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黙祷
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もくとう
ふりがな文庫
“
黙祷
(
もくとう
)” の例文
旧字:
默祷
その
黙祷
(
もくとう
)
をうけながらお蝶が一歩うしろへ
退
(
さが
)
って、石神堂の扉をギイと押したかと思いますと、掻き消すごとく、姿を堂の中へ隠しました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今しもそこに
悄然
(
しょうぜん
)
と涙を呑んで
黙祷
(
もくとう
)
していたらしい一団は私が
闥
(
とびら
)
をはいると同時に涙の筋をひいた顔を挙げて目礼したが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
というので、なるほど、かすかに
雲煙
(
うんえん
)
をついて見える相馬の城へ向かって、しばし別離のあいさつ……。
黙祷
(
もくとう
)
よろしくあってまたあるきだすと
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
祭主の
黙祷
(
もくとう
)
についで
恭
(
うやうや
)
しく
声明読経
(
しょうみょうどきょう
)
に及ぶかと見ると、そうではなく、恥かしそうにバラ緒の下駄を突っかけて、
竹藪
(
たけやぶ
)
の裏の方へ消えてしまいました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
靖国神社
(
やすくにじんじゃ
)
の前を通る時には、心から
黙祷
(
もくとう
)
を捧げたが、宮城の前では二人とも自動車からおりて
遥
(
はる
)
かに最敬礼した。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
黙祷
(
もくとう
)
や合掌こそしないが、どうみても抱えであった時分からの気習が
失
(
う
)
せず、子供たちの騒々しさや晴れやかさの中で、どこかちんまりした物静かさで
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、夫人はやゝ暫く
黙祷
(
もくとう
)
をつゞけた後に、全く今迄の威厳を捨てゝ、打って変った女らしい言葉づかいで尋ねた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一番うしろの藁椅子を占めた私は、しばらく
黙祷
(
もくとう
)
の真似のような事をしていたが、やがて目を上げて、さっきの二人の少女の姿を会衆のうちに捜し出した。
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
博士は奥の部屋から一枚の白布を探し出して来て、
黙祷
(
もくとう
)
しながら、それをフワリと死体の上に着せてやった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それからモー四百
余年
(
よねん
)
、
私
(
わたくし
)
の
境涯
(
きょうがい
)
はその
間
(
あいだ
)
に
幾度
(
いくど
)
も
幾度
(
いくど
)
も
変
(
かわ
)
りましたが、しかし
私
(
わたくし
)
は
今
(
いま
)
も
尚
(
な
)
おその
時
(
とき
)
戴
(
いただ
)
いた
御鏡
(
みかがみ
)
の
前
(
まえ
)
で
静座
(
せいざ
)
黙祷
(
もくとう
)
をつづけて
居
(
お
)
るのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
……三人の魂はアルプスの雪に浄められて天に昇りました。……みなさん、どうぞ
黙祷
(
もくとう
)
を願います
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
十一月、京軍の
先鋒
(
せんぽう
)
陳暉
(
ちんき
)
、河を渡りて東す。燕王兵を率いて至り、河水の渡り難きを見て
黙祷
(
もくとう
)
して曰く、天
若
(
も
)
し予を助けんには、河水氷結せよと。夜に至って氷
果
(
はた
)
して合す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
武田博士は、狼岩の向うへかくれてゆく『最上』の後姿に、深い
黙祷
(
もくとう
)
をささげるのであった。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
今月の二十幾日はあすこの山の
御寺
(
みてら
)
の鐘を聞いて
黙祷
(
もくとう
)
をしたい気がしてならないのですが、あなたの御好意でそっと山荘へ私の行けるようにしていただけませんでしょうかと
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
津田は長椅子の
肱掛
(
ひじかけ
)
に腕を
載
(
の
)
せて手を額にあてた。彼は
黙祷
(
もくとう
)
を神に捧げるようなこの姿勢のもとに、彼が去年の暮以来この医者の家で思いがけなく会った二人の男の事を考えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すっかり
黄金色
(
こがねいろ
)
に染って、夕風が立ったら、散るさまが、さぞ
綺麗
(
きれい
)
だろうと思われる大
銀杏
(
いちょう
)
の下の、
御水下
(
みたらし
)
で、うがい
手水
(
ちょうず
)
、
祠前
(
ほこらまえ
)
にぬかずいて、しばし
黙祷
(
もくとう
)
をつづけるのだったが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
級尽レバ則チ神祠ニシテ結構
頗
(
すこぶる
)
壮麗ナリ。
尸祝
(
ししゅく
)
ニ就イテ
幣物
(
へいもつ
)
ヲ進ム。
烏帽
(
うぼう
)
祭服ノ者出デヽ粛トシテ壇上ニ
延
(
ひ
)
ク。余
長跪
(
ちょうき
)
黙祷
(
もくとう
)
シテ曰ク皇上万寿
無疆
(
むきょう
)
ナレ。今ワガ部内年穀ノ登ルアリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
平次はそう言い切ると、棺の前に膝を突いて、香を
捻
(
ひね
)
りながら
黙祷
(
もくとう
)
を捧げました。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから牧師の祈りと、熱心な説教、そしてすべてが終わって、堂の内の人々
一斉
(
いっせい
)
の
黙祷
(
もくとう
)
、この時のしばしの間のシンとした光景——私はまるで別の世界を見せられた気がしたのであります。
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私がその器を淋しく見つめる時、その姿はいつも
黙祷
(
もくとう
)
するかのようである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その時はもう私の心に罪の影さえおとずれない。そして、(涙をこぼす)この世に苦しんでいる無類のふしあわせな人たちを摂取することができるのだ!(間)おゝ、不安よ、去れ。(
黙祷
(
もくとう
)
する)
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
フランシスはクララの頭に手を置きそえたまま
黙祷
(
もくとう
)
していた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
暫
(
しばら
)
く
黙祷
(
もくとう
)
して妾が
志
(
こころざし
)
を祖先に告げぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
黙祷
(
もくとう
)
でもしているように、彼はしばらく頭を下げていた。——御覧ぜよ、なお甲軍にはこういう者もおりますると、父信玄の霊に念じているのであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ楽しく……ただ楽しく……三人で幼児のように楽しい日をお送りなさい! と私は眼を
瞑
(
と
)
じて
黙祷
(
もくとう
)
した。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
お
爺
(
じい
)
さまは
快
(
こころよ
)
く
私
(
わたくし
)
の
願
(
ねが
)
いを
入
(
い
)
れ、ちょっとあちらを
向
(
む
)
いて
黙祷
(
もくとう
)
されましたが、モー
次
(
つ
)
ぎの
瞬間
(
しゅんかん
)
には、
白木
(
しらき
)
の
台座
(
だいざ
)
の
附
(
つ
)
いた、一
体
(
たい
)
の
御鏡
(
みかがみ
)
がお
爺
(
じい
)
さまの
掌
(
てのひら
)
に
載
(
の
)
っていました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
言いながら、老人は豹の
死骸
(
しがい
)
の前にしゃがんで、悲しみに耐えぬもののように、その背中を
撫
(
な
)
でながら、長いあいだ
黙祷
(
もくとう
)
していたが、やがて、キッとして立ち上がると、
烈
(
はげ
)
しい語調で
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私がその器を淋しく見つめる時、その姿はいつも
黙祷
(
もくとう
)
するかのようである。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
平次はその前に坐ってしばらく
黙祷
(
もくとう
)
を続けました。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
(
黙祷
(
もくとう
)
する)
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
と、そこからいって、何か
黙祷
(
もくとう
)
して後
悠々
(
ゆうゆう
)
と、
刀箪笥
(
かたなだんす
)
をあけたり、衣裳や足ごしらえをして皆の前へ出て来た。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう
言
(
い
)
って
瀑布
(
たき
)
のお
爺
(
じい
)
さんは、
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
じてちょっと
黙祷
(
もくとう
)
をなさいましたが、
間
(
ま
)
もなくゴーッという
音
(
おと
)
がして、それがあちこちの
山々
(
やまやま
)
にこだまして、ややしばらく
音
(
おと
)
が
止
(
や
)
みませんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私はやがて英国へ持ち帰って、丁重にこの不幸なる女主人公はもちろん、その外の人々のためにも
回向
(
えこう
)
をするつもりで、やがて
黙祷
(
もくとう
)
を捧げて涙を
拭
(
ぬぐ
)
いながら、この日記の巻を閉じたのであった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
内匠はしばらく
黙祷
(
もくとう
)
の後に続けました。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と——原士の
長
(
おさ
)
、七人の肉親たちとともにしばらく
黙祷
(
もくとう
)
をささげ、死者の前で厳然とお前にいい渡した。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
改めて三名は、祭壇へ向って牛血と酒をそそぎ、ぬかずいて、天地の
神祇
(
しんぎ
)
に
黙祷
(
もくとう
)
をささげた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牢獄のすみでは、ヨハンが、石のように身を伏せたまま、何か
黙祷
(
もくとう
)
している様子。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真摯
(
しんし
)
な感化事業家をもって生涯をゆだねているような老外人の夫妻は卓頭に立って
黙祷
(
もくとう
)
をする。不良児たちもその間だけは、しおらしく口のうちで
祈祷
(
きとう
)
のことばを呟いている
振
(
ふ
)
りをするのだった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“黙祷”の意味
《名詞》
黙祷(もくとう)
口に出さず、心の中で祈ること。
(出典:Wiktionary)
“黙祷”の解説
黙祷(もくとう、黙禱、en: Moment of silence, silent prayer)とは、声を立てずに祈りをささげること。席に座っているときは起立し、合掌や目をつぶる、軽く頭を下げる行為を伴うこともある。
(出典:Wikipedia)
黙
常用漢字
中学
部首:⿊
15画
祷
漢検準1級
部首:⽰
11画
“黙”で始まる語句
黙
黙然
黙々
黙契
黙阿弥
黙劇
黙止
黙頭
黙言
黙殺