槓杆てこ)” の例文
頂上には、おもに堅い木で作った大きな歯車はぐるま槓杆てこの簡単な機械が、どろどろにほこりと油とで黒くなって、秒を刻みながら動いていた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そりゃ、あなた、日本の国情がどうあろうと、こっちの言い分が通るまでは動かないというふうに——槓杆てこでも動かないいわのような権幕けんまくで。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
箱の前の鍵盤のようなものの一つを指で押すと槓杆てこの仕掛けで一疋の猫の尻尾しっぽをぐいと押す。すると猫がにゃあと鳴く。
猫六題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
又は槓杆てこでも動かぬ長尻の訪客を咄嗟の間に紙片のように掃き出してしまうという辣腕らつわん家が時あってか出頭して、人天の眼を眩ぜしむるには驚かされるのである。
謡曲黒白談 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それに槓杆てこの枕を捨てたのは宜いが、土竈へつつひを据ゑた場所が少し動いて居ることに氣が付かなかつた
なによりもまず一家の墓窖はかあなを内側から造作なくあけることができるように作りかえた。墓のなかへずっと突き出ている長い槓杆てこをちょっと押せば鉄の門がぱっと開くようにした。
私たちはその事件を槓杆てこにして、あの重たい難物を家から追ひ出す工夫をしましたつけ。
槓杆てこを以て地球を動かすと断言したではないか、しかもそれは遠い昔しの事だ、昔しの人でさえ地球を動かすといったのに、今文明の恵みの光に浴する僕らが力を以てするからには
太陽系統の滅亡 (新字新仮名) / 木村小舟(著)
然し我々の人力車夫は一向おかまい無しで、石の周囲を掘り、さお槓杆てこにして、我々はそれをひっくり返した。図585はこの外見をざっと写生したもので、内側は小間パネルに刻んである。
それは何か重たいものを強い槓杆てこで動かす時のやうな聲であつた。私は鳴きましたよ、私は鳴いてゐますよ、蝉は恐らくさういふつもりで鳴いてゐるのであらう、ほんのそのしるしだけ。
艸千里 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
弱い鉄棒を引きぬいて槓杆てことしとびらをこじあけるか錠前をこわすかするつもりで、彼は鉄棒を一本一本つかんだが、どれも小揺るぎさえしなかった。とらきばもおよばないほど固く植わっていた。
槓杆てこ螺牡ねじけて見ることは出来ない。675
各自てんで槓杆てこよりも立派な腕を
人体諸機関の活動を支配する脳神経の作用は別として、人間の五体殊に手足のごときものを力学的に見ればただ複雑な槓杆てこの組み合せだと云うことも出来る。
相撲と力学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
棒が槓杆てこになるから、恐ろしい力で内儀の喉笛を潰せる、下手人は一人でたくさんではないか
音楽家が演奏をしている時に風や雨の音、時には自分の打っているキーの不完全な槓杆てこのきしる音ですらも、心がそれに向いていなければ耳には響いても頭には通じない。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
棒が槓杆てこになるから、恐ろしい力で内儀の喉笛が潰せる、下手人は一人で澤山ではないか
脇差は川へほうり込んだ。が、金はその丸太を槓杆てこにして、土竈の下に隠してあるはずだ。
脇差は川へ投り込んだが、金はその丸太を槓杆てこにして、土竈へつつひの下に隱してある筈だ。
尤も、同じ親分の作でも、土竈へつつひを丸太の槓杆てこで起すと、その底から八百兩といふ小判が出て來たのは驚きましたね。——土竈の横腹から盜んで土竈の尻の下に隱す奴も馬鹿ぢやねえが、それを
もっとも、同じ親分の作でも、土竈へっついを丸太の槓杆てこで起すと、その底から八百両という小判が出て来たのは驚きましたね。——土竈の横腹から盗んで土竈の尻の下に隠す奴も馬鹿じゃねえが、それを