きょう)” の例文
ビーチャムきょうの指揮する「救世主」十八枚のレコードは、二つの箱に納め、私の腕に抱えて、旧居から新宅へと運んだくらいである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
当夜の客には、尾張宗春きょう、酒井日向守、松平和泉守いずみのかみ、松平左衛門佐さえもんのすけ、御親類は能勢因幡守、榊原七郎右衛門、同大膳などがいた。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
当時の主上は後鳥羽院であったが、専ら、遊芸、漁色の道に心をうばわれ、政道はひたすら皇后の生母、きょうの局の自由にまかせていた。
第三は、宝暦変の時に、倒幕の先鋒であった竹屋三きょうが、幕府の目をくらまして失踪の後、いつか同家の食客となっていること。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先生のレーリーきょうの伝記の中に、卿がゼー・ゼー・トムソンを指導したやりかたについて、「自分の都合だけ考える大御所おおごしょ的大家ではなかった」
指導者としての寺田先生 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
そして、次には、明日そのあとについで出るものによって取って代わられるのだ。「われわれの父祖は」とトマス・ブラウンきょうは言っている。
徳川光圀とくがわみつくにきょうの惜しまれた紙、蓮如れんにょ上人しょうにんの廊下に落ちあるを見て両手に取っていただかれたという紙、その紙が必要品たるに論はないけれども
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
そこはバードックきょう荘園しょうえんのある高原こうげんの静かな土地で、荘園ではたらく執事しつじが、じぶんの住居すまいに昼の食事にかえるとちゅう、ころされたのである。
また昔レーリーきょうが紅茶茶わんをガラス板の上ですべらせてみて、ガラスのよごれ方でひどく摩擦のちがうことを見て考え込んでいたことがあるが
物理学圏外の物理的現象 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼女は何と云うこともなく、まだ行ったこともない瑞西スイスあたりの湖畔の景色を空想したり、バイロンきょうの「シロンの囚人」の詩を思い浮べたりした。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
接伴せっぱん委員長のカーボンきょうは、金博士が、あまりにも空爆下くうばくかに無神経でありすぎるのにおどろき、周章あわてて持薬じやくのジキタリスの丸薬がんやくをおのが口中こうちゅうに放りこむと
おれがこの島へ流されたのは、治承じしょう元年七月の始じゃ。おれは一度も成親なりちかきょうと、天下なぞを計った覚えはない。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
猫のお産の話を事細やかに説明して、「お産の取上爺とりあげじじいとなったのは弁慶と僕だけだろう。が、きょうきみよりは猫の方がよっぽどえらかった、」と手柄顔てがらがおをした。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
太政大臣藤原の何とかきょうの百二十三代をはずかしめてはならぬと、氏族うじぞく制度時代の旧臭ふるくさい思想を吹き込んだり負いきれぬほどの重荷を負わせたりするのだった。
旭屋の主人というのは、サードきょうの流れをくんだ、ひどい惨虐色情者で、何という運命のいたずらでしょう、一軒置いて隣に、女のマゾッホを発見したのです。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
諸君はたしかに、今夜グレンディニングきょうからエカルテで大金をまき上げた人間の本性をご存じない。
ウィンパーの一行は登る時には、クロス、それから次に年を取った方のペーテル、それからそのせがれが二人、それからフランシス・ダグラスきょうというこれは身分のある人です。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「アピア政府の反対を冒して、余(マターファ)を助けんが為に雨中をせ来りし人物なれば、きょう等は以後ツシタラと親しみ、如何なる場合にも之に援助を惜しむべからず。」
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
父は内閣を「太政官だじょうかん」大臣を「きょう」と称した頃の官吏かんり一人いちにんであった。一時いちじしきりと馬術に熱心して居られたが、それも何時しか中止になって、のち四五年、ふと大弓だいきゅうを初められた。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
がんのみだれてとき伏兵ふくへいがあるしるしだということは、匡房まさふさきょうからおそわった兵学へいがくほんにあることだ。おかげあぶないところをたすかった。だから学問がくもんはしなければならないものだ。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
時のインド総督カーゾンきょうの目に異様の冷光をひらめかせたらしく、豪族タゴール一家の周到な庇護ひごによってわずかに事なきを得は得たものの、ついに久しくかの国に足をとどめかね
茶の本:01 はしがき (新字新仮名) / 岡倉由三郎(著)
ちょうどその時刻ヴィルプール駐劄ちゅうさつの英国駐在官レジデントサー・ロバートソン・ジャルディンきょうは、国王に拝謁はいえつして退庁しようとしてたまたま王女のあでやかなお姿を、開け放したドアの向うに垣間見た。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
かの英国の誇りとするシャフツベリーきょうは、身は名流であり、一家は巨万の富を積み、娯楽ごらくに世を渡る資格をそなえておりながら、中学校時代乞食こじきの葬式の途中かんから死骸しがいのおちるのを見て
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
コロンボは、この王冠植民地クラウン・コロニー王冠クラウンで、そして、それは、前総督ヒュー・クリフォードきょうによれば「東洋のチャーリン・クロス」でもあった。各会社大客船の寄港地。貨物船による物資の集散。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
スタンダアルの「バイロンきょう」を読む。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
「いちど吉田一品いっぽんの腹をきかねば、死にきれぬ。側近第一のきょうが、なんで、みかど以下、われら同志のものを、蹴おとしたか」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分もその場で戦いに倒れた英国海軍の軍神ネルソンきょうの銅像が、灰色の空に突き立って下界を見おろしているのである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
アンドラデの解説によると、近代物理学の大家であったケルヴィンきょうもまたルクレチウスの愛読者であった。
ルクレチウスと科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
指揮はビーチャムきょう、独唱者のうち、ソプラノのラベットと、バリトンのウィリアムスがわけてもすぐれている(コロムビア傑作集二一六、J八四五〇—六七)
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
訳註 ジー・シー・ヴァープランクきょうのニューヨーク歴史研究会における卓越せる講演を参照せよ。
どうも変な取合とりあわせだ。ドイルきょうつて、ある映画俳優から、ホームズに恋をさせてくれと申込まれて、ひどく困ったことがある。それ程、探偵と恋とはえんが遠いのだ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「そうじゃ。さっき泥的チーアきょうが、この中の五十三種をさらっていってしまったよ」
私の取りあげた古い書物はラーンスロット・キャニングきょうの『狂える会合』であったが、それをアッシャーの好きな書物と言ったのは、真面目まじめでというよりも悲しい冗談で言ったのだ。
三年以前当時十六歳の少年であったナリン太子のために王宮内で射殺せられたヴィルプール駐劄ちゅうさつの無礼な英国の駐在武官サー・ロバートソン・ジャルディンきょうのたった一人の妹なのであった。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
かる意味の成人おとなは、結局何も書かぬことになりはしないか? ウィリアム・シェイクスピア氏が成長してアール・オヴ・チャタムとなり、チャタムきょうが成長して名も無き一市井人となる。(?)
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「信長きょうにもまた、直家と会う御意志はないかのように存ぜられる。さる上は、ここは縁なき他国。く去るほうが、双方によろしかろう」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついにはローズベリーきょうをして「宗教も、財産権も、また家族的生活も——万事がすべて終わりである*」
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
ずっと昔、ケルヴィンきょうが水の固定波か何かの問題を取り扱うために伝導の式に虚の項を持ち込んだことがあったようなぼんやりした記憶があるが、事実は確かでない。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その騎士(じつは諸君も先刻来御承知のように、彼は幽霊ではなかったのである)はヘルマン・フォン・シュタルケンファウストきょうと名乗った。彼は若伯爵と共にした冒険談を物語った。
「地上人類たちよ。きょうらは、そんなにまでして、余を侮辱ぶじょくしたいのか」
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やがて、楽所がくそ御興ごきょうには、右大臣兼季かねすえの琵琶、権ノ大夫冬信の笛、源中納言具行ともゆきしょう、治部ノきょうのひちりき、琴は宰相ノ公春きんはるなど秘曲をこらした。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今年の正月にノースクリッフきょうがコロンボでタイムスの通信員に話した談話の中に
一つの思考実験 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
チャーチルの特使チーアきょう機甲中佐きこうちゅうさであった。
イーガーきょう、グレーム卿、グレイスティール卿
屋敷の奥をのぞいて見ると、三きょうを中心に、森啓之助、天堂、お十夜、周馬の五人が、ひどくいかめしい容態で、なにやらひそひそと密議をしている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
原註 トマス・ブラウンきょう
とアーサーきょうがいった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
信長きょうより羽柴家へ付け置かるるという特殊な関係になっておるので、いつ召し戻されるやも知れぬと、秀吉も内心常に恟々きょうきょうとしておる厄介な家人だ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「頼みというのは、おことたちが、京都へ行った折に、これを堀川の烏丸からすまる光広きょうのお手許まで届けてほしいのじゃが」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とにかく、何より先に、このことを、有村きょうのお耳に入れて、お指図をうけた後の手配とするが順序であろう」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)