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哄笑
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こうしょう
ふりがな文庫
“
哄笑
(
こうしょう
)” の例文
帰りに阿部の家に寄り、市役所からの新契約書を阿部に見せると、阿部はいかにも我意を得たりというように腹をゆすって
哄笑
(
こうしょう
)
した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ところが、その時早しその時おそし、聴衆のなかに
忽
(
たちま
)
ち
破
(
や
)
れ鐘のやうな
哄笑
(
こうしょう
)
が起つて、ぬつと前へせせりだした一名の壮漢がある。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
勝平は、高飛車に自分の優越を示すために、
哄笑
(
こうしょう
)
しようとした。が、彼の笑い声は、
咽喉
(
のど
)
にからんだまゝ、調子外れの叫び声になった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「首じゃ、首じゃ、首じゃア……一番首、二番首、三番首と十七の首じゃア!」
突如
(
とつじょ
)
起
(
た
)
ち上った神尾喬之助、晴ればれと
哄笑
(
こうしょう
)
して
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
甚内はきっとわたしの首に、声のない
哄笑
(
こうしょう
)
を感ずるでしょう。「どうだ、
弥三郎
(
やさぶろう
)
の恩返しは?」——その哄笑はこう云うのです。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
虎は月光に
頸筋
(
くびすじ
)
の毛を
震
(
ふる
)
わせて、人もなげに
哄笑
(
こうしょう
)
した。
母屋
(
おもや
)
の家人に聞こえはしないかと、神谷の方がかえってヒヤヒヤするほどであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、二人は、顔を見合って、
哄笑
(
こうしょう
)
した。露八は、むっと、不平な色を見せたが、お菊ちゃんに、眼で
宥
(
なだ
)
められて、黙っていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頭の骨が高く
尖
(
とが
)
って口を開いて
哄笑
(
こうしょう
)
しているようなもの、広い額と隆い鼻とを見せながらこの世の中を
睨
(
にら
)
んでいるようなもの
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「これでよし。これでよし。うッはア、
様
(
ざま
)
見やがれ!」監督は、口を三角形にゆがめると、背のびでもするように
哄笑
(
こうしょう
)
した。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
も一つの部屋のブルジョア息子達の部屋のお客こそ大したものだ。朝から晩まで誰かしら外部のものが詰めかけ、ハモニカ、合唱、
角力
(
すもう
)
、
哄笑
(
こうしょう
)
。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そしてどこか東洋人に似た顔だちを持った市民たちは、天国に住んでいるように晴れやかに
哄笑
(
こうしょう
)
し微笑し空をあおぎ手をふって合図をしていた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
己の耳には、メリー嬢の
得々
(
とく/\
)
として語る説明の言葉も、黒ん坊の無礼極まる冗談も、見物人の
哄笑
(
こうしょう
)
も、残らず聞えて居る。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
丸くなった男女の輪が、ドッと崩れると、それを追って二人の鬼が、手拍子と、
哄笑
(
こうしょう
)
と、悲鳴の中を泳ぎ廻ります。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
洒落と、
戯談
(
じょうだん
)
と、
哄笑
(
こうしょう
)
とで、商談をすすめて行く。日本の商人に限って仇敵と、取引しているように、真剣である。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼の客を歓待する
挨拶
(
あいさつ
)
は簡単だが、心がこもっていた。握手して、肩をぽんとたたいて、
哄笑
(
こうしょう
)
し、「さあ、始めて下さい。どうぞ召しあがって下さい」
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「出ろ!」と人々は叫んだ。彼は立ち上がり、こみ上げてくる
哄笑
(
こうしょう
)
に背中を震わしながら、肩をそびやかして出て行った。その退席は人々の憤慨を招いた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
城中詰の間において、支配役その他の同席するにも
拘
(
かかわ
)
らず、「無能も秋成くらいになると
扶持
(
ふち
)
ぬすみに近いですな」と放言し、同席者と共に大いに
哄笑
(
こうしょう
)
せし事。
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「やあ……」私は子供のように天真に
哄笑
(
こうしょう
)
して、切ない眼を、始終机の足の方に向けていた。あれから今日へ掛けての私は、もう無茶苦茶な世界へのかけ足だ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
突如彼は、まるで自分で自分を制する力がないように、またもや先ほどと同じ神経的な
哄笑
(
こうしょう
)
を爆発させた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの気まずい別れぎわの春日の
揚言
(
ようげん
)
と
哄笑
(
こうしょう
)
とが、私の耳の底に
凝着
(
こびりつ
)
き、何とはなくぐずぐずしている
中
(
うち
)
に、もう、明るい陽射しの中を、色鮮やかな
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の群が
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
しかし、怪我もこのくらいの程度ならばまず安心、やがて彼等は、苦笑と
哄笑
(
こうしょう
)
とを禁ずることができません。そうして苦笑と哄笑の間に、銭拾いをはじめました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ドット言う
哄笑
(
こうしょう
)
が爆発した。長椅子に腰をかけて耳を澄ましていたタキシード連が、腹を
抱
(
かか
)
えて転がり始めた。笑いを誇張し過ぎて床の上にズリ落ちた者も在った。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヴェルレエヌ氏の施療病院に於ける最後の詩句、「医者をののしる歌。」を読み、思わず
哄笑
(
こうしょう
)
した五年まえのおのれを恥じる。厳粛の意味で、医師の瞳の奥をさぐれ!
HUMAN LOST
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そしてずうずうしくテラスまで投げあげられるかれの技芸的な笑い声は、あざけりの
哄笑
(
こうしょう
)
であった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
のりつけほう。〔備考、この時、
看客
(
かんかく
)
あるいは
哄笑
(
こうしょう
)
すべし。
敢
(
あえ
)
て煩わしとせず。〕(
恁
(
か
)
くして、一人一人、枝々より梟の呼び取る
方
(
ほう
)
に、ふわふわとおびき入れらる。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
イズマイロフは——「残念、ナワにかかったか」とやってね……(
哄笑
(
こうしょう
)
する)ナワにかかったか!
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「やられたな、すっかりやられた。」陳氏は笑いころげ
哄笑
(
こうしょう
)
歓呼拍手は祭場も破れるばかりでした。けれども私はあんまりこのあっけなさにぼんやりしてしまいました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ネーにはナポレオンのこの奇怪な
哄笑
(
こうしょう
)
の心理がわからなかった。ただ彼に揺すられながら、恐るべき
占
(
うらない
)
から
逃
(
の
)
がれた蛮人のような、大きな哄笑を身近に感じただけである。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
かれはただそわそわして少しも落ちつかないで、その視線を絶えず自分の目から避けて、時々『あはははは』と大声に笑った、しかし七年前の
哄笑
(
こうしょう
)
とはまるで違っていた。
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかるにこの時浪人組の遥か末座の列の中から人もなげなる
哄笑
(
こうしょう
)
がさも憎々しく聞こえて来た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私によっかかった者の一人、二人に対して、私がスペイン語で呪咀したら、彼等は
哄笑
(
こうしょう
)
した。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
快活の気はわき立ち、
譏刺
(
きし
)
は燃え上がり、陽気さは
緋衣
(
ひい
)
のようにひろがっている。二匹の
痩馬
(
やせうま
)
は、花を開いてる滑稽を神に祭り上げて引いてゆく。それは
哄笑
(
こうしょう
)
の
凱旋車
(
がいせんしゃ
)
である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
初代三好の卑しくも美しき高座、
万橘
(
まんきつ
)
の、あの狐憑きの気ちがい花のように狂喜
哄笑
(
こうしょう
)
するところ。「八笑人」のなかのひとりがぬけだしたかと思われる
鯉
(
り
)
かんが鶯茶の羽織。——
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
正風
(
しょうふう
)
初期の俳人たちのごときは、各自の生活経験の最も大切なものを是に持ち寄って、それを彼らの愛するメロディに順序立てて、心から悲喜し
哄笑
(
こうしょう
)
しようとしていたのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今、私の愛児は、幼年紳士は、急斜面の弧状の、白い石の太鼓橋を
欄干
(
らんかん
)
につかまり
遮二無二
(
しゃにむに
)
はい登ろうとしている。一行の
誰彼
(
たれかれ
)
が
哄笑
(
こうしょう
)
して、やんややんやと
背後
(
うしろ
)
から押しあげている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
南
阿弗利加
(
アフリカ
)
の
黒奴
(
こくど
)
は
獣
(
けもの
)
の如く口を開いて
哄笑
(
こうしょう
)
する事を知っているが、声もなく言葉にも出さぬ美しい
微笑
(
ほほえみ
)
によって、いうにいわれぬ複雑な内心の感情を表白する
術
(
じゅつ
)
を知らないそうである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
フヌケめ! ハハ、アッハ、ハハ、ハハ! (はじめて、気もちよく
哄笑
(
こうしょう
)
する)
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
晩餐会で腹をかかえて
哄笑
(
こうしょう
)
するのもキュラソのビンで自分の肖像のどてっ腹に穴をあけるのも、工場と富とを投げ出してギャングの前にたたきつけるのもみんな自由へのパスポートである。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
側にいた乙法学博士が「いや、人は借金の利子を払う動物なり」と言うたので一座
哄笑
(
こうしょう
)
したという逸話が載せてあったが、実に利子を払うたり取ったりする動物は、人間以外には一種もない。
動物の私有財産
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
東坡巾先生は味噌は
携
(
たずさ
)
えていなくって、君がたんと持って来たろうと思っていたといって自分に出させた。果して自分が他に比すれば
馬鹿
(
ばか
)
に大きな板を二枚持っていたので、人々に
哄笑
(
こうしょう
)
された。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ところで、この物語が、まだ原稿のままだった頃、幾人かの知人にそれを読んでもらったら、その一人は、読んで行くうちに、「これは愉快だ。」と言って、しばしば
哄笑
(
こうしょう
)
した。私は淋しかった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼はアハハハハハと、船長の後ろ姿に向かって
哄笑
(
こうしょう
)
を浴びせかけた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
而も俳句がさびを芸の
醍醐味
(
だいごみ
)
とし、人生に「ほっとした」味を寂しく
哄笑
(
こうしょう
)
して居る外なかった間に、短歌は自覚して来て、値うちの多い作物を多く出した。が、批評家は思うたようには現れなかった。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
真斎は手働四輪車を倒れんばかりに揺って、激しく
哄笑
(
こうしょう
)
を始めた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
別室にて
哄笑
(
こうしょう
)
の声二人くやしそうに離れたところにすわる。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
麻油はいきなり
哄笑
(
こうしょう
)
を痴川の頬へ叩きつけて
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
同時に、多数の男女の
哄笑
(
こうしょう
)
が爆発する。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
この晴れ晴れした
哄笑
(
こうしょう
)
はどうだ‼
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
なぜかワッハッハと
哄笑
(
こうしょう
)
して
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
哄笑
(
こうしょう
)
! 罵倒! 叫喚!
或る嬰児殺しの動機
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
“哄笑”の意味
《名詞》
哄笑(こうしょう)
(「哄」=「鬨」;一斉に大声を出す)多くの人が一斉に大声をあげて笑うこと。
一人で高笑いすること。
(出典:Wiktionary)
“哄笑”の解説
哄笑(こうしょう)とは、大声を出して笑う事である。
(出典:Wikipedia)
哄
漢検1級
部首:⼝
9画
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
“哄笑”で始まる語句
哄笑裡