“てこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
35.2%
梃子18.0%
槓杆14.1%
手古10.9%
8.6%
挺子4.7%
槓桿1.6%
1.6%
手子0.8%
手扱0.8%
手拈0.8%
0.8%
木挺0.8%
0.8%
鉄挺0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
てこでも動かぬといった感じで、ボックスでとぐろを巻いているのだ。しかし、十三時間の間、幾子と口を利くのはほんの二言か三言だ。
四月馬鹿 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
見事な廊下で、男の手だけで煮炊にたきをするやら、洗濯をして松の木にほすやら……当家の主人は、こっち側とばかり、梃子てこでも動かぬ気組み。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そりゃ、あなた、日本の国情がどうあろうと、こっちの言い分が通るまでは動かないというふうに——槓杆てこでも動かないいわのような権幕けんまくで。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
白いひげを長く延ばした爺さんであつたが、なかなか重いと見え、人夫は白い息をふうふうと吐いて少し手古てこずり、すると、人々の間から
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
伊作をかばいだすと、てこにもおえなくなるのが、むかしからの例だから、これはもう、きいても無駄だと思って、せんさくをするのはやめにした。
野萩 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これは物理学の挺子てこの原理というのです。この棒を長くすればするほど、どんな強い力でも出せるのです。井戸のポンプの柄と同じわけなのです。
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「あのようなとびらに合うかぎといっては槓桿てこのほかにはありません。」
即ち原稿用紙三枚の久保田万太郎論を草する所以なり。久保田君、幸いに首肯するや否や? もし又首肯せざらん乎、——君の一たび抛下すれば、てこでも棒でも動かざるは既に僕の知る所なり。
久保田万太郎氏 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その村上も、決して坑夫に特別味方して呉れた医者じゃなかった。たゞ事実を有る通りに曲げなかった。そして、公平に、坑夫でも手子てこでも空いていさえすれば、一等室に這入らした。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
併し、だからと言ってこれを拒絶して、手扱てこきを使い続ける気にもなれなかった。
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
女房こいつを連れ出すにも、なかなか、なんのかのと言い渋るので手拈てこずッたが、俺の夢見に二タ晩も岳廟の神があらわれて、きょうまでの魔邪まがつみは水に流し、以前の夫婦仲を誓い直せと
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
てこでも動かぬにこうじ果てて、すっぱすっぱ煙草たばこを吹かすやら、お前様、くしゃみをするやら、向脛むかはぎたかる蚊をかかと揉殺もみころすやら、泥に酔った大鮫おおざめのような嘉吉を、浪打際に押取巻おっとりまいて、小田原評定ひょうじょう
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二重荷車を引張ったり木挺てこでこじたりしていたが、ここでも彼等が元気よく歌うことは同様で、群を離れて立つ一人が音頭をとり、一同が口をそろえて合唱をすると同時に
又、坤軸こんぢくに根ざすの巌なり。地殻層上の力、そのてこ如何いかに強しといへども、又動かすに由なし、人生最大の権威、一にこの信念の巌上に建てらる。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かしらを呼びにやるやら何やら騒ぎ致しますけれども、小平は鉄挺てこでも動きませんので、持て余している所へ帰って来たのは主人善右衞門で、これより小平を奥へ連れてまいり
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)