離縁りえん)” の例文
うらめし氣に見遣みやり之は先にも申し上し通り私いかでか人をころしうべき又た先妻梅儀を離縁りえん致せしは昌次郎と不義ふぎあらはれし故離縁状りえんじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あなたなんか、ヤイヤイ云われてもらわれたレッキとした堅気かたぎのおじょうさんみたようなもので、それを免職と云えば無理離縁りえんのようなものですからネ。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いつ離縁りえんされても「へえさようなら」といって出られるようにちゃんと支度したくをしてあるです。しかしそういう悪い点ばかりかといいますと決してそうでない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「でも、栄三郎様もお艶ゆえに実家を勘当かんどうされている身でございますから、この際、離縁りえんをとりますには、いくらかねえ……でないと、お話が届きますまいと存じますよ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そのあかつきなにかいさゝか仕損しそこなゐでもこしらゆればれは首尾しゆびよく離縁りえんになりて、一ぽんだち野中のなかすぎともならば、れよりは自由じゆうにて其時そのとき幸福しやわせといふことばあたたまへとわらふに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「養子の柳吉さんを、今日は親類會議を開いて、離縁りえんすることになつて居たさうですね」
良人の父母が云うには、国司を手ごめにした女を妻にしていては、お前はこの先、芽の出るわけはない。私達にも、どんなめいわくが、かかるかもしれない、早速離縁りえんすべきだと。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
無論むろん離縁りえんさ。でも出来できたら、それこそ挽回とりかへしがつかぬ。」とわたしひとりこゝろさけんだ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
むをないから離縁りえんしてかえってもらいたい、ということになってしまいました。
そりゃいいが、半年たない内にその男は離縁りえんになった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今の亭主じゃありません、離縁りえんされた亭主です」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
離縁りえん! 離縁‼——なぜですか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
邪魔じやまいたつみなき者に罪を離縁りえん仕つりしにより私し共路頭ろとうまよひ候を村内の者共たつすゝめにまかせ里儀を惣内妻にいた候夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それはお疳癪かんしやくつのつてなまやさしい離縁りえんなどをおしなさるより何時いつまでもをりなかいてくるしませてやらうといふおかんがへであつたか其處そこわからぬなれども、いまではわたし何事なにごとうらみも
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし此後このゝちあるひ光子みつこ離縁りえんするかもはかられぬ。次第しだいつては、光子みつこ父母ちゝはゝに、此事このこと告白こくはくせぬともかぎらぬ。が、告白こくはくしたところで、離縁りえんをしたところで、光子みつこたいする嫉妬しつとほのほは、つひすことが出来できぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
知りながら夫となしに梅をすみやかに離縁りえんに及び其上叔母へ金子迄をつかはしたるを阿容々々おめ/\と二人ながら引取親子たがひに妻と致し其上にも厭足あきたらず傳吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あのころ旦那だんなさまが離縁りえんをやると一言ひとことおつしやつたが最期さいごわたし屹度きつと何事なにごと思慮しりよもなくいとまいたゞいて、自分じぶん不都合ふつがふたなげて、此樣こん不運ふうんな、なさけない、口惜くちをしいてんめておきなさるなら
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)