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荒磯
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あらいそ
ふりがな文庫
“
荒磯
(
あらいそ
)” の例文
泥濘
(
ぬかるみ
)
を
捏返
(
こねかへ
)
したのが、
其
(
そ
)
のまゝ
乾
(
から
)
び
着
(
つ
)
いて、
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
と
云
(
い
)
つた
處
(
ところ
)
に、
硫黄
(
ゆわう
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
暑苦
(
あつくる
)
しい
黒
(
くろ
)
い
形
(
かたち
)
で
踞
(
しやが
)
んで
居
(
ゐ
)
るんですが。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
南の海上のザンの
魚
(
いお
)
(
儒艮
(
じゅごん
)
)の物語と対立して、東日本の
荒磯
(
あらいそ
)
にはアシカ・アザラシ・ミチの
寝流
(
ねなが
)
れなどの話がもとは多かった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
伊那丸は、
金剛力
(
こんごうりき
)
をしぼって、波のほうへ、
綱
(
つな
)
をひいてみたが、
荒磯
(
あらいそ
)
のゴロタ石がつかえて、とてもうごきそうもない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしこれ等が
皆
(
み
)
な消え
失
(
う
)
せて山上に
樹
(
た
)
っている一本松のように、ただ一人、無人島の
荒磯
(
あらいそ
)
に住んでいたらどうだろう。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
岩石
(
がんせき
)
が
劍
(
つるぎ
)
のやうに
削立
(
つゝた
)
つて
居
(
を
)
る
荒磯
(
あらいそ
)
の
邊
(
へん
)
だのを、
兵曹
(
へいそう
)
の
元氣
(
げんき
)
に
任
(
まか
)
せて
引廻
(
ひきま
)
はされたので、
酷
(
ひど
)
く
疲
(
つか
)
れてしまつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
二人がかりでやっと動くような大きな石ころもまじえて、まるで
荒磯
(
あらいそ
)
のように石だらけの道だった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
荒磯
(
あらいそ
)
に波また波が千変万化して追いかぶさって来ては激しく打ちくだけて、まっ白な
飛沫
(
ひまつ
)
を空高く突き上げるように、これといって取り留めのない執着や、憤りや、悲しみや
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ついては汝に
荒磯
(
あらいそ
)
という名を与える、もう来るな、と言っていそいで敬遠してしまった。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
荒磯
(
あらいそ
)
の描いてある
衝立
(
ついたて
)
の前で、いまこう、
肩肘
(
かたひじ
)
を張って叫び揚げた
武士
(
さむらい
)
がある。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
荒磯
(
あらいそ
)
かげに心苦しく存じました
二葉
(
ふたば
)
の松もいよいよ頼もしい未来が思われます日に到達いたしましたが、御生母がわれわれ
風情
(
ふぜい
)
の娘でございますことが、御幸福の
障
(
さわ
)
りにならぬかと苦労にしております」
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
海はどよもす
荒磯
(
あらいそ
)
べ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
暮はさみしき
荒磯
(
あらいそ
)
の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
荒磯
(
あらいそ
)
の小屋に小父さんが一人居て、——(目こそ
闇
(
くら
)
けれど)……どうとかして——(寄する波も聞ゆるは)……と言うと、舞台中ざあと音がしてね
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
糸満
(
いとまん
)
人が九州の
荒磯
(
あらいそ
)
に出没し始めると、今まで記述せられなかった色々の多彩の魚が市場に現われて、内外の魚学者を
喫驚
(
びっくり
)
させたという話も聴いている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自分は
荒磯
(
あらいそ
)
に一本流れよった流れ木ではない。しかしその流れ木よりも自分は孤独だ。自分は一ひら風に散ってゆく枯れ葉ではない。しかしその枯れ葉より自分はうらさびしい。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
山の
端
(
は
)
削
(
けず
)
りて
道路
(
みち
)
開かれ、源叔父が家の前には今の
車道
(
くるまみち
)
でき、朝夕二度に汽船の笛鳴りつ、昔は網だに干さぬ
荒磯
(
あらいそ
)
はたちまち今の
様
(
さま
)
と変わりぬ。されど源叔父が
渡船
(
おろし
)
の業は昔のままなり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
海岸
(
かいがん
)
の
岩
(
いわ
)
の
上
(
うへ
)
から
果
(
はて
)
しなき
大海原
(
おほうなばら
)
を
眺
(
なが
)
めたり、
家
(
いへ
)
の
後
(
うしろ
)
の
椰子林
(
やしばやし
)
で、
無暗
(
むやみ
)
に
美
(
うるは
)
しき
果實
(
くわじつ
)
を
叩
(
たゝ
)
き
落
(
おと
)
したり、または
家
(
いへ
)
に
殘
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
つた
水兵
(
すいへい
)
に
案内
(
あんない
)
されて、
荒磯
(
あらいそ
)
のほとりで、
海鼈
(
うみがめ
)
を
釣
(
つ
)
つたりして
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
暮はさみしき
荒磯
(
あらいそ
)
の
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
三冬
(
さんとう
)
を
蟄
(
ちつ
)
すれば、
天狗
(
てんぐ
)
恐
(
おそ
)
ろし。
北海
(
ほくかい
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
、
金石
(
かないは
)
、
大野
(
おほの
)
の
濱
(
はま
)
、
轟々
(
ぐわう/\
)
と
鳴
(
な
)
りとゞろく
音
(
おと
)
、
夜毎
(
よごと
)
襖
(
ふすま
)
に
響
(
ひゞ
)
く。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
潮
(
うしお
)
さみしき
荒磯
(
あらいそ
)
の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
北も南も
吹荒
(
ふきすさ
)
んで、戸障子を
煽
(
あお
)
つ、柱を
揺
(
ゆす
)
ぶる、屋根を鳴らす、
物干棹
(
ものほしざお
)
を
刎飛
(
はねと
)
ばす——
荒磯
(
あらいそ
)
や、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た、鯨を突いた、
祟
(
たた
)
りの吹雪に戸を
鎖
(
さ
)
して
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
潮
(
うしほ
)
さみしき
荒磯
(
あらいそ
)
の
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
煙
(
けむり
)
の
波
(
なみ
)
だ。
荒磯
(
あらいそ
)
の
巖
(
いは
)
の
炬燵
(
こたつ
)
が
眞赤
(
まつか
)
だ。が
此時
(
このとき
)
燃拔
(
もえぬ
)
けては
居
(
ゐ
)
なかつた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“荒磯”の解説
荒磯(あらいそ)とは、波のうち寄せが激しい磯のことである。一般的には、あらいそと読むが、万葉集などではありそと読む。
波のうち寄せが激しく、海岸が侵食されやすいため、主に海岸段丘の多い地域に見られる。魚類や貝類、海藻などが豊富で、磯釣りなどのスポットともなっている。
(出典:Wikipedia)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
磯
漢検準1級
部首:⽯
17画
“荒磯”で始まる語句
荒磯辺
荒磯海
荒磯連