市街しがい)” の例文
みなさんはそこで、なつかしい市街しがいをごらんになることでしょう。いろいろな飲食店もあり、生活に必要な品物をも売っている店もございます。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
新聞社は特大の活字もて、このめずらしき冒険ぼうけん少年の記事をかかげた号外を発行した。ニュージーランドの市街しがいは、少年連盟のために熱狂した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
人形芝居にんぎやうしばゐの硝子越しに、あかい柑子の実が秋の夕日にかがやき、黄色く霞んだ市街しがいの底から河蒸気の笛がきこゆる。)
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
市街しがい中心地ちゆうしんちける潰家かいかもとに、大火災だいかさいとなるべき火種ひだね培養ばいようせられつゝあつたことを氣附きづかないでゐたのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
夏の夜の由井ヶ浜は、お祭りみたいに明るくにぎやかであった。浜の舞台ではお神楽かぐらめいた余興が始まっていた。黒山の人だかりだ。舞台を囲んで葦簾よしず張りの市街しがいが出来ている。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
各自おの/\でうつゑたづさへ、續々ぞく/\市街しがい入込いりこみて、軒毎のきごとしよくもとめ、あたへざればあへらず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その後暴人ぼうじん江戸市街しがい横行おうこうし、良家りょうか闖入ちんにゅうして金銭をかすむるのうわさありし時も、先生すこぶる予が家を憂慮ゆうりょせられ、特に塾員じゅくいんめいじ、きたって予が家に宿泊しゅくはくせしめ、昼夜ちゅうや警護けいごせられたることあり。
電燈でんとうひかり白晝まひるあざむかんばかりなる市街しがい上陸じやうりくして、ひそかに櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさより委任ゐにんけたる、電光艇でんくわうていよう秘密藥品ひみつやくひん買整かひとゝのへ、十二のたる密封みつぷうして、いま特更ことさらふね艤裝ぎさうする必要ひつえうもなく
たちまちに山上さんじやうにのぼり見おろせる市街しがい冬がれのさまにはあらず
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
これから 市街しがい御案内ごあんないいたしませう
包圍せられたる市街しがいに鹿が放たれ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かういふふう家屋被害かおくひがいと、放射ほうしやされた噴出物ふんしゆつぶつによつて破壞はかいせられたサンピール市街しがい零落れいらくとはいちじるしい對象たいしようである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかるに家業かげふ出精しゆつせいゆゑもつて、これよりさきとく一個いつここの鍛冶屋かぢやしやうたまひしより、昧爽まいさうける市街しがい現象げんしやううておもむきへんじ、今日けふ此頃このごろいたりては、鍛冶屋かぢや丁々てう/\ふもさらなり
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とないだふしくがごとく、うらむがごとく、いつも(おう)のきたりて市街しがい横行わうかうするにしたがうて、くだん童謠どうえう東西とうざいき、南北なんぼくし、言語ごんごえたる不快ふくわい嫌惡けんをじやう喚起よびおこして、市人いちびとみゝおほはざるなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)