たまは)” の例文
かみの氏子、堀の内にてよめをむかへ又はむこをとりたるにも、神勅しんちよくとてむこに水をたまはる、これを花水祝はなみづいはひといふ。毎年正月十五日の神㕝じんじ也。
こは半年前ボルゲエゼの君が、小遣錢にせよとたまはりし「スクヂイ」の殘にて、わがためには輕んじ難き金額なりき。
假初かりそめ愚痴ぐち新年着はるぎ御座ござりませぬよし大方おほかたまをせしを、やがあわれみてのたまはもの茂助もすけ天地てんちはいして、ひとたか定紋でうもんいたづらにをつけぬ、何事なにごとくて奧樣おくさま
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大饗おほみうけの引出物に白馬あをうまばかりを三十頭、たまはつたこともございますし、長良ながらの橋の橋柱はしばしらに御寵愛のわらべを立てた事もございますし、それから又華陀くわだの術を伝へた震旦しんたんの僧に
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……おくよ、をばかみたゞ一人ひとりしかたまはらなんだのを不足ふそくらしうおもうたこともあったが、いまとなっては此奴こやつ一人ひとりすら多過おほすぎる、りもなほさず、呪咀じゅそぢゃ、禍厄わざはひぢゃ、うぬ/\、賤婢はしたをんなめ!
『イヤまつたく貴君あなたの物で御座ございます、けれども何卒どうまげわたくしたまはりたう御座ございます』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
斯て九助は五ヶ年の間辛抱しんばうをなし殊に今度このたび奉行所よりたまはりし金を合すれば百六七十兩の金子にも成しゆゑ古郷こきやうかへりかねての望みの如く先祖せんぞの跡を立んと出立の支度したくして伯父をぢ始めへの土産物みやげもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(此日法皇老若の僧徒十三人の足を洗ひ、僧徒は法皇の手に接吻して、おの/\「マチオラ」の花束をたまはり退くことなり。)偶〻たま/\貴婦人席より我に目禮するものあり。
のみならず毎日出社すべき義務さへもひようとはしない。これは官等の高下をも明かにしない予にとつて、白頭はくとうと共に勅任官をたまはるよりははるかに居心の好い位置である。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たまはり目出度歸國きこく致ける然ばまがれる者は折易をれやすすぐなる者は伸易のびやすしとか山内伊賀亮程の器量きりやうある者も惡事に組し末代の今に到るまで汚名をめいのこしけるが越前守には明智を以てかゝる惡事を見顯みあらはし忠功を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それはなんぞのお間違まちがひなるべしわたくし客樣きやくさまにお懇親ちかづきはなしいけはたよりおともせしに相違さうゐけれど車代しやだいたまはるよりほか御用ごようありとはおぼえず其譯そのわけおほせられて車代しやだい頂戴ちやうだいねがくだされたしと一歩いつぽうごかんとせぬ芳之助よしのすけ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
孝子三八にたまはると書付はなけれ共、まづふたをひらけば、内よりによつと塩竹の子、かねもらうたよりうれしく、(中略)女房にかくとしらすれば、同じ心のしうとめ思ひ、手ばやに塩だしかつをかき
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たまはり又忠八は足輕あしがる小頭こがしらとなりて兩家共代々だい/\岡山に繁昌はんじやうせしとぞまことに君君たる時はしん臣たりと云古語こゞの如く岡山侯賢君けんくんまします故に喜内不幸ふかうにしてぼくの爲にうたるゝと雖も其いもとまた勇婦ゆうふ有て仇をうち家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)