罪人ざいにん)” の例文
とその家庭かてい苦痛くつう白状はくじやうし、ついにこのしよ主人公しゆじんこうのち殺人さつじん罪人ざいにんなるカ……イ……をともなひてその僑居けうきよかへるにいた一節いつせつきはめて面白おもしろし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
張揚はりあげコリヤ憑司只今傳吉夫婦が言立る所は如何にも明白めいはくなり然すれば其方そのはうは公儀をいつは罪人ざいにんこゝ不屆ふとゞき者めと白眼にらめらるゝに憑司はハツとかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の上当家に越度おちどあらば寺社奉行の裁判を受けるでござろう、とは申すものゝ罪人ざいにんを作るも本意ほんいでない、何も言わずに此の儘お帰りなさるか
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そしてそれが人間の心境しんきょうに影響すれば、悪人あくにん善人ぜんにんになるであろう。すさんだ人もみやびな人となるであろう。罪人ざいにんもその過去を悔悟かいごするであろう。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
罪人ざいにん石山いしやまの絶頂から生きながら棄てた断崖も名所としてのこつて居るさうだ。釈迦の歯の真物ほんものは異教徒に焼かれて今のは象牙で偽作した物だと聞いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「水の中にほうりこめ。水の中にほうりこめ」とパージュとベルグヌーが、「先生」 の後ろにまるくなっていた罪人ざいにんにとびかかって行きそうにした。
小作料の騰貴はまだいが、中には小作地が不足して住みれた村にも住めなくなり、東京に流れ込んだり、悪くすると法律の罪人ざいにんが出来たりする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それを浜松城はままつじょうし立てる罪人ざいにんなどとは、飛んでもないあやまり、どうか、あの婦人ふじん吾々われわれのほうへおわたしをねがいたい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
台なしにしてしまいましたねえ、なに罪人ざいにんの落書だなんてあてになったもんじゃありません、にせもだいぶありまさあね
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから、首切役人は、松葉杖といっしょに、一ついの木のつぎ足を、カレンのためにこしらえてやって、罪人ざいにんがいつもうたうさんび歌を、カレンにおしえました。
いってみりゃア世の中の裏ッ側みたいなとこでしてね……いろんな罪人ざいにんばっかり、落ちあつまる……そんなとこで、二十年も廷丁こづかいなんぞ勤めていりゃア、さだめし面白い話ばかり
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「ぼくにものを聞きたいのやったら、聞くように礼儀をつくしたらどうです。昨日からぼくを罪人ざいにんのようにひどい目にあわせて、さあ答えよといっても誰が答える気になるものか」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
した罪人ざいにんの妻が、あなたとこうしているのが、恐ろしくなったからですわ
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おゝ、それが切實ひし/\おもさるゝ、おそろしい罪惡ざいあく罪人ざいにんわすれぬやうに。
なさん是かへつ罪人ざいにん多くならんなかだち也とあざけりし人多しとかや是非ぜひ學者がくしやろんなりといにしへより我朝わがてうおきてにぞかゝる事なけれども利の當然たうぜんなり新法しんはふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
罪人ざいにんどもの泣きほえるのを、いちいち取りあげていてはてしがない。それッ、時刻じこくぎぬうちに支度したくをせい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたしたちはそれをもうけた証拠しょうこがない。運悪くゆくと、みんなはどこまでも罪人ざいにんだと思うだろう」
こっちへ来るについて、お金の用意なんかしなかったので、おそらくどのポケットにもお金なんか入っていないことであろう。大失策だいしっさくだ。僕はいよいよこの国の罪人ざいにんになるほか道がないのだ。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
訐くという言葉が、突然恐ろしいひびきをもって、私の耳を打った。私は今私の前にすわっているのが、一人の罪人ざいにんであって、不断から尊敬している先生でないような気がした。先生の顔はあおかった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
罪人ざいにんの言うままになるなんて、ためしのないことです。しかし、そうしなければ、治郎君のかくし場所を、教えないと言うのですから、しかたがありません。中村警部は、しぶしぶ、承知をしました。
電人M (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それを見ると、げまわっていた徳川家とくがわけの者たちが、またはえのようにあつまって神官しんかんを取りまき、忍剣をわたせ、殺傷さっしょう罪人ざいにんを徳川へわたせと喧騒けんそうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この罪人ざいにんはあわてて過失かしつをつぐなうために、もう一本のマッチをともして、しばらくやしてから主人にそれをささげた。けれどもガロフォリはそれを受け取ろうとはしなかった。
ゆすりだのかたりだのとは云つしやる昆虫むしけら迄も殺さぬを殺生戒せつしやうかいとは申さずや罪なき一人の百姓を打たゝかんとは出家に似氣にげなき成れ方お釋迦樣は親をころしうを殺す五ぎやく罪人ざいにんでも濟度さいどなさるゝに此御寺を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ボブは巡査じゅんさに、この子が罪人ざいにんであるはずがない、なぜならゆうべ一時までいっしょにいたし、それから「大がしの宿屋やどや」へ行って、そこの主人と話をして、すぐここへ帰って来たのだからと言った。