もとめ)” の例文
保は枳園のもとめに応じて、新聞社に紹介し、二、三篇の文章を社に交付して置いて、十二日にまた社用を帯びて遠江国浜松に往った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すぎとし北国より人ありてこぶしの大さの夜光やくわうの玉あり、よく一しつてらす、よきあたひあらばうらんといひしかば、即座そくざに其人にたくしていはく、其玉もとめたし
理屈りくつまうすぢやありません、わたくし越權えつけんわたくし責任せきにんひます。貴下あなたしんじませんか、いまげん難破船なんぱせん救助きゆうじよもとめるのを。
瞋恚しんいの念が、洗われた惟念の心には、枯淡なもとめの道の思いしか残っていなかった。長い長い敵討の旅の生活が、別人の生涯のようにさえ思われはじめた。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
權勢家けんせいかなにがしといふが居てこの靈妙れいめうつたき、一けんもとめた、雲飛うんぴ大得意だいとくいでこれをとほして石を見せると、なにがしも大に感服かんぷくしてながめて居たがきふぼくめいじて石をかつがせ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼等かれら自分じぶん田畑たはたいそがしいときにもおはれる食料しよくれうもとめため比較的ひかくてき收入みいりのいゝ日傭ひようく。百姓ひやくしやうといへば什麽どんな愚昧ぐまいでもすべての作物さくもつ耕作かうさくする季節きせつらないことはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けだし欧羅巴諸国の和解をなせしは希臘国のもとめに応じたるなり。〈同五百廿八葉〉
一月八日に保は東京博文館のもとめに応じて履歴書、写真並に文稿を寄示した。これが保のこの書肆しょしのために書をあらわすに至った端緒たんちょである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すぎとし北国より人ありてこぶしの大さの夜光やくわうの玉あり、よく一しつてらす、よきあたひあらばうらんといひしかば、即座そくざに其人にたくしていはく、其玉もとめたし
大島老人おほしまらうじん病床びやうしやうして、最後さいご教訓けうくんかれもとめとき老人らうじんしづかに
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
雪中の熊は右のごとく他食たしよくもとめざるゆゑ、そのきも良功りやうこうある事夏の胆にくらぶれば百ばい也。我国にては、●飴胆あめい琥珀胆こはくい黒胆くろいとなへ色をもつてこれをいふ。琥珀こはくを上ひんとし、黒胆を下品とす。
他国たこく旅人たびゝとなどはおそる/\移歩あしをはこびかへつておつものあり、おつれば雪中にうづむ。る人はこれをわらひ、おちたるものはこれをいかる。かゝる難所なんじよを作りて他国の旅客りよかくわづらはしむる事もとめたる所為しわざにあらず。