南方なんぽう)” の例文
しかし、あには、それぎりかえってきませんでした。あにふねは、南方なんぽうへいったといううわさでしたが、出発後しゅっぱつご、なんのたよりもなかったのです。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
それによりますと、かんはじごろ支那しな南方なんぽうしよくといふとほ地方ちほうで、つくつたものであることがわかるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
此處こゝ印度洋インドやうもズツト南方なんぽうへんした無人島むじんとうで、一番いちばんちかいマダカツスル群島ぐんたうへも一千哩いつせんマイル以上いじやう亞細亞大陸アジアたいりくや、歐羅巴洲エウロツパしうまでは、幾千幾百哩いくせんいくひやくマイルあるかわからぬほど
山奥といっても、南方なんぽうのことですから、夏はそうとうに暑く、水のほとりがなつかしくなります。
山の別荘の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
これは北方ほつぽうむものほどいろうすいのですが、南方なんぽうのものはい。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
南方なんぽうあたたかなしまでありました。そこにはふゆといっても、ばかりで、いつもはなみだれていました。
島の暮れ方の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はじめて河内かはち南方なんぽう御陵ごりようがつくられ、ぎの仁徳天皇にんとくてんのうから三代さんだいばかりは、むかし河内かはちくにであつたがいま和泉いづみくに北方ほつぽうさかひ附近ふきん御陵ごりようまうけられることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しまがツ。』とわたくし蹴鞠けまりのやうに跳起はねおきてると、此時このときてんまつたけて、朝霧あさぎりれたるうみおも端艇たんていこと三海里さんかいりばかりの、南方なんぽうあたつて、椰子やし橄欖かんらん青〻あほ/\しげつて
「おじいさん、南方なんぽうからは、もうみんな、復員ふくいんしてしまったでしょうね。」と、きいたのでした。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いままをした、いろ/\の種類しゆるいたまなかで、勾玉まがたま日本以外につぽんいがいでは、たゞ朝鮮ちようせん南方なんぽうからるだけで、くにではほとんど發見はつけんせられませんから、まづ日本獨特につぽんどくとくたまといふことが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ふゆのない南方なんぽうは、まだ真夏まなつであります。みずうみみずは、ぎんのごとく、ひかり反射はんしゃしていました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
南方なんぽうよるは、あたたかで、つき絹地きぬじをすかしてるように、かすんでいました。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう、十七、八になりましたときに、かれは、ある南方なんぽう工場こうじょうはたらいていました。しかし、だれでもいつも健康けんこう気持きもちよく、らされるものではありません。この若者わかもの病気びょうきにかかりました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わしは、おどろいて、『えっ、今夜こんやだけ。』とたずねると、『ぼくは飛行兵ひこうへい志願しがんしたので、あす南方なんぽう出発しゅっぱつするのです。』といったが、たぶん、あの学生がくせいさんはかえってこまいとおもったのさ。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しろくもは、南方なんぽうたかやまから、うごきはじめて、きたうみのほうへながれていたのであるが、途中とちゅう、ゆらゆらと平野へいやをいったとき、そこここに、百しょうのすむわらぶきやがあったり、はたけをたがやす男女だんじょ
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)