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反駁
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はんばく
ふりがな文庫
“
反駁
(
はんばく
)” の例文
ぷろふいる誌の「探偵小説講話」もしくは甲賀三郎氏の御話に対する批難でも
反駁
(
はんばく
)
でも何でもないつもりで書いたものだからである。
甲賀三郎氏に答う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「——でござりましょうか」と外記は
頸
(
くび
)
をふるわした、そうではない、と、
反駁
(
はんばく
)
する気持が語気に出て、力を入れて云うのであった
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
であるが、しかしこの語はすぐ前にある孔子の語、「徳孤ならず、必ず
鄰
(
となり
)
あり」を
反駁
(
はんばく
)
した形になっている。何か
由
(
よし
)
ありげである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それではおれはまだ銀行の高級職員の一人なのだ。いくらおれがそれを否定しようとしても、門番がきっと
反駁
(
はんばく
)
したことであろう。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「はははは、それは、おぬしの大将の木曾殿が早く滅び、おぬしも志を武門に得なかったからではないか」と、盛綱に
反駁
(
はんばく
)
されて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「言うな!」とメロスは、いきり立って
反駁
(
はんばく
)
した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」
走れメロス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その時ジッターは、空間固有の幾何学的性質によると主張したのでしたが、同時に、アインシュタインの反太陽説も
反駁
(
はんばく
)
しているのです。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何がそもそも詩的であり、何が詩的でないだろうか? この問に答える前に、吾人は世俗の誤見に対して、逆に
反駁
(
はんばく
)
しておかねばならぬ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「あんな奸物の遣る事は、何でも
証拠
(
しょうこ
)
の挙がらないように、挙がらないようにと工夫するんだから、
反駁
(
はんばく
)
するのはむずかしいね」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕が
反駁
(
はんばく
)
した。僕は君も知っている様に常識的な男だ。霊界通信についても、他の会員達の様な盲目的な信仰は持っていない。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼はたった今ルージンの誹謗を
反駁
(
はんばく
)
して、その娘は初めて見たばかりだと言ったのに、突然その当人がはいって来たのである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかし僕等は
本気
(
ほんき
)
になって互に
反駁
(
はんばく
)
を加え合っていた。ただ僕等の友だちの一人、——Kと云う医科の生徒だけはいつも僕等を
冷評
(
れいひょう
)
していた。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その頃料らずも外山正一氏の畫論を讀みて、
我
(
わが
)
懷
(
いだ
)
けるところに衝突せるを覺え、
遂
(
つひ
)
に
技癢
(
ぎやう
)
にえ
禁
(
た
)
へずして
反駁
(
はんばく
)
の文を草しつ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
南西太平洋軍総司令官「敢えて
反駁
(
はんばく
)
いたすようでおそれ入るが、
わが国
(
ユー・エス・エー
)
の人口はなるほど一億三千万人であるが、反
枢軸国
(
すうじくこく
)
の人口総計は……」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そこが、真剣勝負。相手の吟味に異存あらば、
反駁
(
はんばく
)
反撃は自由。相手が屈服するまで、討論いたしてさしつかえない」
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あなたはこれらの出来事を化け物の
仕業
(
しわざ
)
でないという、たしかな説明がお出来になりますか」と、彼は
反駁
(
はんばく
)
してきた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
洒落
(
しゃれ
)
まじりのいやに学者ぶった
気障
(
きざ
)
な文章だった。彼は学生監みたいな心をもっていた。時とすると、ごくまれに無惨な
反駁
(
はんばく
)
を招くこともあった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「ジャヴェル君、」とマドレーヌ氏は
反駁
(
はんばく
)
した、「最高の法は良心です。私はこの女の言うことを聞いた。そして自分のすべきことを知っている。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そういうとあるいは
反駁
(
はんばく
)
する人があるかも知れぬ「今日の商売で他に依存せずにやって行ける商売があるか、皆他人様の力によって行けるではないか」
私の小売商道
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
(著)
判事の論理整然たる
反駁
(
はんばく
)
におうて、教授はまったくとりつく島を失った。
額
(
ひたい
)
には油汗が一面ににじんでいる。やっとのことで
吃
(
ども
)
り吃り彼は言いつくろった。
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
もし罪の故を以てせば我こそわが子らより先に死すべきものであると、親の心はただちに
反駁
(
はんばく
)
するではないか。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
こういった
反駁
(
はんばく
)
が、有力な確信を以て一方から叫び出されると、さきに土佐論を演述した壮士が躍起となって
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ、動機を以て、犯罪探偵の唯一の手掛であると考えたがる単純な公式的な頭脳に対して
反駁
(
はんばく
)
したいのだ。
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
未亡人がムキになってロヴィーサの言葉に
反駁
(
はんばく
)
を加えている態度も、また真実であるということができる。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
富岡が、皮肉を云つた時、ゆき子は、「貴方が、仏印で、ニウを愛したやうなものよ」と
反駁
(
はんばく
)
したものだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
平塚雷鳥さんと私との間に
端
(
はし
)
なくも意見の相異を見たのに対して、平塚さんからは、再び
辛辣
(
しんらつ
)
な
反駁
(
はんばく
)
を寄せられ、
山川菊栄
(
やまかわきくえ
)
さんと山田わか子さんのお二人からは
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
事実においてすでに純粋自然主義がその理論上の最後を告げているにかかわらず、同じ名の下に繰返さるるまったくべつな主張と、それに対する無用の
反駁
(
はんばく
)
とが
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
なぜならば私生児の数が多きに過ぎたならば、ここにそれを代表する生活と思想とが生まれ出て、第四階級なる生みの親に対して
反駁
(
はんばく
)
の勢いを示すであろうから。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一、秀頼の
封邑
(
ほうゆう
)
中、去年の兵乱に摂津の百姓離散せるは疑うべからざるも、河内は然らず。(之は変だが、つまり秀頼よりの増封の要求の理由を
反駁
(
はんばく
)
したのである)
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は彼の言葉に対して、何とも
反駁
(
はんばく
)
のしやうのないのを感じた。が、これだけ整然と、合理的に説かれ乍ら、私は更に彼の態度に、反感の起るのを禁じ得なかつた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
伊藤は、自分や自分たちの仲間は、皆んなの前でそんな考え方の裏を掻いて、女工たちにちゃんと納得させるという段になると、
下手
(
へた
)
だし、うまく
反駁
(
はんばく
)
が出来ない。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
彼に不利な記事に対して
反駁
(
はんばく
)
を試みないのは、彼が己れの誤りを認めたからだ、と思うに相違ない。
光を覆うものなし:――競輪不正事件――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
あの茂みを現場であるとするのを
反駁
(
はんばく
)
した我々の論証は、主としてただあそこが一人以上の者によって凶行の行われた現場ではないということを論証したものになる
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
彼が雑誌へ書こうとするのは某博士の書いた『恋愛過重の弊』と云う論文に対する
反駁
(
はんばく
)
であった。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
マルクス主義を
反駁
(
はんばく
)
することが出来んで出ないのであるとますますマルクスに溺れるのである。
マルクス主義は科学にあらず
(新字新仮名)
/
山川健次郎
(著)
最初、私はすべてをキッティに打ち明けた上で、その場で彼女に結婚するように哀願して、彼女の抱擁によって人力車の幻影を防ごうと考えた。「
畢竟
(
ひっきょう
)
」と、私は自分に
反駁
(
はんばく
)
した。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
これを重科にしなければ、仕置の威信が失われてしまう、と外記は激しい調子で云った。富塚にはそれを
反駁
(
はんばく
)
するだけの、根拠も熱意もなかったとみえ、すなおに外記の説を肯定した。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
右の
写本
(
しやほん
)
を
一名
(
いちめい
)
に
付
(
つき
)
三日間
(
みつかかん
)
留置
(
とめおき
)
の
掟
(
おきて
)
で社員へ
廻
(
まわ
)
したのです、すると、見た者は
鉛筆
(
えんぴつ
)
や
朱書
(
しゆがき
)
で
欄外
(
らんぐわい
)
に
評
(
ひやう
)
などを入れる、
其評
(
そのひやう
)
を
又
(
また
)
反駁
(
はんばく
)
する者が有るなどで、なか/\
面白
(
おもしろ
)
かつたのであります
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こう私がいえば、或る童話作家たちは次のように私に
反駁
(
はんばく
)
するかも知れない。
童話における物語性の喪失
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
少なくとも
側
(
かたわら
)
から見ていて腹が立つ。良心的に安っぽく安心しており、他にも安心させるだけ、いっそう
怪
(
け
)
しからぬのだ。弁護もしなければ
反駁
(
はんばく
)
もせぬ。心中、反省もなければ自責もない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これに対しては為兼が陳状を奉って
反駁
(
はんばく
)
すると、為世はさらに陳状を奉った。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「しかし商売なら、そんな必要はないじゃアないか」と、主人は
反駁
(
はんばく
)
した。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
⦅斯く申し上げれば閣下は「お前の女房は焼け死んだのではないか」と
反駁
(
はんばく
)
なさるかも知れませんが、私は他ならぬ其の
誤謬
(
ごびゅう
)
を正し私と共々此の
不気味
(
ぶきみ
)
な問題を考えて頂き度いのでありますから
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
世上の文学雑誌にわが身のことども口ぎたなく悪しざまに書立つるを見てさへ
反駁
(
はんばく
)
の筆
執
(
と
)
るに
懶
(
ものう
)
きほどなれば、見当違ひの議論する人ありとて何事もただ
首肯
(
うなず
)
くのみにてその非をあぐる勇気もなし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見る見る百人長は色激して、砕けよとばかり仕込杖を握り詰めしが、思うこと
乱麻
(
らんま
)
胸を
衝
(
つ
)
きて、
反駁
(
はんばく
)
の
緒
(
いとぐち
)
を
発見
(
みいだ
)
し得ず、小鼻と、
髯
(
ひげ
)
のみ動かして、しらけ返りて見えたりける。時に一
人
(
にん
)
の軍夫あり
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが大変である。折返しタイプライター五枚位の返事が来て、
細々
(
こまごま
)
と自分の命名法の由来を書いて来るのであった。やっとの思いでたどたどとその
反駁
(
はんばく
)
を書いてやると、また五
頁
(
ページ
)
位の手紙である。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そこの記事にそうしたことが載っていたのを、美妙が
反駁
(
はんばく
)
した。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どうして
反駁
(
はんばく
)
が出来なかったのだろう、と不思議に思った。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「賛成じゃないよ。認めた丈けさ。これから
反駁
(
はんばく
)
を加える」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これを以て、余は愛山君の
反駁
(
はんばく
)
に答ふることをせざりし。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
“反駁”の意味
《名詞》
反 駁(はんばく)
他人の意見や批判に対して論じ返すこと。他人の言説に反対の言説を出し、他人の言説を否定すること。
(出典:Wiktionary)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
駁
漢検準1級
部首:⾺
14画
“反駁”で始まる語句
反駁書
反駁的
反駁論