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鶸
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ひわ
ふりがな文庫
“
鶸
(
ひわ
)” の例文
雀や
鶸
(
ひわ
)
や
山雀
(
やまがら
)
や山鳩の、啼声ばかりが繁く聞こえる、鎮守の森に包まれて、気絶して倒れた主水の姿が、みじめに痛々しく眺められた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
竹むらにからまる
烏瓜
(
からすうり
)
をつつきに来る
鴉
(
からす
)
、縁側の上まで寄って来る雀、庭木の細かい枝をくぐる
鶸
(
ひわ
)
や
四十雀
(
しじゅうから
)
の姿も目に止った。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
山頂に一本高く見える楢の木に、日ごとに多く日本海の方から
鶸
(
ひわ
)
の群が渡って来て止る。谷間の樹の根に溜り込んだ栗の実。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
十三歳の秋から
下総
(
しもうさ
)
の田舎にやって来て、虚弱なために二年ほどの間、目白や
鶸
(
ひわ
)
を捕ったり飼ったりして暮した。
百舌
(
もず
)
と闘ったこともよく覚えている。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鶸
(
ひわ
)
や
椋鳥
(
むくどり
)
も捕るし、鳥籠も上手に
拵
(
こしら
)
えました。……なに詰らないと言ってしまえばそれまでです。だが、それでも月に十ルーブルは転げ込みましたからね。……
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
やせて、小さくて、軽くて、油断のない
鶸
(
ひわ
)
のような日本人の細君。背景をなす部屋のつくりが、がっしりとして宏大なために、夫婦の対照はひとしお目にたった。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼は動く麦畑の
影像
(
すがた
)
を捕える。食欲をそそる
苜蓿
(
うまごやし
)
や、小川に縁どられた牧場の
影像
(
すがた
)
を捕える。通りすがりに、一羽の
雲雀
(
ひばり
)
が、あるいは
鶸
(
ひわ
)
が飛び立つのをつかまえる。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それを病室のガラス障子の外に据えて数羽の小鳥を入れて見た。その鳥はキンパラという鳥の
雄
(
おす
)
一羽、ジャガタラ雀という鳥の
雌
(
めす
)
一羽、それと
鶸
(
ひわ
)
の雄一羽とである。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「周さん鳥が来たから指しておくれよ。」と沢山
鶸
(
ひわ
)
が裏の松林に来た時に行って頼んで見たが
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鶫
(
つぐみ
)
といふ
鳥
(
とり
)
や
鶸
(
ひわ
)
といふ
鳥
(
とり
)
は、
何
(
なん
)
百
羽
(
ぱ
)
飛
(
と
)
んで
參
(
まゐ
)
りましても、みんな
網
(
あみ
)
や
黐
(
もち
)
に
掛
(
かゝ
)
つてしまひますが、
私共
(
わたしども
)
にかぎつて
軒先
(
のきさき
)
を
貸
(
か
)
して
下
(
くだ
)
すつたり
巣
(
す
)
をかけさせたりして
下
(
くだ
)
さいます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
つづいて五羽も七羽もきてふくらんだ胸のへんにささ波をたてて矢のように進む。頸すじの真紅なのや、
鶸
(
ひわ
)
色なのや、見たこともない綺麗な鴨のなかに白鳥もまじっていた。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
山鳩
(
やまばと
)
には麻の実があり、
鶸
(
ひわ
)
には
黍
(
きび
)
があり、
金雀
(
かなりや
)
には
蘩蔞
(
はこべ
)
があり、
駒鳥
(
こまどり
)
には虫があり、
蜂
(
はち
)
には花があり、
蠅
(
はえ
)
には滴虫があり、
蝋嘴
(
しめ
)
には蠅があった。彼らは互いに多少相
食
(
は
)
み合っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かつて語りけるは小鳥もいろいろ集めて見る時は日本在来のものは
羽毛
(
うもう
)
の色皆渋しと。まことや鶯、
繍眼児
(
めじろ
)
、
鶸
(
ひわ
)
、
萵雀
(
あおじ
)
の羽の緑なる、鳩、
竹林鳥
(
るり
)
の紫なる皆何物にも譬へがたなき色なり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
少々
平
(
たいら
)
な盆地になった、その温泉場へ入りますと、
火沙汰
(
ひざた
)
はまた格別、……
酷
(
ひど
)
いもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、
獦子鳥
(
あとり
)
、
頬白
(
ほおじろ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
鶸
(
ひわ
)
、
小雀
(
こがら
)
などと言う、
紅
(
あか
)
だ、青だ
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肥前長崎
(
ひぜんながさき
)
から、東の方へゆく街道の上だつた。よく晴れた秋の
正午
(
ひる
)
近くで、畑のそちこちには、
蕎麦
(
そば
)
の白い花が
清々
(
すがすが
)
しく見え、ときどき空を横切りながら、細い澄んだ声を落してゆくのは
鶸
(
ひわ
)
であつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
一羽の
鶸
(
ひわ
)
の飛びすぎる
狹間
(
はざま
)
の奧の絶壁に
閒花集
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
河原
鶸
(
ひわ
)
ビーン
蛍の灯台
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
庭の桜の叉になった枝の上に、
鶸
(
ひわ
)
の巣があった。見たところ、それは
綺麗
(
きれい
)
な、まん丸によくできた巣で、外側は、一面に毛で固め、内側はまんべんなく
生毛
(
うぶげ
)
で包んである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それが旅から還って見るとすっかりからになっている。お客はどうやら
鶸
(
ひわ
)
類が多いらしい。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
藍や
鶸
(
ひわ
)
や
朽葉
(
くちば
)
など重りあって縞になった縁をみれば女の子のしめる博多の帯を思いだす。
折紙
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そうして彼の獲物袋には、
鶸
(
ひわ
)
、
鶫
(
つぐみ
)
、
獦
(
かり
)
などがはち切れるほどに詰まっていた。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一日四杯と、二升とこっそり
対
(
む
)
き合っているこの朝の景色は、至極のどかだ。格子から見える山の上に一本高く楢の木が見えていて、そこへ群落して来た
鶸
(
ひわ
)
が澄んだ空に点点と留っている。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
村
(
むら
)
へ
掛
(
かゝ
)
ると、
降積
(
ふりつも
)
つた
大竹藪
(
おほたけやぶ
)
を
弓形
(
ゆみなり
)
に
壓
(
あつ
)
したので、
眞白
(
まつしろ
)
な
隧道
(
トンネル
)
を
潛
(
くゞ
)
る
時
(
とき
)
、
雀
(
すゞめ
)
が、ばら/\と
千鳥
(
ちどり
)
に
兩方
(
りやうはう
)
へ
飛交
(
とびかは
)
して
小蓑
(
こみの
)
を
亂
(
みだ
)
す
其
(
そ
)
の
翼
(
つばさ
)
に、
藍
(
あゐ
)
と
萌黄
(
もえぎ
)
と
紅
(
くれなゐ
)
の、
朧
(
おぼろ
)
に
蝋燭
(
らふそく
)
に
亂
(
みだ
)
れたのは、
鶸
(
ひわ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
鸞
(
うそ
)
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
河原
鶸
(
ひわ
)
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
「おれに庖丁をくれるものがあったら一スウやる……冗談に」と。お前は
鶸
(
ひわ
)
のように陽気だ。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
藍
(
あい
)
や
鶸
(
ひわ
)
や
朽葉
(
くちば
)
など
重
(
かさな
)
りあって
縞
(
しま
)
になった縁をみれば女の子のしめる
博多
(
はかた
)
の帯を思いだす。
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
鶸
(
ひわ
)
の
嘴
(
くち
)
がちょっと触っても
微
(
かすか
)
な
菫色
(
すみれいろ
)
の
痣
(
あざ
)
になりそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、
水紅色
(
ときいろ
)
の絹
半帕
(
ハンケチ
)
でおさえたが、
且
(
かつ
)
は
桔梗
(
ききょう
)
紫に
雁金
(
かりがね
)
を銀で
刺繍
(
ぬいとり
)
した半襟で、
妙齢
(
としごろ
)
の髪の
艶
(
つや
)
に月の影の冴えを見せ
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
灰色の
雀
(
すずめ
)
や、ペンキの色のなまなましい
鶸
(
ひわ
)
が群れをなして、
茨
(
いばら
)
の生垣の上で波打っている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
雀
(
すずめ
)
、
岩燕
(
いわつばめ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、かわら
鶸
(
ひわ
)
などが、入り交り、立ち交り、彼を悩ます。彼らはその翼で彼の枝の先をこづく。あたりの空気は、彼らのきれぎれの鳴き声で沸き返る。やがて、彼らは退散する。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
鶸
(
ひわ
)
の巣
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
鶸
漢検1級
部首:⿃
21画
“鶸”を含む語句
鶸茶
鶸色
唐鶸
河原鶸
鶸色繻子
鶸茶色
鶸萌葱
鶸鳥