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西風
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にしかぜ
それで
巨人を
載せた
西風が
其爪先にそれを
蹴飛ばさうとしても、
恐ろしく
執念深い
枯葉は
泣いてさうして
其の
力を
保たうとする。
しかし、それは、
西風であって、
高い
嶺を
滑った
夕日は、
雪をはらんで
黒雲のうず
巻く
中に
落ちかかっていたのです。
これは
空氣の
上層には
通常西風があるので、
下層の
風向きの
如何に
拘らず、
細かな
火山灰は
大抵大氣中の
上層に
入り、
東方に
運ばれるに
因るからである。
三時の
茶菓子に、
安藤坂の
紅谷の
最中を食べてから、母上を相手に、
飯事の遊びをするかせぬ
中、障子に映る
黄い夕陽の影の見る見る消えて、
西風の音、樹木に響き、座敷の
床間の黒い壁が
短い
冬の
日はもう
落ちかけて
黄色な
光を
放射しつゝ
目叩いた。さうして
西風はどうかするとぱつたり
止んで
終つたかと
思ふ
程靜かになつた。
子供は、
鳥影のまったく
空の
中に
吸い
込まれて、
見えなくなるまで
見送っていました。やがて
日が
暮れてしまうと、さらさらと
音をたて、
西風が、
落ち
葉を
雨戸に
吹きつけるのです。
冬の
季節に
埃を
捲いて
來る
西風は
先づ
何處よりもおつぎの
家の
雨戸を
今日も
來たぞと
叩く。それは
村の
西端に
在るからである。
そして、あなたたちが、
岩穴の
中で、こうもりのおばあさんからきいた、
不思議のおとぎばなしを
教えてくだされば、
私は、
西風のうたっていた
北の
国の
唄をうたってきかせますよ。
寒い
西風が
吹いて、
木の
枝が
動くのを
見ると、
山のお
家が
恋しくなるのでした。