トップ
>
小股
>
こまた
ふりがな文庫
“
小股
(
こまた
)” の例文
「何しろ、色は少し淺黒いが、眼が凉しくて、口元に可愛らしいところがあつて、
小股
(
こまた
)
が切れ上がつて、物言ひがハキハキして——」
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手甲
(
てっこう
)
甲掛けの花売娘であったり、どんどろ大師のお弓であったりしたが、お篠お婆さんに似て
小股
(
こまた
)
のきりりとした
優形
(
やさがた
)
であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
白足袋の
褄
(
つま
)
はずれも、きりりと
小股
(
こまた
)
の締った
風采
(
とりなり
)
、この
辺
(
あたり
)
にはついぞ見掛けぬ、路地に柳の緑を投げて、水を打ったる下町風。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おめえもおれも、詰りはこういう生れつきなんだ、それでいいとしようじゃあないか、他人の
小股
(
こまた
)
を
掬
(
すく
)
おうとめっぱりっこであくせくするより
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は瀬戸のパイプをふかしながら、
小股
(
こまた
)
でやって来た。お心よしで多少ぼんやりしてるこの男は、
生涯
(
しょうがい
)
かつて大して気をもんだことがなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
これらの女はみな男よりも
小股
(
こまた
)
で早足に歩む、その
凋
(
しお
)
れたまっすぐな
体躯
(
からだ
)
を薄い小さなショールで飾ってその平たい胸の上でこれをピンで留めている。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
ヘラヘラ笑いながら
小股
(
こまた
)
をすくい、時々あくどい金儲けをする。こういう奴がいるために、浮世がだんだんきたなくなる。……おッ来るな、さア参れ!
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いつになく若々しく装った服装までが、皮肉な反語のように
小股
(
こまた
)
の切れあがったやせ
形
(
がた
)
なその肉を痛ましく
虐
(
しいた
)
げた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
奥坐舗の長手の
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
かたわら
)
に年配四十
恰好
(
がっこう
)
の
年増
(
としま
)
、些し
痩肉
(
やせぎす
)
で色が浅黒いが、
小股
(
こまた
)
の
切上
(
きりあが
)
ッた、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした、何処ともでんぼう
肌
(
はだ
)
の、
萎
(
すが
)
れてもまだ見所のある花。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
かれがそこに、
威容
(
いよう
)
をつくって、立ったと思うと、秀吉は、今まで腰かけていた床几をうしろへ残して、ただひとり、ととと、と
小股
(
こまた
)
きざみに、駈け寄って来た。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出しているかも知れません。
小股
(
こまた
)
の切れあがった、垢ぬけのした女で、生まれは
堅気
(
かたぎ
)
じゃありませんね
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
にんじんは、皿をひっくり返さないように、できるだけ水平に持って、
小股
(
こまた
)
で使いに出かける。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
小股
(
こまた
)
の切れ上がった美人がひとりと数百両の現金、これ以上に金めのものもちょっとあるまい。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
豆小僧は、一生懸命、ちよこ/\と走りますが、何しろ、
小股
(
こまた
)
で走るので、はかどりません。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
碌さんは小さな
体躯
(
からだ
)
をすぼめて、
小股
(
こまた
)
に
後
(
あと
)
から
尾
(
つ
)
いて行く。尾いて行きながら、圭さんの足跡の大きいのに感心している。感心しながら歩行いて行くと、だんだんおくれてしまう。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すなわち今度は皆で押しかけないでパリサイ派とヘロデ党の中から数名の論客を選抜し、イエスの言葉尻をとらえて
羂
(
わな
)
にかけようとする、
小股
(
こまた
)
すくいの
悪辣
(
あくらつ
)
な戦法に出たのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
おあさは
小股
(
こまた
)
の切り上った、お
尻
(
しり
)
の小さい、横骨の
引込
(
ひっこ
)
んだ上等物で愛くるしいことは、
赤児
(
あかご
)
も馴染むようですが、腹の中は良くない女でございますけれど、器量のよいのに人が迷います。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは署長のニコジーム・フォミッチその人だった。ルイザ・イヴァーノヴナはあわてて床につくほど低く会釈し、
小股
(
こまた
)
にちょこちょこと飛び上がるようにしながら、事務所から駆け出して行った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
憐
(
あはれ
)
み給へ、
收穫時
(
とりいれどき
)
の
病人
(
びやうにん
)
のやうに、
小股
(
こまた
)
にて出て來る目付を。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
小股
(
こまた
)
の切れ上った女が、小風呂敷を抱えて
店前
(
みせさき
)
に立って
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
赤う
膨
(
ふく
)
れた
小股
(
こまた
)
を出して、頭みだして、踵を見せて
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「お前と一緒に來て、路地の外に立停つた駒下駄の音はありや何んだえ。近頃流行つてゐる下駄の、それも
小股
(
こまた
)
の切上つた輕い音だが」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中の姉のお
民
(
たみ
)
——(これは仲之町を圧して売れた、)——
小股
(
こまた
)
の切れた、色白なのが居て、二人で、
囃子
(
はやし
)
を揃えて
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
子供は祖父に手を引かれて、
小股
(
こまた
)
に足を早めながら並んで歩いた。彼らはいつも、快い強い匂いのする耕作地を横ぎって、小道を通っていった。
蟋蟀
(
こおろぎ
)
が鳴いていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この
女
(
ひと
)
が、真ん中の姉とみえる。二十三、四でもあろうか。
小股
(
こまた
)
のきれあがった美しい女である。そういえば、一番うえの洗い髪も、年下の娘も、揃いも揃って、
容貌
(
きりょう
)
よしだった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豆小僧が
小股
(
こまた
)
で走つたところが、さう/\早くは逃げられません。たちまち悪魔に追ひつかれて、もはや、二三歩で、その
襟
(
えり
)
がみをつかまれるといふ、あぶない場合にせまりました。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
云ったが、この島ではそんなことはない、人の
小股
(
こまた
)
をすくったり、人をだしぬいたりぺてんにかけたりすることもない、そんなことをしてもなんの得にもならないからだ、そうでしょう
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鼻は摘みッ鼻で、髪の毛の
艶
(
つや
)
が
好
(
よ
)
くて、
小股
(
こまた
)
が
切上
(
きれあが
)
って居る上等物です。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と先に立ち、幕明き前のざわつく廊下を
小股
(
こまた
)
にせかせか歩きながら、
棧敷
(
さじき
)
の五つ目へ案内し、たらたらお世辞を言って、銀子の肩掛けをはずしたり、コオトを脱がせたり、
行火
(
あんか
)
の加減を見たりした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
時
(
とき
)
」の
階
(
はしご
)
のあがりおり、
小股
(
こまた
)
に
刻
(
きざ
)
む
音
(
おと
)
なひは
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の腰巻が一つ、その
裾
(
すそ
)
が風に
煽
(
あお
)
られるのを
小股
(
こまた
)
に挟んで、両手で乳を隠すと、丈なす黒髪が、襟から肩へサッと
靡
(
なび
)
きます。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
歩
(
あし
)
の運びは、
小股
(
こまた
)
がきれて、意気に見える。斑蝥は、また飛びしさった。白鷺が道の中を。……
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小股
(
こまた
)
の切れあがった美人で、それが片膝立ちに構えると、下の肌着と肉躰の一部がちらちらし、そのため博奕を打つ
手許
(
てもと
)
が狂うというのであるが、あさ子の場合は成功しなかったばかりか
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どの坊主の目もみな巧雲の乳だの
小股
(
こまた
)
のあたりを
愉楽
(
ゆらく
)
想像しているらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「時」の
階
(
はしご
)
のあがりおり、
小股
(
こまた
)
に
刻
(
きざ
)
む
音
(
おと
)
なひは
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「二十二三でせうね、嫁の口を
諦
(
あきら
)
め切つたやうな年増ですよ。——でも小意氣な
小股
(
こまた
)
の切上がつた、ちよいと
踏
(
ふ
)
めないことはありませんが」
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小股
(
こまた
)
のしまった、
瓜
(
うり
)
ざね顔で、鼻筋の通った、目の
大
(
おおき
)
い、無口で、それで、ものいいのきっぱりした、少し言葉尻の上る、声に歯ぎれの
嶮
(
けん
)
のある、しかし、気の優しい
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小股
(
こまた
)
の切れあがった美人で、それが片膝立ちに構えると、下の
肌着
(
はだぎ
)
と
肉躰
(
にくたい
)
の一部がちらちらし、そのため博奕を打つ
手許
(
てもと
)
が狂うというのであるが、あさ子の場合は成功しなかったばかりか
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その人に寄り添ってくる道づれは、
小股
(
こまた
)
の切れ上がった江戸前の女で、
赤縞
(
あかじま
)
の入った
唐桟
(
とうざん
)
の襟付きに、チラリと赤い帯揚を
覗
(
のぞ
)
かせ、やはりはにかましげな目を、草の花にそらしながら歩いていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こいつは親分だって驚くでしょう、それもザラの雌じゃねえ——若くて綺麗で、
身扮
(
みなり
)
がよくて、
小股
(
こまた
)
が切れ上がって——」
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私等
(
わっちら
)
が
畠
(
はたけ
)
のよ、勝山さんのお夏さんを何だと思ってるんだ、何と見損いやあがったい、いけ
巫山戯
(
ふざけ
)
た真似をしやあがって、何だ
小股
(
こまた
)
がしまってりゃ附合がむずかしい? べらぼうめ
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「——冗談じゃあない、なるほどおれは身を持崩している、酒を飲み
賭博
(
とばく
)
をやる、四方八方借りだらけだ、けれども人のうしろから
小股
(
こまた
)
をすくうような、卑劣なまねは決してしたことはないぜ」
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あの
鈴形
(
すずなり
)
に澄んだ目も、きりッと
蕾
(
つぼ
)
んだ口元も、
板木師
(
はんぎし
)
が一本一本
毛彫
(
けぼり
)
にかけたような髪の
生
(
は
)
えぎわも、ふるいつきたい
襟
(
えり
)
あしの魅力も、
小股
(
こまた
)
のきれ上がった肉づきも、おれの手にかかれば翌朝は
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのころお秀は二十六の年増盛り、
啖呵
(
たんか
)
がきれて、
小股
(
こまた
)
が締つて、白粉が嫌ひで、茶碗酒が好きで、兩國きつての評判者。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
にんげんは
猜
(
ず
)
るくて不人情で、おらあ
小股
(
こまた
)
をすくわれたり陥し穴へつきおとされたり、ひでえめにあいどおしだった、——さすがのおれも
業
(
ごう
)
が煮えて、やけっぱちになって、そうして、……ええくそ
泥棒と若殿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小股
(
こまた
)
に
歩行
(
ある
)
くほどの
間
(
あわい
)
を
措
(
お
)
いて、しと、しと、しと。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのころお秀は二十六の年増盛り、
啖呵
(
たんか
)
がきれて、
小股
(
こまた
)
が締って、
白粉
(
おしろい
)
が嫌いで、茶碗酒が好きで、両国きっての評判者。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二十二三でしょうね、嫁の口を
諦
(
あきら
)
め切ったような年増ですよ。——でも小意気な
小股
(
こまた
)
の切れ上がった、ちょいと踏めないことはありませんが」
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの色白でポチヤポチヤして、
小股
(
こまた
)
の切上がつた娘——その癖妙に冷たいところのある娘が、大量の人殺しなどを
企
(
くはだ
)
てようとは八五郎にはどうしても信じられなかつたのです。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分、良い
新造
(
しんざう
)
が來たでせう。かう
小股
(
こまた
)
のきれ上がつた、色白で、ポチヤポチヤした」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
股
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“小股”で始まる語句
小股潜
小股走