あそび)” の例文
この時司の禿かぶろであった娘が、浜照はまてるという名で、来月突出つきだしになることになっていた。栄次郎は浜照の客になって、前よりもさかんあそびをしはじめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
武州大里吉見おおさとよしみ辺にも同じことをするという。播州ばんしゅうなどでは十夜ととは全く別であって、亥の子は中の亥の日の夜いわゆる藁鉄砲のあそびをする。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
百樹曰、余丁酉の年の晩夏豚児せがれ京水をしたがへて北越にあそびし時、三国嶺みくにたふげこえしは六月十五日なりしに、谷のそこに鶯をきゝて
遣はし其後源八があそびに來りし時皆々折目高をりめだか待遇もてなしける故源八は手持てもち無沙汰ぶさた悄々すご/\と立歸り是は彼の文の事を兩親の知りし故なりとふか遺恨ゐこんおもひけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(ちとおあそびにいらっしゃいな。)と言い棄てて、それでもまだ答をしないうちに、早やばたばたと戸外おもてへ出たが
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春先はるさき弁当でも持ってあそびに来るには至極しごく結構だが、ところが満洲だけになお珍らしい。余は痛い腹をおさえて、とうとう天辺てっぺんまで登った。するとそこに小さなびょうがあった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
われしこのあそびいなみなば、我生涯の運命はこゝに一變したるならん。後に思へば、此遊の四日は我少壯時代の六星霜を奪ひ去りたるなりき。誰か人間を自由なりと謂ふ。
あの子が夜あそびに出て帰らぬ時は、わたしは何時いつもここに立って真黒まっくろな外を眺めて、もうあの子の足音がしそうなものじゃと耳を澄まして聞いていて、二時が打ち三時が打ち
奥の間の障子を開けて見ると、果して昇があそびに来ていた。しかも傲然ごうぜん火鉢ひばちかたわら大胡坐おおあぐらをかいていた。そのそばにお勢がベッタリ坐ッて、何かツベコベと端手はしたなくさえずッていた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
わたし此子このこはゞわたしためまもがみで、此樣こん可愛かあい笑顏ゑがほをして、無心むしんあそびをしてますけれど、此無心このむしん笑顏ゑがほわたしをしへてれましたこと大層たいそうなは、のこりなくくちにはくされませぬ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その少年の読経するところなども私らは見た。Spetechシユペテツヒ 君は麦酒ビールを好み、私もあへて辞せぬので二人はいい心地になるまで飲んだ。けふのあそびはイーサル川に来た最後の日になつた。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
そんな時にはエミリイも一緒にあそびの相手をしました。そして、エミリイもやはりお茶の仲間入りをするのでした。エミリイのお茶は、青い花模様のあるお茶碗に、うすめて注がれるのでした。
日出雄少年ひでをせうねん如何いかに! 少年せうねん我等われらあそび仲間なかまである。
底ぬけあそびに昼に夜をつぎ、夜に昼をつぎしていた。
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひとりでふだを打つパシアンスのあそびの如く
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
新しいあそびをしよう。9770
車停むるところへ、はや馴れたる末の姫走り来て、「姉君たち『クロケット』のあそびしたまへば、おん身もなかまになりたまはずや、」とわれにすすめぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
百樹曰、余丁酉の年の晩夏豚児せがれ京水をしたがへて北越にあそびし時、三国嶺みくにたふげこえしは六月十五日なりしに、谷のそこに鶯をきゝて
あそびかたがたさ。あすこへ行って、ちょっと写生して来て、材料にしようと思ってるんだがね」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
皆様のおあそびなさる日が
狩谷の橋梓けうし即望之懐之が辛巳西遊中、宮島に往つた後「いづかたいかなるあそび」をなしたか、茶山は聞きたいと云つてゐる。わたくしも今茶山と願を同じうしてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
質のあそびも鬼ごっこも
御者ふりかへりて、「雨なり。母衣ほろおおふべきか。」と問ふ。「いな」とこたへし少女は巨勢に向ひて。「ここちよのこのあそびや。むかし我命うしなはむとせしもこの湖の中なり。 ...
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あんな人のところへ徃くのではありません。女中の處へ徃つておあそび。」
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)