役所やくしよ)” の例文
學校がくかう中途ちゆうとめたなり、ほんほとんどまないのだから、學問がくもん人並ひとなみ出來できないが、役所やくしよでやる仕事しごと差支さしつかへるほど頭腦づなうではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのやうなつまらぬかんがへをつて、つまらぬ仕向しむけをいたしまするつまへ、のやうな結構けつこうひとなればとて親切しんせつむかはれましやうか、お役所やくしよから退けておかへあそばすに
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたのこり六十兩はおのれものとし是迄に掠取かすめとりし金と合せ見るに今は七百兩餘に成ければ最早もはや長居ながゐは成難しと或日役所やくしよにてわざいさゝかの不調法ぶてうはふを仕出し主人へ申譯立難たちがたしとて書置かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いや、うも、今日けふ閻王たいしやう役所やくしよしらべものが立込たてこんで、ひどよわつたよ。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことに樂浪郡らくろうぐん役所やくしよのあつたところは、今日こんにち平壤へいじようみなみ大同江だいどうこうむかぎしにあつて、ふる城壁じようへきのあともありますが、支那しなから派遣はけんせられた役人やくにんがこゝにとゞまつて朝鮮ちようせんをさめてゐたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
兎角とかくするうちにつき滿ちた。いよ/\うまれるといふ間際まぎはまでつまつたとき、宗助そうすけ役所やくしよながらも、御米およねことがしきりにかゝつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あれくらゐわたしいてもうらんでも取合とりあつてくださらなかつたは旦那樣だんなさまのおえらいので、あの時代じだいのやうな蓮葉はすはわたし萬一まんいち役所やくしよことでもかしてくださらうなら、どのやうのつまらぬこと仕出來しでかすか
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旦那だんな役所やくしよかよくつさきかゞやいてるけれども、細君さいくん他所行よそいき穿物はきものは、むさくるしいほど泥塗どろまみれであるが、おもふに玄關番げんくわんばん學僕がくぼくが、悲憤ひふん慷慨かうがいで、をんなあしにつけるものを打棄うつちやつてくのであらう。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうして御米およね顏色かほいろは、宗助そうすけかゞみなかみとめたときよりも、さやかにはならなかつた。をつと役所やくしよからかへつてると、六でふてゐることが一二あつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)