高山かうざん)” の例文
越後の西北は大洋おほうみたいして高山かうざんなし。東南は連山れんざん巍々ぎゝとして越中上信奥羽の五か国にまたがり、重岳ちようがく高嶺かうれいかたならべて十里をなすゆゑ大小のけものはなはだおほし。
くろすごなかに、紫色むらさきいろえましやう。高山かうざん何処どこもこの景色けしきです。光線くわうせん工合ぐあひです。夕立雲ゆふだちぐもではありません。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二名にめい水兵すいへい日出雄少年ひでをせうねん大賛成だいさんせいなので、たゞちに相談さうだんまとまつたが、さて何處いづれ方面ほうめんへと見渡みわたすと、此處こゝこと數里すうり西方せいほう一個いつこ高山かうざんがある、火山脉くわざんみやくひとつと
われ高山かうざんに昇りて、その過ぐるを眺む……
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
越後の地勢は、西北は大海にたいして陽気也。東南は高山かうざんつらなりて陰気也。ゆゑに西北の郡村ぐんそんは雪あさく、東南の諸邑しよいふは雪ふかし。是阴阳いんやう前後ぜんごしたるにたり。
つひくだんかめりて、もこ/\と天上てんじやうす。令史れいしあへうごかず、のぼること漂々へう/\として愈々いよ/\たかく、やがて、高山かうざんいたゞきいつ蔚然うつぜんたるはやしあひだいたる。こゝに翠帳すゐちやうあり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この高山かうざんは、風景ふうけいきわめてうるはしく、吾等われらたつしたるいたゞきは、三方さんぽう巖石がんせき削立せうりつして、自然しぜん殿堂でんどうかたちをなし、かゝる紀念塔きねんたふつるには恰好かつこう地形ちけいだから、つひ此處こゝ鐵車てつしやとゞめた。
天気朦朧もうろうたる事数日すじつにして遠近ゑんきん高山かうざんはくてんじて雪をせしむ。これを里言さとことば嶽廻たけまはりといふ。又うみある所は海鳴うみなり、山ふかき処は山なる、遠雷の如し。これを里言に胴鳴どうなりといふ。
きづゝたをれたのもすくなくない樣子やうすで、このすでに十二三ばかりすゝみて、海岸かいがんなる櫻木大佐さくらぎたいさ住家すみかからは、たしかに三十以上いじやうへだゝつたとおもはるゝある高山かうざん絶頂ぜつてうたつしたときには、そのかず餘程よほどげんじて