“雨月”の読み方と例文
読み方割合
うげつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その翌日——雨月うげつの夜の後の日は、久しぶりに晴やかな天気であつた。天と地とが今朝よみがへつたやうであつた。森羅万象は、永い雨の間に、何時しかもう深い秋にもかはつて居た。
雨月うげつ物語』の中のいずれの章であったか、れが今度旅から帰るのはくずの葉の裏が白く風にひるがえるころだろうといった意味の文章があった。葛の葉の裏の白さは初秋の空白を示している。
そこにあつた安永五年刊の雨月うげつ物語を取つて鉢のふたにした。この奇怪に優婉ゆうえんな物語は、彼が明和五年三十五歳のときに書いたものである。書いてから本になるまで八年の月日がかかつてゐる。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)