中頃なかごろ)” の例文
われ/\は最初さいしよよわ部分ぶぶん初期微動しよきびどうづけ、中頃なかごろつよ部分ぶぶん主要動しゆようどうあるひ主要部しゆようぶをはりのよわ部分ぶぶん終期部しゆうきぶづけてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
一歩さきにのぼって行く上原さんが、階段の中頃なかごろで、くるりとこちら向きになり、素早く私にキスをした。私はくちびるを固く閉じたまま、それを受けた。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
師走しはす中頃なかごろで、淀川堤よどがはづつみには冬枯ふゆがれのくさひつじのやうでところ/″\にまるいたあとくろえてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かように舊石器時代きゆうせつきじだい中頃なかごろから、動物どうぶつなどのかたち彫刻ちようこくにしてあらはすことがたいそう上手じようずになつてました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
米国人フェノロサの所論はいささかゴンクウルと異なる所あればここにその大略を記述す。歌麿美人の身体及び面貌の甚だしく細長となりしは寛政の中頃なかごろよりのちの事なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
やがて夏も過ぎて九月の中頃なかごろから我々はまた学校の課業に出席しなければならない事になりました。Kと私とは各自てんでんの時間の都合で出入りの刻限にまた遅速ができてきました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
更にその次位には白耳義ベルギーあり、和蘭オランダあり、米は中頃なかごろ六国借款から脱盟したが、かも支那に対して債権国たるは同じい。それ故まず大なるものと言えば、やはり最初数えた六ヵ国である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
前栽せんざい強物つはものの、はないたゞき、蔓手綱つるたづな威毛をどしげをさばき、よそほひにむらさきそめなどしたのが、なつ陽炎かげろふ幻影まぼろしあらはすばかり、こゑかして、大路おほぢ小路こうぢつたのも中頃なかごろで、やがて月見草つきみさうまつよひぐさ
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうするうちに秋も更けて、丁度中頃なかごろになりましたから、冬の間に喰べるものをたくはへなくてはなりません。そこである日天気もいゝので、近くの野をうたひながら、あちこち飛びまはつてをりました。
孝行鶉の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ある皮肉家ひにくやが、むかしの詩人は血で書いた、中頃なかごろになつては墨汁インキで書いた、それがごく近頃になつては墨汁インキに水を割つて書くやうだと言つたが、涙にしても水を割つたら、直ぐ瓶に詰まりさうなものだが
助けてやらん是より道程みちのり何程なにほどあるやと問ひければ八五郎然樣さやうさ四里八町と申せども多分たぶん中頃なかごろで爲す仕事ならん一筋道すぢみちゆゑ御出おいでなされば間違ひなけれ共餘程時刻もおくれたれば贅足むだあしならんといふに半四郎は最早もはや立上たちあが假令たとへ贅足むだあしになればとて元々なり某し一ト走りに追着おひつきたすけてやらん大方おほかた渠等かれら怪我けがもあらんにより本道ほんだう外科げくわ兩人の醫師を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから二年生の中頃なかごろになるまで、約一年半の間、彼は独力でおのれを支えていったのです。ところがこの過度の労力が次第に彼の健康と精神の上に影響して来たように見え出しました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことわざ大風おほかぜ中頃なかごろよわくてはじめとをはりとがつよく、大雪おほゆきはじめから中頃なかごろまでよわくてをはりがつよく、大地震だいぢしんは、はじめとをはりがよわくて中頃なかごろつよいといふことがある。これは面白おもしろ比較觀察ひかくかんさつだとおもふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
こんな、さびしいときの、可恐こはいものにはね、よろひなんかたつてかなはないや……むかつてきや、きえちまふんだもの……これからふゆ中頃なかごろると、のきしたちかるつてさ、あの雪女郎ゆきぢよらうたいなもんだから
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中頃なかごろつよ部分ぶぶんだけをかんずるようにもなる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)