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巾
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はば
ふりがな文庫
“
巾
(
はば
)” の例文
針といっても、長さ一間、
巾
(
はば
)
一尺もある鋼鉄製の
剣
(
つるぎ
)
だ。その
楔型
(
くさびがた
)
の鋭くなった一端が、彼の頸の肉にジリジリと喰い入っているのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼女は、私の注文を聞くと、
一揖
(
いちゆう
)
してくるッと
背後
(
うしろ
)
を向き、来た時と同じように四つ足半の足
巾
(
はば
)
で、ドアーの奥に消えて行った。
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
第一に孤蝶子——馬場氏が日記の中で
巾
(
はば
)
をきかしている——先生の熱心と、友愛の情には、女史も心を動かされた事があったのであろう。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わざと伝法に「むかしがなつかしいの何のと、そんな年齢でもないじゃあねえか。娘っこのくせに、
巾
(
はば
)
ったい口をきくもんじゃあねえよ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
線にしてもまた長さのみありて
巾
(
はば
)
なしというは、幾何学上の理想たるにとどまり、実際目に見ゆるものであれば、必ず計り得るものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
串談
(
じようだん
)
はぬきにして結城さん貴君に隠くしたとて仕方がないから
申
(
まをし
)
ますが町内で少しは
巾
(
はば
)
もあつた蒲団やの源七といふ人
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
中
(
なか
)
でどれが一
番
(
ばん
)
きれいかと
仰
(
お
)
っしゃるか……さあ
草花
(
くさばな
)
の
精
(
せい
)
の
中
(
なか
)
では
矢張
(
やは
)
り
菊
(
きく
)
の
精
(
せい
)
が一
番
(
ばん
)
品位
(
ひん
)
がよく、一
番
(
ばん
)
巾
(
はば
)
をきかしているようでございました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
夫
(
そ
)
れから江戸市中の剣術家は幕府に
召出
(
めしだ
)
されて
巾
(
はば
)
を
利
(
き
)
かせて、剣術
大
(
おお
)
流行の世の中になると、その風は八方に伝染して坊主までも
体度
(
たいど
)
を改めて来た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
巾
(
はば
)
広い、牛の
啼声
(
なきごえ
)
のような汽笛が、水のように濃くこめた霧の中を一時間も二時間もなった。——然しそれでも、うまく帰って来れない川崎船があった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
その中で一番
巾
(
はば
)
をきかしていたのは、
千日紅
(
せんにちこう
)
、
葉鶏頭
(
はげいとう
)
等の、純粋な、そして野生に近い日本草花だった。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
靴下留
巾
(
はば
)
一
吋
(
インチ
)
半以内のもの一つ、眼鏡——眼科医の診断書ならびに領事館の翻訳証明を要す——一個。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それにもう一つ、マリヤンの住んでいるコロール(南洋群島の文化の中心地だ)の町では、島民らの間にあっても、文明的な美の標準が
巾
(
はば
)
をきかせているからである。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
二十
間
(
けん
)
巾
(
はば
)
ぐらいの往来でも、片がわが焼けて来て、ほのおが風のようにびゅうと、ひくく地上をはったと見ると、向うがわはもうまっ
赤
(
か
)
にもえ上るというすさまじさだったそうです。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
名主どのを
誑
(
たぶら
)
かすだけにしては、すこし
巾
(
はば
)
がありすぎる。……こりゃア、なにか曰くがあるぜ。お布施なんていうケチなことで、お小夜さんとやらをそうまでいじめつけるわけはない。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
チンバがやって来ると、おかしがって、家の中をはねとんでいたすゞが、門の外から
王
(
ワン
)
を呼ぶ中津の
巾
(
はば
)
のある押しつけるような声に、耳の根まで真紅に染め、どこかへ逃げかくれだした。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「どうした兼が居なくちや仕事が
巾
(
はば
)
ツたかんべ」
芋掘り
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
全身をぐるぐる捲きに縛られた上に、顔全体を隠す様な、
巾
(
はば
)
の広い布の目隠しをされ、
猿轡
(
さるぐつわ
)
さえはめられている。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
芝浦は
巾
(
はば
)
の広い肩をけわしく動かした。水夫、火夫、学生が二人をとめた。船長室の窓が
凄
(
すご
)
い音を立てて
壊
(
こわ
)
れた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
あれが頭の子でなくばと
鳶人足
(
とびにんそく
)
が女房の
蔭口
(
かげぐち
)
に聞えぬ、心一ぱいに我がままを
徹
(
とほ
)
して身に合はぬ
巾
(
はば
)
をも広げしが、
表町
(
おもてまち
)
に田中屋の
正太郎
(
しようたらう
)
とて歳は我れに三つ劣れど
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
不図
(
ふと
)
気
(
き
)
がついて
見
(
み
)
ると、
下方
(
した
)
を
流
(
なが
)
るる
渓流
(
たにがわ
)
の
上手
(
かみて
)
は十
間
(
けん
)
余
(
あま
)
りの
懸崕
(
けんがい
)
になって
居
(
お
)
り、そこに
巾
(
はば
)
さが二三
間
(
けん
)
ぐらいの
大
(
おお
)
きな
瀑布
(
たき
)
が、ゴーッとばかりすさまじい
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その家は一間
巾
(
はば
)
位の中庭があったので、
天窓
(
ひきまど
)
からのような光線が上から投げかけられ、そこに
植
(
うわ
)
った植木だけが青々と光っていて、かえって店の中の方が薄っ暗かった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その一本の曲がり木が、磯五には、
巾
(
はば
)
の広い板のように見えて、若松屋惣七のすがたが隠れてしまうような気がした。その向こうに、蒼い若松屋惣七の顔がほほえんでいた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
透きとおらんばかりの淡い色をした・
鮎
(
あゆ
)
に似た細長い魚や、濃緑色のリーフ魚や、ひらめの如き
巾
(
はば
)
の広い黒いやつや、淡水産のエンジェル・フィッシュそっくりの派手な小魚や
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
六郎氏が軒蛇腹(それは
巾
(
はば
)
が非常に細いのです)から足を踏みはずして転落したとしますと、余程運がよくて
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手拭と菓子籠の間へ、ヒラヒラと、
巾
(
はば
)
一、二厘の、
丈
(
たけ
)
五
卜
(
ぶ
)
ばかりの赤や青のピラピラのさがった
楽屋簪
(
がくやかんざし
)
を十本ばかりはさんだのを、桟敷の中へ押入れるようにしていた。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
巾
(
はば
)
の
広
(
ひろ
)
い
石段
(
いしだん
)
、
丹塗
(
にぬり
)
の
楼門
(
ろうもん
)
、
群
(
むら
)
がる
鳩
(
はと
)
の
群
(
むれ
)
、それからあの
大
(
おお
)
きな
瘤
(
こぶ
)
だらけの
銀杏
(
いちょう
)
の
老木
(
ろうぼく
)
……チラとこちらから
覗
(
のぞ
)
いた
光景
(
ありさま
)
は、
昔
(
むかし
)
とさしたる
相違
(
そうい
)
もないように
見受
(
みう
)
けられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その前の往来にだけ、白い布を敷いたように、
巾
(
はば
)
のひろい光線が倒れていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
赤い太鼓腹を
巾
(
はば
)
広く浮かばしている汽船や、積荷最中らしく海の中から
片袖
(
かたそで
)
をグイと引張られてでもいるように、思いッ切り片側に傾いているのや、黄色い、太い煙突、大きな鈴のようなヴイ
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
夜でも急用があるといえば、
巾
(
はば
)
の広い木綿じまの前掛けをかけて、
提灯
(
ちょうちん
)
をさげて、
朴歯
(
ほうば
)
をならして、
謹
(
つつま
)
しやかに通ってきた。袋物商の娘だったので、袋ものをキチンとつくった。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
併し、一度背面に廻ったら、別のビルディングと背中合わせで、お
互
(
たがい
)
に殺風景な、コンクリート丸出しの、窓のある断崖が、たった二
間
(
けん
)
巾
(
はば
)
程の通路を挟んで、向き合っています。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私達は
巾
(
はば
)
の広いベッドを置いた、壁紙にしみのある様な、いやに陰気な部屋に通された。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おあさちゃんの体の方が借りものになって、着物や簪の方が
巾
(
はば
)
をきかせていた。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
仁
(
まさし
)
の両親とも日本橋生れで、
亡
(
なく
)
なった母親は山王様の
氏子
(
うじこ
)
、
此家
(
こちら
)
は神田の明神様の氏子、どっちにしても
御祭礼
(
おまつり
)
には
巾
(
はば
)
のきく氏子だというと、魚河岸から両国の
際
(
きわ
)
までは山王様の氏子だったのが
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
巾
(
はば
)
の広い
階子段
(
はしごだん
)
をあがって二階へ通った。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
巾
常用漢字
中学
部首:⼱
3画
“巾”を含む語句
手巾
頭巾
半巾
巾着
巾着切
肩巾
頭巾帽
雑巾
金巾
領巾
黄巾
巾幗
雑巾掛
大巾
角頭巾
緋金巾
絹手巾
白巾
領巾振山
高祖頭巾
...