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為人
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ひととなり
ふりがな文庫
“
為人
(
ひととなり
)” の例文
旧字:
爲人
余談にわたるやうであるが、話を運ぶ都合上暫く脇道へそれて、芹沢東洋の
為人
(
ひととなり
)
に就いて若干の言葉を費す時間を与へていただきたい。
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
重成の
為人
(
ひととなり
)
を知る逸事の一つとなってしまったが、伝右衛門であったというこの方が、それよりも以前に民間では語られていたらしい。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の
為人
(
ひととなり
)
を知りて畜生と
疎
(
うと
)
める貫一も、さすがに艶なりと思ふ心を制し得ざりき。満枝は貝の如き前歯と隣れる金歯とを
露
(
あらは
)
して
片笑
(
かたゑ
)
みつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこで川村少佐に相談した処、少佐は計介の
為人
(
ひととなり
)
を知って居たから、この重大任務遂行の使者として、之を少将に推薦した。
田原坂合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紋三は三千子の家出の
顛末
(
てんまつ
)
を聞き
訊
(
ただ
)
し、山野夫人の方では明智小五郎の
為人
(
ひととなり
)
を尋ねたりした。そして結局明智の宿を訪ねることに話が極った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
幕府の当途者及び
要衝
(
ようしょう
)
に立つ
能吏
(
のうり
)
は、彼が一方においては尊攘党の望を負い、他方においては英才賢明なるの
為人
(
ひととなり
)
を聞き、彼に思を属したり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
若しも父が並の躯であったなら、父のこういう
為人
(
ひととなり
)
はもっと外部にあらわれて、広く暖く家庭を包んだことであったろう。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
、寺の
後住
(
ごぢゆう
)
と申やうなるもの、養子にてもなしに引うけ候。文章は無䨇也。
為人
(
ひととなり
)
は千蔵よく存ゐ申候。年すでに三十一、すこし流行におくれたを
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
鴎外の
為人
(
ひととなり
)
の見どころはその辺にあるのではなかろうか。人はこれを聞いて言うにも及ばぬ平凡事となすであろう。鶴見は自分の言の平凡を嫌わない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
と多少
為人
(
ひととなり
)
を知っている高野さんが敬服するくらいだから、矢田家の人達へ好い印象を与えたこと言うまでもない。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一章一節に「ウズの地にヨブと
名
(
なづ
)
くる人あり、その
為人
(
ひととなり
)
完
(
まった
)
くかつ正しくして神を
畏
(
おそ
)
れ悪に遠ざかる」とある。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
箱を差したように両人気はしっくり合ってるけれども、その
為人
(
ひととなり
)
は大いに違って、島野は、すべて、コスメチック、香水、
巻莨
(
シガレット
)
、
洋杖
(
ステッキ
)
、
護謨靴
(
ゴムぐつ
)
という才子肌。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
子孫の繁栄を祝するものけだしこれに優るものあるを知らずと。その
為人
(
ひととなり
)
おほむねかくの如し。かつて上野なる日本美術協会の展覧会に出品して
褒状
(
ほうじょう
)
を得たり。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
良人が石の素朴さを愛するというのはその
為人
(
ひととなり
)
である、「尋常ならぬものがある」と信じたのは自分の思いすごしだった。良人は噂どおり平凡な人だったのだ。
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
死なれたお方が温順で貞淑で、如何にも婦人の鏡とも云うべき
為人
(
ひととなり
)
であったから、せめてはそれに
肖
(
アヤ
)
かるようにこうするのだと言うたと翁が語られたことがある。
屍体と民俗
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
彼は彼の制作よりも
寧
(
むし
)
ろ彼の
為人
(
ひととなり
)
の
裡
(
うち
)
に詩を輝かす病的、空想的の人物であった。未だ見ぬ太宰よ。ぶしつけ、ごめん下さい。どうやら君は、早合点をしたようだ。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いずれも大蛇が婦人に生ませた子で、蛇鱗を
具
(
そな
)
えいたと伝え、支那隋の高祖も竜の私生児でもあった者か、〈
為人
(
ひととなり
)
竜顔にして、額上五柱八項あり、生まれて異あり
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この窯が順調に
進捗
(
しんちょく
)
すれば
陸奥
(
むつ
)
の窯藝史に輝かしい一章が加わるであろう。私は同君の
為人
(
ひととなり
)
をよく知っている。何を目指して努力の数年を送ってきたかを知っている。
現在の日本民窯
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
最初の一瞥で、何とも云えず感じの深い而も充分威に満ちた先生の
為人
(
ひととなり
)
を感じた私は、歴史の試験で、年代などを忘れ変な答案を出すと、不思議に心苦しい思いをした。
弟子の心
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ただ
上人
(
しょうにん
)
が在世の時自ら
愚禿
(
ぐとく
)
と称しこの二字に重きを置かれたという話から、余の知る所を以て推すと、愚禿の二字は
能
(
よ
)
く上人の
為人
(
ひととなり
)
を表すと共に、真宗の教義を標榜し
愚禿親鸞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
去来忌
(
きょらいき
)
やその
為人
(
ひととなり
)
拝みけり
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
敵人ながら深く関羽の
為人
(
ひととなり
)
を
愛
(
め
)
で給い、終始
恩寵
(
おんちょう
)
をおかけ遊ばされたことは、人もみな知り、関羽自身も忘れてはおりますまい
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の友勝海舟彼を評して曰く、「先生博学多識、文武を兼ぬ、末技小芸といえども、
通暁
(
つうぎょう
)
せざるなし。
為人
(
ひととなり
)
英邁
(
えいまい
)
不群
(
ふぐん
)
、一見その偉人たるを知る」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
私は、かくも風変りな部屋の主である明智小五郎の
為人
(
ひととなり
)
について、ここで一応説明して置かねばなるまい。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
後に養子が罪を得て主家を追われたため、雲濤は家族を引連れ諸処に
流寓
(
りゅうぐう
)
していたという。横山湖山の「
詩屏風
(
しびょうぶ
)
」に雲濤の
為人
(
ひととなり
)
を記して次の如くに言ってある。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この女傑は蔦づるという待合の女将で、先生の
為人
(
ひととなり
)
を知り、これを遇すること最も厚い人であった。
肝臓先生
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ただし地方裁判所の検事に朝野なにがしというのが、その
為人
(
ひととなり
)
に見る所があって、世話をして、足を
留
(
とど
)
めさせたということを、かつて
教
(
おしえ
)
を受けた学生は皆知っている。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
後
(
のち
)
殉教に臨みこれを訴えし者、その
為人
(
ひととなり
)
に感動され、たちまちわれもまたキリスト教徒なりと自白し、伴い行きて刑に就く。途上尊者に向い罪を謝し、共に斬首された。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
主
(
あるじ
)
は彼の
為人
(
ひととなり
)
を知りし
後
(
のち
)
、
如此
(
かくのごと
)
き人の
如何
(
いか
)
にして高利貸などや志せると疑ひしなり、貫一は
己
(
おのれ
)
の履歴を
詐
(
いつは
)
りて、如何なる失望の極身をこれに
墜
(
おと
)
せしかを告げざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それぞれの人の
為人
(
ひととなり
)
の高低がそこに語られているばかりでなく、婦人そのものの社会的自覚が
女性の歴史の七十四年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この地味な新入生がそんな卓抜なものを持っていようとは、それは誰にも思いがけなかったことなのでした。友の好ましい
為人
(
ひととなり
)
はだんだんに僕達の間に知られてきました。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
塵
(
ちり
)
ひとつ止めぬ行届いた掃除、源左衛門はそれにも、孫次郎の
為人
(
ひととなり
)
が察せられて、益々頼もしさを感じながら、経机の前に坐り、唱名しながら香をあげたが、ふと仏壇を見上げた時
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
松本さんの手伝いをしながら、社長の
為人
(
ひととなり
)
を研究することになっている。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
信長と会ったこともなく、信長の生活も
為人
(
ひととなり
)
も知らないくせに、近頃よく信長のうわさを
交
(
か
)
わす堂上の
公卿
(
くげ
)
たちのうちには
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから暫くの間、彼等は遠藤の
為人
(
ひととなり
)
について、死因について、自殺の方法について、問答を続けました。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もとより女学生時代の由起しげ子はトマサンの往時については空想的にしか知るよしもなく、偶然
巴里
(
パリ
)
で一夜顔を合わせた程度で、トマサンの
為人
(
ひととなり
)
を理解できる筈はない。
我が人生観:07 (七)芥川賞殺人犯人
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
氏の『大和本草』に長崎の
向井元升
(
むかいげんしょう
)
という医者の
為人
(
ひととなり
)
を称し毎度諮問した由記しあれば、蜈蚣鯨の一項は向井氏が西洋人か
訳官
(
つうじ
)
から聞き得て貝原氏に伝えたのかも知れぬ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この推察は極く皮相に
止
(
とどま
)
っているかも知れない。
為人
(
ひととなり
)
の一面を見たに過ぎぬかも知れない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕はこの遊びが好きで、よく父にせがんだものでしたが。もし父が並の躯であったなら、父のこういう
為人
(
ひととなり
)
はもっと外部にあらわれて、広く、暖く、家庭を包んだことでしょう。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
さは
謂
(
い
)
へ、こは
情
(
なさけ
)
の
掛※
(
かけわな
)
と知れば、又甘んじて受くべきにもあらず、しかのみならで、彼は素より満枝の
為人
(
ひととなり
)
を
悪
(
にく
)
みて、その
貌
(
かたち
)
の美きを見ず、その
思切
(
おもひせつ
)
なるを汲まんともせざるに
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ほどなく美人は
醒
(
さ
)
めて、こは石動の
棒端
(
ぼうばな
)
なるを
覚
(
さと
)
りぬ。御者はすでにあらず。渠はその名を嫗に
訊
(
たず
)
ねて、金さんなるを知りぬ。その
為人
(
ひととなり
)
を問えば、方正謹厳、その行ないを
質
(
ただ
)
せば学問好き。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
内容を読んで見ると、
為人
(
ひととなり
)
も自然分って来るという仕組である。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「されば、配所のお住居も、いつか十七年とおなり遊ばし、至ってお
健
(
すこ
)
やかに、
為人
(
ひととなり
)
もまた尋常でいらっしゃいます」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は道鏡の高い
為人
(
ひととなり
)
を見ぬいたので、自分が彼を利用しうるなら、自分が道鏡をかつぐ
先鋒
(
せんぽう
)
となろうと考えていたように私は解する。自分がかつぐに足る人格を見たのかも知れぬ。
安吾史譚:02 道鏡童子
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
三田出身の
操觚者
(
そうこしゃ
)
中松本水上の二子最も喜ぶ可し。余の二子を喜ぶ所以は専らその
為人
(
ひととなり
)
に在り。三田社中才子多し文を作るに巧なるものを求めなば何ぞ二子のみを俟つに及ばんや。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
髯
(
ひげ
)
のべったりした
口許
(
くちもと
)
に
笑
(
わらい
)
は見せたが、御承知の
為人
(
ひととなり
)
で、どうとも
謂
(
い
)
わぬ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼の
為人
(
ひととなり
)
を説明するのがこの話しの目的ではないから、別に深入りはしないが、例えば上田秋成の「
雨月
(
うげつ
)
物語」の内で、どんなものを彼が好んだかということを
一言
(
いちげん
)
すれば、彼の人物がよくわかる。
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
凌統はことしまだ二十一の若年ながら、父に従って江夏へおもむいた初陣以来、その勇名は
赫々
(
かっかく
)
たるものがある。その
為人
(
ひととなり
)
を、孫権も
愛
(
め
)
で惜しむのであった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信夫恕軒
(
しのぶじょけん
)
の作った枕山の伝は最よくその
為人
(
ひととなり
)
を知らしむるものである。その一節に曰く
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
比律賓
(
フィリッピン
)
総督ドミンゴ・ザルバルブル・ルシェベルリはシドチの
為人
(
ひととなり
)
を知つていたく敬服の念を懐いたが、その金鉄の宿志をきいて深く憐れみ、一切の費用を負担して一艘の大船を
艤装
(
ぎそう
)
し
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“為”で始まる語句
為
為事
為方
為替
為様
為体
為合
為来
為業
為朝