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梃
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てこ
ふりがな文庫
“
梃
(
てこ
)” の例文
少佐はその壊れ目にステッキを突込んで、
梃
(
てこ
)
のようにして、とうとう鎧戸をこじり開けました。次に彼は窓の
硝子
(
ガラス
)
を叩き破りました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
梃
(
てこ
)
でも動かぬといった感じで、ボックスでとぐろを巻いているのだ。しかし、十三時間の間、幾子と口を利くのはほんの二言か三言だ。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
僕は町子さんの為めに尾崎君の御機嫌を取ったけれど、一こくな奴だから
梃
(
てこ
)
でも動かない。そのまゝ絶交の形になってしまった。
合縁奇縁
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それからもうひとつ……あれのマザアもそうだったが、気むずかしいところがあって、なにか気がさすと
梃
(
てこ
)
でもいけなくなる。
復活祭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
光政はしばらく団兵衛を見戍っていたが、
梃
(
てこ
)
でも動かぬ決心がよく分ったので、やがて胸のうちに何か頷きながら、急に声を荒げて云った。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
日頃は
寧
(
むし
)
ろ弱気で好人物の早坂勇ですが、仕事の事となると、俄然性根に筋金が入って、
梃
(
てこ
)
でも動かない闘士になるのでした。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは歌劇「リゴレット」をうたってもよいとおっしゃるまでは
梃
(
てこ
)
でも動くまいと思って、黙って坐りこんでしまいました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
然し、鉄棒を
梃
(
てこ
)
にして押し動かそうとすると、そこの地面が崩れ落ちたり、足がめいり込んだりして、一寸困難だった。
古井戸
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
揚錨絞盤
(
キャプスタン
)
の
梃
(
てこ
)
を𢌞すのに調子を合せて歌って
嗄
(
しゃが
)
らしたらしい、高い、老いぼれたよぼよぼの声だった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
でも彼は自分とハスレルとを隔てる人々の着物や足の間に、自分の頭を
梃
(
てこ
)
のようにつき込んでいた。——彼はあまり小さすぎた。舞台まで行くことができなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
キュヴィエーが飼った猩々は椅子を持ち歩いてその上に立ち、思うままに懸け金をはずした。レンゲルはある猴は
梃
(
てこ
)
の用を心得て
長持
(
ながもち
)
の
蓋
(
ふた
)
を棒でこじあけたというた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
従って犯人は、操縦技術を知ってる男で、犯行後再び機関車からこちらの梯子へ飛び移る前に、素速く発車
梃
(
てこ
)
を起し、
加速装置
(
アクセンレーター
)
を最高速度に固定したに違いありません。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
その鉄の一片が何用のために作られたものであるかは、
暗闇
(
くらやみ
)
の中では見きわめ難かった。たぶんそれは
梃
(
てこ
)
ででもあったろうか、またはおそらく
棍棒
(
こんぼう
)
ででもあったろうか。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
セラピオン師は
鶴嘴
(
つるはし
)
と
梃
(
てこ
)
と、提灯とを用意して来ました。そうして夜なかに、わたしたちは——墓道を進みました。その付近や墓場の勝手を僧院長はよく心得ていました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
またよくある例は、二
吋
(
インチ
)
くらいの長さの細い金棒に紐を結びつけたのを使う。犯人が部屋を出る時に、この棒を恰度
梃
(
てこ
)
代りになるような風に鍵の頭の孔に上から刺しておく。
J・D・カーの密室犯罪の研究
(新字新仮名)
/
井上良夫
(著)
その夜文三は
断念
(
おもいき
)
ッて叔母に詫言をもうしたが、ヤ
梃
(
てこ
)
ずったの梃ずらないのと言てそれはそれは……まずお政が今朝言ッた厭味に輪を懸け枝を添えて百
万陀羅
(
まんだら
)
并
(
なら
)
べ立てた
上句
(
あげく
)
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
又旅へ出たという所から自然又旅のお角と
綽名
(
あだな
)
を取りました者で、其の子として道連の小平、是も胡麻の灰の
頭分
(
かしらぶん
)
で、
此奴
(
こいつ
)
がどッさりと上げ
胡座
(
あぐら
)
を掻くと
梃
(
てこ
)
でも動かないという
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところが、いよいよ
羅針盤
(
コンパス
)
の四隅は銀盃の酒で清められ、支柱がとり外され、巨体が一間ばかりそろそろと辷った、と思うと、どうしたわけか、そこへ釘づけになって、
梃
(
てこ
)
でも動かない。
黒船前後
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
このおやじがコンナ調子になったら
梃
(
てこ
)
でも動かない前例があるから弱ったよ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仮令
(
たとえ
)
江戸
(
えど
)
に
幾
(
いく
)
千の
女
(
おんな
)
がいようともうちの
太夫
(
たゆう
)
にばかりは、
足
(
あし
)
の
先
(
さき
)
へも
触
(
ふ
)
らせることではないと、三
年前
(
ねんまえ
)
に
婚礼早々
(
こんれいそうそう
)
大阪
(
おおさか
)
を
発
(
た
)
って
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
から、
肚
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
には、
梃
(
てこ
)
でも
動
(
うご
)
かぬ
強
(
つよ
)
い
心
(
こころ
)
がきまっていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
僕も至極道理とは思ったが
差当
(
さしあた
)
り本人同士を引離す工風がない。お代先生を
郷里
(
くに
)
へ戻したいにも御本人決して承知する
気支
(
きづかい
)
もなし、
殊
(
こと
)
に婚礼の約束まで済んだ上は
梃
(
てこ
)
でもあの家を動く事はない。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
是
(
ここ
)
に至って私は後立鹿島槍同山説を主張して、
梃
(
てこ
)
でも動かぬ考である。
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
押掛け嫁のつもりで來たから、部屋の隅にでも泊めてくれ——と、あつしの床の前に坐り込んで——
梃
(
てこ
)
でも動かないでせう。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「地震さえ揺らなければ、無論及第する人でございます。思い込んだが最後、
梃
(
てこ
)
でも動かない性分ですから仕方ありません」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
成助が分別ありげに云った、「彼らは自分たちで品を動かそうとしております、もし監察使の来ることがわかったら
梃
(
てこ
)
でも動かなくなるでしょう」
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
錨を捲き揚げる絞盤の
梃
(
てこ
)
をぐいと𢌞し、次にまた水夫長が歌い、合唱がそれに続くのである。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
鳥渡
(
ちょっと
)
狼狽の色を見せた支倉は
忽
(
たちま
)
ち元の冷静な態度に帰って、
梃
(
てこ
)
でも動かぬと云う風だった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
人のごとく物を
抛
(
な
)
げ、物を取り寄せ杖で他を打ち、
鎚
(
つち
)
で栗を破り、
梃
(
てこ
)
で箱の
蓋
(
ふた
)
を開き、棒をへし折り、毛箒の柄の螺旋を捻じ入れ捻じ戻し、握手を交え、
燭
(
しょく
)
に点火してその燃ゆるを守り
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
グールメルは浮浪人らが頬かぶりと呼ぶ一種の曲がった
梃
(
てこ
)
を持っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
流石
(
さすが
)
の病人に慣れた青眼先生も、これには驚き慌てまして、紅矢の左の手に飛び付いて、一生懸命こじ明けようとしましたが、どうして
梃
(
てこ
)
でも動かばこそ、かえってだんだん強く握り締めるために
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
神さまの意思と信じたら、この先生は
梃
(
てこ
)
でも動かない。私はもう取りつく島がなかったから、又
少時
(
しばらく
)
待った後翌年の正月に土佐へ赴任することに定めた。
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「この臺は思ひの外重いんですがね。宜い鹽梅に側にあつた
梃
(
てこ
)
を使つてあげて見ると、中は
洞
(
うつ
)
ろになつて、この三品をねぢ込んでゐるぢやありませんか」
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梃
(
てこ
)
でも動かないからとあぐらをかかれ、始末に困って番頭はひき下った。
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして、
明方
(
あけがた
)
少し前に、
水夫長
(
ボースン
)
が呼子を鳴らして、船員が
揚錨絞盤
(
キャプスタン
)
の
梃
(
てこ
)
に
就
(
つ
)
き始めた時分には、私はへとへとに疲れていた。その二倍も疲れていたにしても、私は甲板を去りはしなかったろう。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「此方も骨が折れるが御本人も不便だろうと思って、六十の手習いを勧めて見たけれど、
梃
(
てこ
)
でも動く人じゃない」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「さう言はず行つて來るが宜い。歸りには
鳶頭
(
とびがしら
)
の家へ寄つて、道具を借りて來るんだ。
梃
(
てこ
)
と
槌
(
つち
)
と
鋤
(
すき
)
だ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そう言わず行って来るがいい。帰りには
鳶頭
(
とびがしら
)
の家へ寄って、道具を借りて来るんだ。
梃
(
てこ
)
と
槌
(
つち
)
と
鋤
(
すき
)
だ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「到頭やることにした。
梃
(
てこ
)
でも動く奴じゃない」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
追ひ出さうとしたが、お近の方は主人の首根つこに
噛
(
かじ
)
り附いて、
梃
(
てこ
)
でも動かず、あべこべに、内儀を投り出さうとしてゐたんだといふから達者なものでせう。それから——
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は板の隙間に
梃
(
てこ
)
を打ち込み乍ら、この容易ならぬ勞作を手傳はせる相手を物色します。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梃
(
てこ
)
でも動かないと言ひ出し、離屋の窓々に頑丈な格子を打ち付け、四方の戸に
錠
(
ぢやう
)
をおろして、鍵は自分の手に持つたのが一つだけ、娘のお君の外には、誰も離屋に寄せつけ無い。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は
此家
(
ここ
)
の
心棒
(
しんぼう
)
だから、
梃
(
てこ
)
でも動かないと言い出し、
離屋
(
はなれ
)
の窓々に
頑丈
(
がんじょう
)
な格子を打ち付け、四方の戸に
錠
(
じょう
)
をおろして、鍵は自分の手に持ったのが一つだけ、娘のお君のほかには
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この二人の武家はウンと言うまで、
梃
(
てこ
)
でも動きそうもないのを見て取ったのです。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この二人の武家はウンと言ふ迄、
梃
(
てこ
)
でも動きさうもないのを見て取つたのです。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一々お前に
逆
(
さか
)
らって済まねえが、——今朝っから
気色
(
きしょく
)
の悪いことが続くんだよ、
家主
(
おおや
)
の
親仁
(
おやじ
)
がやって来て、立退く約束で家賃を棒引にした
店子
(
たなこ
)
が、此方の足元を見て、
梃
(
てこ
)
でも動かねえから
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
素より久六も見殺しにする意志はなかつたのですが、柱に獅噛みついて
梃
(
てこ
)
でも離れず、その間に火が廻つて唯一の逃げ路を失ひさうになつたので、これは火の中に見捨てる外はなかつたのです。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
加賀の白山から出て來た伍助といふ男で、熊の
膽
(
ゐ
)
だか
鼻糞
(
はなくそ
)
だか、變なものを賣り歩いて、四つ目の八軒長屋の奧に住んで居りますが、近所から文句が出ても、ニヤリニヤリ笑つて
梃
(
てこ
)
でも動かねえ。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梃
(
てこ
)
でコヅキ落さなきや、首尾よく下へ落ちてくれなかつたに違ひない。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
入口に
粘
(
ねば
)
つて、女房のお靜を
手古摺
(
てこず
)
らせてゐる中年男があつたのです。その調子は
慇懃
(
いんぎん
)
で
朴訥
(
ぼくとつ
)
でさへありましたが、押しが強くてわけがわからなくて、
梃
(
てこ
)
でも動かない
執拗
(
しつあう
)
なところがあつたのです。
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに續くのは多見治、その手には
梃
(
てこ
)
と
鍬
(
くわ
)
が用意されて居ります。
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梃
漢検1級
部首:⽊
11画
“梃”を含む語句
金梃
二梃
変梃
梃子
一梃
鉄梃
變梃
鐵梃
四梃艪
六十梃
変梃来
梃剃刀
梃妙来
八梃櫓
梃擦
何梃
二梃艪
二梃束髪
一梃蝋燭