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かたよ
が、
焼麩と
小菜の汁で
膳が済むと、
最う
行燈を
片寄せて、
小女が、堅い、
冷い寝床を取つて
了つたので、
此からの
長夜を、いとゞ
侘しい。
其うち
年が
段々片寄つて、
夜が
世界の
三分の
二を
領する
樣に
押し
詰つて
來た。
風が
毎日吹いた。
其音を
聞いてゐる
丈でも、
生活に
陰氣な
響を
與へた。
道子は
自分の
身近に
突然白ヅボンにワイシヤツを
着た
男が
割込んで
来たのに、
一寸身を
片寄せる
途端、
何とつかずその
顔を
見ると、もう二三
年前の
事であるが
女子どもは
何時しか
枕元をはづして
四邊には
父と
母と
正雄のあるばかり、
今いふ
事は
解るとも
解らぬとも
覺えねども
兄樣兄樣と
小き
聲に
呼べば、
何か
用かと
氷嚢を
片寄せて
傍近く
寄るに
彼の児ろと
宿ずやなりなむはた
薄裏野の山に
月片寄るも (同・三五六五)
お
茶碗の
三葉は
生煮えらしいから、そつと
片寄せて、
山葵を
活きもののやうに
可恐がるのだから、われながらお
座がさめる。
拍子木がチヨン/\と
二ツ鳴つた。
幕開の
唄と
三味線が
聞え引かれた
幕が
次第に
細かく早める
拍子木の
律につれて
片寄せられて
行く。
大向から早くも役者の名をよぶ
掛け声。
強ひてとならば
一人行け、
心は
船を
守るべし。
舳にな
立ちそ、
舷にな
片寄りそ。
先づお
聞き
申すが、
唯今、
此の
坂の
此の、われらが
片寄つて
路傍に
立ちました……
此の
崖下に、づら/\となぞへに
並びました
瓦斯燈は、
幾基が
所燈が
點いて、
幾基が
所消えて
居ります。
「こら/\、
片寄れ。えゝ、
退け/\。」