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面色
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おももち
ふりがな文庫
“
面色
(
おももち
)” の例文
妻は
尋常
(
ひとなみ
)
より小きに、夫は
勝
(
すぐ
)
れたる
大兵
(
だいひよう
)
肥満にて、彼の常に
心遣
(
こころづかひ
)
ありげの
面色
(
おももち
)
なるに引替へて、生きながら
布袋
(
ほてい
)
を見る如き福相したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
悪くすると(状を見ろ。)ぐらいは云うらしい主税が、風向きの悪い大人の
風説
(
うわさ
)
を、耳を澄まして聞き取りながら、
太
(
いた
)
く憂わしげな
面色
(
おももち
)
で。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弟の阿利吒は尊げなる僧の
饑
(
う
)
ゑたる
面色
(
おももち
)
して空鉢を
捧
(
ささ
)
げ還る
風情
(
ふぜい
)
を見るより、図らず
惻隠
(
そくいん
)
の善心を起し、
往時
(
むかし
)
兄をば
情
(
つれ
)
なくせしことをも思ひ浮めて悔いつつ
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
參上致し候小夜衣も參り居候や御
逢
(
あは
)
せ下されたしと云ひければ長庵
彌々
(
いよ/\
)
驚怖
(
おどろき
)
たる
面色
(
おももち
)
にて不思議の仰せを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そこでRは一段と声を低め、非常に緊張した
面色
(
おももち
)
になって
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
「何、
串戯
(
じょうだん
)
なものか。」と言う時、織次は
巻莨
(
まきたばこ
)
を火鉢にさして
俯向
(
うつむ
)
いて
莞爾
(
にっこり
)
した。
面色
(
おももち
)
は
凛
(
りん
)
としながら
優
(
やさ
)
しかった。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
知りつつもこの死地に陥りたるを悔いて、
遣
(
や
)
る方も無く惑へる宮が
面色
(
おももち
)
の
穏
(
やす
)
からぬを
見尤
(
みとが
)
めて、静緒は
窃
(
ひそか
)
に目を
側
(
そば
)
めたり。彼はいとどその目を
懼
(
おそ
)
るるなるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
も持ず歩行せし時其方に
行逢
(
ゆきあ
)
ひし者あるよし然る上は其節病中との申立は
僞
(
いつは
)
りならんと有りければ長庵
不審
(
ふしん
)
さうなる
面色
(
おももち
)
して決して他行は
勿論
(
もちろん
)
門
(
かど
)
へも出申さず候と
誠
(
まこと
)
しやかに申立てけるにぞ然る上は證據人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
好男子世に処して、屈託そうな
面色
(
おももち
)
で、露店の三世相を繰るとなると、柳の下に
掌
(
てのひら
)
を見せる、八卦の亡者と大差はない、迷いはむしろそれ以上である。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は自若として、
却
(
かへ
)
つてその子の善く論ずるを心に
愛
(
め
)
づらんやうの
面色
(
おももち
)
にて、
転
(
うた
)
た微笑を
弄
(
ろう
)
するのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
聞
(
きか
)
れ
汝
(
なんぢ
)
は然樣に申せ共全く覺えなきものが罪に服するの理有べきや又憑司とても
跡形
(
あとかた
)
もなきことは申まじ
然
(
され
)
ば其方が申事は
眞
(
まこと
)
とは受取難し
能々
(
よく/\
)
明白に申立よと仰らるゝに傳吉は
迷惑
(
めいわく
)
なる
面色
(
おももち
)
にて
再應
(
さいおう
)
の
御尋問
(
ごじんもん
)
なれども私しは
決
(
けつ
)
して昌次郎夫婦を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なお応ずる者のあらざりければ、
渠
(
かれ
)
は
困
(
こう
)
じ果てたる
面色
(
おももち
)
にてしばらく
黙
(
もく
)
せしが、やがて
臆
(
おく
)
したる
声音
(
こわね
)
にて
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ミリヤアドは
衝
(
つ
)
と立ちあがり、床に二ツ三ツ足ぶみして、空ざまに手をあげしが、勇ましき
面色
(
おももち
)
なりき。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引取
(
ひっと
)
って、ぐいと開けた、気が入って膝を立てた、顔の色が厳しくなった。と見て
胆
(
きも
)
を冷したのは主税で、小芳は何の気も着かないから、晴々しい
面色
(
おももち
)
で、
覗込
(
のぞきこ
)
んで
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて客は、いまので話の口が
解
(
ほど
)
けたと思うらしい
面色
(
おももち
)
して、中休みに
猪口
(
ちょく
)
の酒を一口した。……
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
予は高峰とともに立ち上がりて、遠くかの
壮佼
(
わかもの
)
を離れしとき、高峰はさも感じたる
面色
(
おももち
)
にて
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっての外元気の
可
(
い
)
い声を掛けたが、それまで目を
瞑
(
つぶ
)
っていたらしい、夢から覚めた
面色
(
おももち
)
で
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
素袍の
紗
(
しゃ
)
に透通る、
燈
(
ともし
)
の影に
浅葱
(
あさぎ
)
とて、月夜に色の白いよう、多一は照らされた
面色
(
おももち
)
だった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金之助ははじめて心着いて、はたと立留って顔を見て、不意だという
面色
(
おももち
)
で更に見直したが
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愛吉聞くうちにきょろきょろして、得もいわれぬ
面色
(
おももち
)
しながら、やがて二階を
瞻
(
みつ
)
めた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
熟
(
じっ
)
と見て、廉平
堪
(
たま
)
りかねた
面色
(
おももち
)
して、唇をわななかし、小鼻に柔和な
皺
(
しわ
)
を刻んで、深く両手を
拱
(
こまぬ
)
いたが、
噫
(
ああ
)
、我かつて誓うらく、いかなる時にのぞまんとも、
我
(
わが
)
心、我が姿、我が相好
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔をあげてぞ見たる、何をか思える、小親の、
憂慮
(
きづか
)
わしげなる
面色
(
おももち
)
なりしよ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他に
女性
(
にょしょう
)
とてはあらざりし。なにがし公と、なにがし侯と、なにがし伯と、みな立ち会いの親族なり。しかして一種形容すべからざる
面色
(
おももち
)
にて、愁然として立ちたるこそ、病者の夫の伯爵なれ。
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
楚歌
(
そか
)
一身に
聚
(
あつま
)
りて集合せる腕力の次第に迫るにも関わらず
眉宇
(
びう
)
一点の懸念なく、いと晴々しき
面色
(
おももち
)
にて、渠は春昼
寂
(
せき
)
たる時、
無聊
(
むりょう
)
に堪えざるもののごとく、片膝を片膝にその片膝を、また片膝に
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
楚歌
(
そか
)
一身に
聚
(
あつま
)
りて集合せる腕力の次第に迫るにもかかはらず
眉宇
(
びう
)
一点の
懸念
(
けねん
)
なく、いと
晴々
(
はればれ
)
しき
面色
(
おももち
)
にて、
渠
(
かれ
)
は
春昼
(
しゅんちゅう
)
寂
(
せき
)
たる時、
無聊
(
むりょう
)
に
堪
(
た
)
えざるものの如く、片膝を片膝にその片膝を、また片膝に
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫婦が二人、その若い顔を上げた時、お珊は何気なき
面色
(
おももち
)
した。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝶吉は梓が何か易からぬ
面色
(
おももち
)
があるのを見て、怪しむ様子。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠は慰むる
語
(
ことば
)
なきがごとき
面色
(
おももち
)
なりき。馭者は
冷笑
(
あざわら
)
いて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
神崎は夢の
裡
(
うち
)
なる
面色
(
おももち
)
にてうっとりとその
眼
(
まなこ
)
を
睜
(
みは
)
りぬ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
公子 (眉を
顰
(
ひそ
)
む。——侍女等
斉
(
ひと
)
しく不審の
面色
(
おももち
)
す。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
神崎は夢の
裡
(
うち
)
なる
面色
(
おももち
)
にてうつとりとその
眼
(
まなこ
)
を
睜
(
みは
)
りぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いかけて、清葉は何か思出した
面色
(
おももち
)
して
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美人も
希有
(
けう
)
なる
面色
(
おももち
)
にて反問せり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云うと、先達は落着いた
面色
(
おももち
)
で
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかにもという
面色
(
おももち
)
して
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“面”で始まる語句
面
面白
面影
面目
面持
面喰
面倒
面長
面当
面貌