“濶歩:かっぽ” の例文
“濶歩:かっぽ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
泉鏡花3
正岡子規2
夏目漱石2
永井荷風2
“濶歩:かっぽ”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 倫理学・道徳 > 人生訓・教訓15.4%
歴史 > 伝記 > 日本8.3%
文学 > フランス文学 > 小説 物語3.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
墳墓の土地の風景と、濶歩かっぽした城廓の姿と——そして、それらの人に混って、自分もまたそこに逍遙しょうようしていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
彼は三条橋上を、白毛毿々さんさんたる長槍をにない、儀衛ぎえい堂々、横行濶歩かっぽして練り行くの特権を有したり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
倉地は力のこもった目で葉子をじっと見てちょっとうなずくとあとをも見ないでどんどんと旅館のほうに濶歩かっぽして行った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
物音はまぬのみか、しだいに高まッて、近づいて、ついに思いきッた濶歩かっぽの音になると——少女は起きなおッた。
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
幅員はばが三十三メートルもあるその大通りのまん真中を、洋杖ステッキをふりふり悠然と濶歩かっぽしてゆくのだった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくのごとく人は皆これを難しとするところに向って、ひとり蕪村は何の苦もなく進み思うままに濶歩かっぽ横行せり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
いよいよ王政復古となったころは、彼は長い天井裏からはい出し、大手を振って自由に濶歩かっぽしうる身となった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこにうち立てられた神は、人の魂を窮屈なる信条のうちに閉じ込むるものではなく、自由に濶歩かっぽするの力を人の魂に与うるものである。
かくの如く人は皆これを難しとする所に向つて、独り蕪村は何の苦もなく進み思ふままに濶歩かっぽ横行せり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あまり車夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行濶歩かっぽするのを憎らしいと思って負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
殺伐するに仮借のない張飛は、歩むところにあけをのこしながら胴の間を濶歩かっぽした。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——しかしまた、そのあかじみた、被服大小たりとも、見すぼらしくは見えない程、この二人の濶歩かっぽには、悠々とした気概があり、堂々とした構えがあった。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に、トム公は、スタスタと自分で大股に濶歩かっぽして、相沢の大通りへ出た。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いささかの遅延を忍べばまだまだ悠々として濶歩かっぽすべき道はいくらもある。
むなしくわざわいの暴威と敵兵の濶歩かっぽにおののくだけであった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は自分の力に欣喜きんきしながらパリーの中を濶歩かっぽした。
この死は、大股に濶歩かっぽして、あらゆるところを歩き廻る。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
ロシアの支配下のモンゴリヤ人が来て居るので、本当のロシア人はどこにも見出せないのに、それをラサの市街まち濶歩かっぽして居るかのようにダージリンへ来て吹聴ふいちょうして居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼はその時服装なりにも、動作にも、思想にも、ことごとく当世らしい才人の面影おもかげみなぎらして、たかい首を世間にもたげつつ、行こうと思うあたりを濶歩かっぽした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれど、もとより、その暴と権力が、横行し濶歩かっぽした時代。天堂一角のごとき、暴をもってろくみ、暴をもって誇りとする原士気質はらしかたぎが、そんな条理に耳をかすべくもない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水溜りでも泥路でも、平気で濶歩かっぽできる。
服装に就いて (新字新仮名) / 太宰治(著)
絶食しつづけた彼れらが、重いよろいを着て、勇気凛然りんぜんたる顔附きをして、雪の大路を濶歩かっぽするその悲惨なる心根——それは実際の困窮を知らぬものには想像もつきかねるいたましさである。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
云いながら、彼は室内を大股に濶歩かっぽした。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見あげるやうな長身で、中肉、禿でた額、こめかみにいつも浮んでゐる癇癖かんぺきの筋、炯々けいけいといふよりは寧ろ冷徹な眼光、とほりのいい幅のひろい声音、独往無礙どくおうむげなその濶歩かっぽぶり
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
吉原を縦横に濶歩かっぽする。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
高等学校のころには、頬に喧嘩けんかの傷跡があり、蓬髪垢面ほうはつこうめん、ぼろぼろの洋服を着て、乱酔放吟して大道を濶歩かっぽすれば、その男は英雄であり、the Almighty であり、成功者でさえあった。
春の盗賊 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「なにとがめりゃわしが名乗って聞かせる、雀部といえば一縮ひとちぢみじゃ。貴様もジャムを連れて堂々濶歩かっぽするではないか、親の光は七光じゃよ。こうやって二人並んで歩けばみんなみちけるわい。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世にはこれよりも更にだいなる悪、大なる罪を犯しながら白昼大手を振りて、大道だいどう濶歩かっぽする者も多かるに、だいわすれてしょうを拾う、何たる片手落ちの処置ぞやなど感ぜし事も数〻しばしばなりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
木部はやせたその右肩を癖のように怒らしながら、急ぎ足に濶歩かっぽして改札口の所に近づいたが、切符を懐中から出すために立ち止まった時、深い悲しみの色をまゆの間にみなぎらしながら、振り返ってじっと葉子の横顔に目を注いだ。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
庭へ移って、かけひの水で手を洗い、本丸の一室へはいったかと思うと、忽ち、衣服をあらため、小姓、二、三名をうしろに、書院のほうへ濶歩かっぽしてゆく彼の小がらな姿が、大廊下いっぱいにしている秋の朝陽を横ぎっていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時までも目を放たで直立したりし黒衣の人は、濶歩かっぽ坐中にゆるいでて、燈火を仰ぎ李花にして、厳然として椅子にり、卓子ていぶる片肱かたひじ附きて、眼光一閃いっせん鉛筆のさきすかし見つ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こうした事情で明治政府から筑前閥がノックアウトされたという事が、そののちに於ける頭山満、平岡浩太郎、杉山茂丸、内田良平等々の所謂、福岡浪人の濶歩かっぽの原因となり、歴代内閣の脅威となって新興日本の気勢を、背後から鞭撻しはじめた。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かくの如く脆弱ぜいじゃくにして清楚なる家屋とかくの如く湿気に満ち変化に富める気候のうち棲息せいそくすれば、かつて広大堅固なる西洋の居室に直立濶歩かっぽしたりし時とは、百般の事おのずか嗜好しこうを異にするはけだし当然の事たるべし。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
世人もまたかかる人物をめる傾向があったゆえ、もし肩でもいからして往来を濶歩かっぽするか、あるいは人の気にさわることでも大声にしゃべり、相手の人が、病犬がえるかと疑いければ、これはこわくて近づかぬのだと解してますますこれを行う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
濶歩かっぽ埋葬地の間をよぎりて、ふと立停たちどまると見えけるが、つかつかと歩をうつして、謙三郎の墓にいたり、足をあげてハタと蹴り、カッパとつばをはきかけたる、傍若無人の振舞の手に取るごとく見ゆるにぞ、意気激昂げきこうして煙りも立たんず、お通はいかで堪うべき。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
折々僕も見ることであるが、役人にしてその位地が堅固けんごなりと思うあいだは随分勝手かってな口をきき、いつめても天下を濶歩かっぽする意気込みを現すも、一たび辞職を勧告さるればたちまち態度を変え、即日より上官のことをうわさするにも敬語を用い、一夜にしてかくまでも変化するかと驚くことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
麻油は痴川に一向おかまいなしに、まるで自分の一存いちぞんで来たような落付きようで、ほかに相客あいきゃくの一人もない静かな廊下を濶歩かっぽして行って湯につかったり、スキーを習ったりしていたが、痴川と顔が会うときには大概にやにやして煙草をくゆらし乍ら、又その上にも面白そうに笑い出したりするのである。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)