう)に、一切のことを誰(たれ)かに話して、自分とその老(ろう)人とが同じ危險(けん)状態にあつたことを現在世界(かい)中で自分だけが知つてゐるといふこの祕密(ひみつ)から、いちはやく解放(ほう)されたい衝(せう)動をうけた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
彼(かれ)は何(なに)か大切(たいせつ)な祕密(ひみつ)な物(もの)を有(も)つてゐると云(い)ふやうな風(ふう)をしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
更(さら)に祕密(ひみつ)を闡(ひら)くかな
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
祕密(ひみつ)の主(ぬし)は宿(やど)るなり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
願ふと云ふも忍(しの)び泣(なき)殊(こと)に他人に有ながら當家へ養子(やうし)に來た日より厚(あつ)く深切(しんせつ)盡(つ)くして呉し支配人なる久八へ鳥渡成(ちよつとなり)とも書置(かきおき)せんと有(あり)あふ硯(すゞり)引寄(ひきよ)せて涙ながらに摺流(すりなが)す墨(すみ)さへ薄(うす)き縁(え)にしぞと筆(ふで)の命毛(いのちげ)短(みじ)かくも漸々(やう/\)認(したゝ)め終(をは)りつゝ封(ふう)じる粘(のり)より法(のり)の道(みち)心ながら締直(しめなほ)す帶の博多(はかた)の一本獨鈷(どつこ)眞言(しんごん)成ねど祕密(ひみつ)の爲細腕(ほそうで)成ども我一心長庵如き何の其岩(いは)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
茜(あかね)さす額(ひたひ)の薔薇(ばら)の花、蔑(さげす)まれた女(をんな)の憤怒(いきどほり)、茜(あかね)さす額(ひたひ)の薔薇(ばら)の花、おまへの驕慢(けうまん)の祕密(ひみつ)をお話し、僞善(ぎぜん)の花よ、無言(むごん)の花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さうしてそれよりも猶(なほ)彼女(かのぢよ)にとつて恐(おそ)ろしいことは、一人前(にんまへ)になつた子供(こども)が、どんな風(ふう)に母親(はゝおや)のその祕密(ひみつ)を解釋(かいしやく)し、そしてどんな裁(さば)きをそれに與(あた)へるだらうかといふことであつた。
悔 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)