本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
この辞句の裏には何よりも信盛が自己の罪のみを汲々と怖れて弁解している気もちが出ている。いやそれ以外には何もないといってもいい。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世のいわゆる慈善家・道徳家・博愛家の丹心より出でずしてかえってかのただ利これ汲々たるの商人より出でたることを見て
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ヴェランダには人々、女達が多勢立って外を眺めている。中には銃を持った者もいた。此の支那人ばかりではなく、島に住む外国人は皆自己の資財を守るに汲々としている。
英独の海軍競争既にかくの如くであるから、他の列強もこれと均衡を維持するために、各々海軍の勢力増大に熱衷し、今や列強共、海軍力の競争に汲々としておるという有様である。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ただ専門知識を吸収するのみに汲々としてこの点を閑却するに於ては人間は利己的となる。進んで国と世界とのために尽すという犠牲的精神は段々衰えて来るのである。恐るべきことである。
名に汲々たる君子にして名を欲せざるものあり。実に封建の道徳世界なるものは牛鬼蛇神、ほとんど吾人が想像しあたわざるものなり。しかれどもこれあにやむをえんや。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
諸国戦乱の絶えまもなく、各〻が自己の存立に汲々としている世情の常とはいっても、浅ましい限りであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その世界的野心を遂ぐるに汲々たる者は無い。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
その兵力や財力がないのではなく、彼自身も、藩老のすべても、現状の維持に汲々としていたからであった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その一面、軍備と防塞に、拍車をかけて、急に、殻をかぶったように、汲々と、国境をかためた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それによって建国されたこの呉の土を、むざむざ敵将操の手にまかしていいものでしょうか。汲々、一身の安全ばかり考えていていいでしょうか。それがしは思うだに髪の毛が逆立ちます
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)