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ひろこうじ
ふりがな文庫
“
広小路
(
ひろこうじ
)” の例文
旧字:
廣小路
両国の宿屋は船の着いた
河岸
(
かし
)
からごちゃごちゃとした
広小路
(
ひろこうじ
)
を通り抜けたところにあって、十一屋とした看板からして
堅気風
(
かたぎふう
)
な家だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこから
広小路
(
ひろこうじ
)
へ出るところに、十三屋という
櫛屋
(
くしや
)
があって、往来
端
(
ばた
)
に櫛の絵を画いた、低くて四角な
行灯
(
あんどん
)
が出してありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
昨日の晩
花川戸
(
はなかわど
)
の
寄席
(
よせ
)
で
娘浄瑠璃
(
むすめじょうるり
)
が
縛
(
あげ
)
られる。それから今朝になって
広小路
(
ひろこうじ
)
の
芸者屋
(
げいしゃや
)
で女
髪結
(
かみゆい
)
が三人まで御用になりました。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼の名は万吉、としは二十七、「に組」の火消しだったという。
喧嘩
(
けんか
)
が好きで、暇なときは両国
広小路
(
ひろこうじ
)
あたりをねじろに「喧嘩を拾って」あるいた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上野を抜けて
広小路
(
ひろこうじ
)
へ参り、
万円山
(
まんえんざん
)
広徳寺に来て奧州屋新助のお墓へ香花を手向けて、お寺には縁類の者であると云って
附届
(
つけとゞけ
)
を致し、出て来ますると
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
上野
広小路
(
ひろこうじ
)
黒門町のうなぎや
大和田
(
おおわだ
)
は、祖母に金のことで助けられていたので、その日も私たち子供に、最大公式の
鹵簿
(
ろぼ
)
を拝観させようと心配してくれた。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「よく
上野
(
うえの
)
の
広小路
(
ひろこうじ
)
へ参ります様ですが。今晩はどこへ出ましたか、どうも手前には分り兼ねますんで。ヘイ」
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
上野
(
うえの
)
のデパートメントストアの前を通ったら
広小路
(
ひろこうじ
)
側の舗道に幕を張り回して、中に人形が動いていた。周囲に往来の人だかりのするのを巡査が制していた。
Liber Studiorum
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その翌日のことであったが、ニヤリニヤリと笑いながら、西両国の
広小路
(
ひろこうじ
)
を、人をつけて行く人物があった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
車で駆け通ったんですから前も
後
(
あと
)
もよくはわからないんですけれども、大時計のかどの所を
広小路
(
ひろこうじ
)
に出ようとしたら、そのかどにたいへんな人だかりですの。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ですから私は雨の脚を俥の幌に
弾
(
はじ
)
きながら、燈火の多い
広小路
(
ひろこうじ
)
の往来を飛ぶように走って行く間も、あの
相乗俥
(
あいのりぐるま
)
の中に乗っていた、もう一人の人物を想像して
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蛍雪舎は上野
広小路
(
ひろこうじ
)
に近い上野町の路地の奥にあった。行って見るとそこは新聞
取次
(
とりつ
)
ぎ業をしているところで、「
白旗
(
しらはた
)
新聞店」という看板がかかげられていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「そりゃ、火事だ、火事だ」というので、出て見ますと、火光は三軒町に当っている。通りからいえば
広小路
(
ひろこうじ
)
の区域が門跡寄りに移る
際
(
きわ
)
の
目貫
(
めぬき
)
な点から西に当る。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
……浅草で、お前の、最も親密な、最も馴染のふかいところはどこだときかれれば、
広小路
(
ひろこうじ
)
の近所とこたえる外はない。なぜならそこはわたしの生れ在所だからである。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
広小路
(
ひろこうじ
)
の方まで行って
寿司屋
(
すしや
)
だのおでん屋などに飛び込み、一時半か二時にもなってヒョックリ
帰園
(
きえん
)
いたしますこともございますので、その日も多分いつもの
伝
(
でん
)
だろうと
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼の自動車で上野の
広小路
(
ひろこうじ
)
まで往って、そこから電車へ乗るつもりで降りたがまた例の病気が起って、夜店の古本が
覗
(
のぞ
)
きたくなったので、
切通
(
きりどおし
)
へ寄った方の
人道
(
じんどう
)
へと往った。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
行く手も後方もピカピカと、雲を
劈
(
つんざ
)
く稲妻に囲まれて到頭進退
谷
(
きわ
)
まって、
御徒町
(
おかちまち
)
で電車を降りて、
広小路
(
ひろこうじ
)
の映画館へ飛び込んだら、途端にバリバリズシーン! と、一発落下した。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そこは、
御成街道
(
おなりかいどう
)
が
広小路
(
ひろこうじ
)
にかわろうとする
角
(
かど
)
であった。一方に、
湯島天神
(
ゆしまてんじん
)
の裏門へ登る坂みちが延びていた。そこのところに、
辻
(
つじ
)
待ちの
駕籠屋
(
かごや
)
が、戸板をめぐらして、
股火
(
またび
)
をしていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
或日彼はその青年の一人に誘われて、
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
を散歩した帰りに、
広小路
(
ひろこうじ
)
から
切通
(
きりどお
)
しへ抜ける道を曲った。彼らが新らしく建てられた
見番
(
けんばん
)
の前へ来た時、健三はふと思い出したように青年の顔を見た。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
午後八時を過ぎる頃、わたしは雨を
衝
(
つ
)
いて
根岸
(
ねぎし
)
方面から麹町へ帰った。普通は
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
から本郷台へ昇ってゆくのであるが、今夜の車夫は
上野
(
うえの
)
の
広小路
(
ひろこうじ
)
から電車線路をまっすぐに神田にむかって走った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は
広小路
(
ひろこうじ
)
でわかれて麹町へ帰った。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
両国
(
りょうごく
)
の
広小路
(
ひろこうじ
)
に沿うて石を敷いた小路には小間物屋
袋物屋
(
ふくろものや
)
煎餅屋
(
せんべいや
)
など
種々
(
しゅじゅ
)
なる
小売店
(
こうりみせ
)
の賑う有様、
正
(
まさ
)
しく屋根のない
勧工場
(
かんこうば
)
の廊下と見られる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬車は東京
万世橋
(
まんせいばし
)
の
広小路
(
ひろこうじ
)
まで行って、馬丁が柳並み木のかげのところに馬を
停
(
と
)
めたが、それがあの大都会の幼いものの目に映る最初の時であった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一週間も
田舎
(
いなか
)
へ行っていたあとで、夜の
上野
(
うえの
)
駅へ着いて
広小路
(
ひろこうじ
)
へ出た瞬間に、「東京は明るい」と思うのであるが、次の瞬間にはもうその明るさを忘れてしまう。
破片
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それから
広小路
(
ひろこうじ
)
で、煙草と桃とを買ってうちへ帰った。歯の痛みは、それでも前とほとんど変りがない。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自動車は何事もなかったかの様に、大胆にも明るい電車通りを、
広小路
(
ひろこうじ
)
の方角へ走り去った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
両国
広小路
(
ひろこうじ
)
あたりの裏とか、河岸の水茶屋のあいだなどに、川人足や
折助
(
おりすけ
)
たち相手の荒っぽい居酒屋があるのだが、慣れない者にはわかりにくく、栄二もそれらの店の前を気づかずに通りすぎ
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二人は
広小路
(
ひろこうじ
)
へ出ると、電車通を横切って、むこう側の歩道を駒形の方へ曲って往った。岩本も十間ばかりの距離を置いてその
後
(
あと
)
から
跟
(
つ
)
いて往った。
灰白色
(
かいはくしょく
)
の
靄
(
もや
)
が女の姿を折おり包んで見えた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
新
花屋敷
(
はなやしき
)
が出来て、いろいろの動物が来たり、菊人形が呼び物になったのは、ずっと後のことです。一廻りしますと仲見世へ出ます。
仁王門
(
におうもん
)
から
広小路
(
ひろこうじ
)
まで、小さな店がぎっしりと並んでいます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それから雷門に向って左の方は
広小路
(
ひろこうじ
)
です。その広小路の区域が
狭隘
(
きょうあい
)
になった辺から
田原町
(
たわらまち
)
になる。それを出ると本願寺の
東門
(
ひがしもん
)
がある。まず雷門を中心にした浅草の区域はざっとこういう風であった。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
床「
何
(
なん
)
ですえ、
広小路
(
ひろこうじ
)
の方へ
往
(
ゆ
)
くのなら右へお
出
(
い
)
でなさい」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
広小路
(
ひろこうじ
)
を
田原町
(
たわらまち
)
へ出て
蛇骨
(
じゃこつ
)
長屋。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
広小路
(
ひろこうじ
)
へ曲ると、夜店が
出揃
(
でそろ
)
って人通りも
繁
(
しげ
)
くなったので、二人はそのまま話をやめて
雷門
(
かみなりもん
)
まで来た。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こんな倉庫と物揚げ場との多いごちゃごちゃした
界隈
(
かいわい
)
ではあるが、旧両国
広小路
(
ひろこうじ
)
辺へもそう遠くなく、割合に閑静で、しかも町の響きも聞こえて来るような土地柄は
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
広小路
(
ひろこうじ
)
の松坂屋へはいって見ると歳末日曜の人出で言葉通り身動きの出来ない混雑である。
猫の穴掘り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「エエ有難う。丁度いい所で逢いましたわ、私少し伺いたいことがありますのよ。お
差支
(
さしつかえ
)
なかったら、この次は
広小路
(
ひろこうじ
)
でしょうか。今度止ったら私と一緒に降りて下さいません?」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は
己
(
じぶん
)
の物たりなさを
充
(
み
)
たしてくれる物は、上野の
広小路
(
ひろこうじ
)
あたりにあるような気がした。彼はすぐ広小路まで帰ろうと思った。そう思うとともに、彼の頭の一方に雨の日の上野駅の印象が浮んだ。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それとは心づかない君江は
広小路
(
ひろこうじ
)
の四辻まで歩いて
早稲田
(
わせだ
)
行の電車に乗り、江戸川
端
(
ばた
)
で乗換え、更にまた
飯田橋
(
いいだばし
)
で乗換えようとした時は既に赤電車の出た後であった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そういう人たちがよく半蔵を誘いに来て、
広小路
(
ひろこうじ
)
にかかっている
松本松玉
(
まつもとしょうぎょく
)
の講釈でもききに行こうと言われると、帰りには酒のある家へ一緒に付き合わないわけにいかない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は右を見、左を見して、新規にかかった石造りの
目鏡橋
(
めがねばし
)
を渡った。
筋違見附
(
すじかいみつけ
)
ももうない。その辺は
広小路
(
ひろこうじ
)
に変わって、
柳原
(
やなぎわら
)
の土手につづく青々とした柳の色が往時を語り顔に彼の目に映った。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今日東京の表通は銀座より
日本橋通
(
にほんばしどおり
)
は勿論上野の
広小路
(
ひろこうじ
)
浅草の
駒形通
(
こまがたどおり
)
を
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家は
馬道
(
うまみち
)
辺で二階を人に貸して家賃の足しにしていた。おかみさんはまだ婆さんというほどではなく、案外
垢抜
(
あかぬ
)
けのした小柄の女で、上野
広小路
(
ひろこうじ
)
にあった映画館の案内人をしているとの事であった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の星を数えながらやがて
広小路
(
ひろこうじ
)
の電車に乗った。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“広小路”の解説
広小路(ひろこうじ)とは、江戸時代以後に設置された幅の広い街路のこと。
(出典:Wikipedia)
広
常用漢字
小2
部首:⼴
5画
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“広”で始まる語句
広
広場
広東
広重
広々
広間
広野
広漠
広汎
広袖