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牧
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まき
ふりがな文庫
“
牧
(
まき
)” の例文
牛乳は
牧
(
まき
)
にゐる牛の乳房からすぐに盗んで飲んだのです。いや。ひどい炎天で、むつとするやうな蒸気が沼から立つてゐました。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
は、総領の宗時と、一室の内に、
対
(
むか
)
い合って何か憂いに沈んでいた。もちろん政子の問題に就いてである事はすぐ分った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
頼家
(
よりいえ
)
が生れて間もない時のこと、政子には
継母
(
けいぼ
)
に当る遠江守時政の後妻
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
から頼朝の
行
(
おこない
)
に
就
(
つい
)
て知らして来た。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
晝間
(
ひるま
)
の暑き日の熱のほてり、
未
(
いま
)
だに消えやらぬ
牧
(
まき
)
の
草間
(
くさま
)
に横はり、あゝこの
夕
(
ゆふべ
)
のみほさむ、空が漂ふ
青色
(
あをいろ
)
のこの
大盃
(
おほさかづき
)
を。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
結うことはお
牧
(
まき
)
婆
(
ば
)
あやの髪を、前髪に
張
(
はり
)
のない、小さい
祖母子
(
おばこ
)
に結ったのが
手始
(
てはじめ
)
で、後には母の髪、妹の髪、女中たちの髪までも結い、我髪は
固
(
もと
)
より自ら結った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「なアお
牧
(
まき
)
、お春や常吉は、まさか道草を食ってるわけじゃあるまいね、大層遅いじゃないか」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
元久二年、都では『新古今集』の竟宴が終ったのち、
閏
(
うるう
)
七月、時政はまた妻の
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
という女傑と共謀して、女婿
平賀朝政
(
ひらがともまさ
)
を将軍に立てようとし、十四歳の実朝を
仆
(
たお
)
そうとした。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
みずから進んでかの「
桐一葉
(
きりひとは
)
」や、「
孤城落月
(
こじょうのらくげつ
)
」や、「
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
」などの史劇を発表した。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下総は延喜式で
左馬寮
(
さまれう
)
御牧貢馬地
(
みまきこうばち
)
として、信濃上野甲斐武蔵の下に在るやうに見えるが、
兵部省
(
ひやうぶしやう
)
諸国馬牛
牧式
(
ぼくしき
)
を見ると、
高津
(
たかつ
)
牧、大結牧、
本島
(
もとじま
)
牧、長州牧など、沢山な
牧
(
まき
)
があつて
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
勘「ムヽ、カ、カ、神田の
牧
(
まき
)
様の部屋で
何
(
な
)
んしまして、
小川町
(
おがわまち
)
の
土屋
(
つちや
)
の……」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夏の日の
牧
(
まき
)
の
高原
(
たかはら
)
しづまりて
温泉
(
うんぜん
)
の
山
(
やま
)
暮れゆくを見たり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
牧
(
まき
)
のをとめに、ひと
莖
(
ぐき
)
の
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
牧
(
まき
)
の
氈
(
かも
)
、また
紺瑠璃
(
こんるり
)
の
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
かゝる
名馬
(
めいば
)
は
奧
(
おく
)
の
牧
(
まき
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
駒あそぶ
高原
(
たかはら
)
の
牧
(
まき
)
艸千里
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
牧
(
まき
)
の島から
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「わたしにも、このことについては、口を出す権利があります。いたどりの
牧
(
まき
)
へ行って、私も、三日三晩、努めたのですから」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その酒の席で朝雅と六郎が口論をはじめた。朝雅は
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
の腹に生れた
女
(
むすめ
)
の
婿
(
むこ
)
で、六郎とは親類関係になっている。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
多年渋江氏に寄食していた
山内豊覚
(
やまのうちほうかく
)
の
妾
(
しょう
)
牧
(
まき
)
は、この年七十七歳を以て、五百の介抱を受けて死んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
牧
(
まき
)
の
畜
(
けもの
)
の水かひ
場
(
ば
)
、泉は
涸
(
か
)
れて音も無し。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
牧
(
まき
)
の
小笛
(
をぶえ
)
にしのびては
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
吾妻
(
あづま
)
の
牧
(
まき
)
大山
(
だいせん
)
木曾
(
きそ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
やわらかいぞやわらかいぞ、お
大名
(
だいみょう
)
の
寝床
(
ねどこ
)
だって、こんなに
上等
(
じょうとう
)
じゃああるまいなあ、などと
牧
(
まき
)
をとかれた
山羊
(
やぎ
)
みたいに、ワザとごろごろころがってみた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五百の帰った紺屋町の家には、父忠兵衛の外、当時五十歳の忠兵衛
妾
(
しょう
)
牧
(
まき
)
、二十八歳の兄栄次郎がいた。二十五歳の姉
安
(
やす
)
は四年前に阿部家を辞して、
横山町
(
よこやまちょう
)
の
塗物問屋
(
ぬりものどいや
)
長尾宗右衛門
(
ながおそうえもん
)
に嫁していた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
牧
(
まき
)
の
畜
(
けもの
)
の水かひ
場
(
ば
)
、泉は
涸
(
か
)
れて音も無し。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
牧
(
まき
)
のうなゐも通はね
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
けれど、忠興の短気や
癇癖
(
かんぺき
)
は、生れつきのものであった。武勇にかけてはなおそうであるのだ。十一歳に初陣して、
牧
(
まき
)
の島の
戦
(
いくさ
)
に、大人に劣らない振舞をしている。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
程遠からぬ青草の
牧
(
まき
)
に伏したる
白牛
(
はくぎう
)
が
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
牧
(
まき
)
に
立
(
た
)
ちぬ。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
牧
(
まき
)
の
野馬
(
のうま
)
のように、寝そべったり坐ったり、漫然と立ったりしている、一団の人影が黒々とあった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牧
(
まき
)
に
暴風
(
あらし
)
の
來
(
きた
)
るを待つ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
牧
(
まき
)
に立ちぬ。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
時政から返書をうけた山木判官の使いが、俗にこの辺の土民が「
御所堀内
(
ごしょほりうち
)
」と称している
館
(
やかた
)
を出て、そこの堀橋を越えて帰って行った頃である。——時政は妻の
牧
(
まき
)
の
方
(
かた
)
へ
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
坂くだりゆく
牧
(
まき
)
がむれ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
どうしてこれを、
遮
(
さえ
)
ぎられよう。あッというますらありはしない。
茫々
(
ぼうぼう
)
たる
牧
(
まき
)
の平原を、東へ、ただ見る四騎、八頭の駒は、もう星の夜の
彗星
(
すいせい
)
のごとく遠く小さくなっていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
坂くだりゆく
牧
(
まき
)
がむれ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
『なかんずく、この春、諸国の
牧
(
まき
)
の
馬献上
(
うまのぼせ
)
に際し、院の
御
(
み
)
けしきに、へつろうて、不吉なる
四白
(
よつじろ
)
の凶馬を入れ、袈裟の良人源ノ渡へ飼わせたるこそ、忠盛が
科
(
とが
)
というも、はばからぬ』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牧
(
まき
)
の島には羊の
群
(
むれ
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「今日、南山の
牧
(
まき
)
を開いて、官の牛馬をみな追い出したのはおまえか」と、
質
(
ただ
)
した。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひまさえあれば、その住居から一里半も離れている——この“
大結
(
おおゆう
)
ノ
牧
(
まき
)
”へ来て、馬と遊んでいるか、さもなければ、丘の一つの上に坐りこんで、ぼやっと、行く雲を、見ているのだった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちどは歌垣のやみまつりを見物にゆき、どこのたれとも得しれぬ年上の山家妻に引かれて宮の
木暗
(
こくら
)
がりで
契
(
ちぎ
)
ッたことと。また、も一つの体験は、
御厨
(
みくりや
)
ノ
牧
(
まき
)
へ遠乗りに行った麦秋の真昼であった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長がこの日の馬は、
月輪
(
つきのわ
)
とよぶ南部
牧
(
まき
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
だった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに
鎗竿嶺
(
そうかんれい
)
ノ
牧
(
まき
)
がある。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いたどりの
牧
(
まき
)
です」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“牧”の意味
《名詞》
(まき)家畜、特に馬を放し飼いにする草原。
(出典:Wiktionary)
牧
常用漢字
小4
部首:⽜
8画
“牧”を含む語句
牧場
牧草
牧草地
牧童
牧塲
北牧
牧歌
牧歌的
本牧
牧師
牧之
牧野
牧谿
牧人
牧渓
牧羊神
牧野伸顕
放牧
牧柵
牧者
...