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べにおしろい
ふりがな文庫
“
紅白粉
(
べにおしろい
)” の例文
あたしゃ今こそお
前
(
まえ
)
に、
精根
(
せいこん
)
をつくしたお
化粧
(
けしょう
)
を、してあげとうござんす。——
紅白粉
(
べにおしろい
)
は、
家
(
いえ
)
を
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
袱紗
(
ふくさ
)
に
包
(
つつ
)
んで
持
(
も
)
って
来
(
き
)
ました。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
いまだに
宿
(
やど
)
とても
定
(
さだ
)
まるまじく、
母
(
はゝ
)
は
此樣
(
こん
)
な
身
(
み
)
になつて
恥
(
はづ
)
かしい
紅白粉
(
べにおしろい
)
、よし
居處
(
ゐどころ
)
が
分
(
わか
)
つたとて
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
は
逢
(
あ
)
ひに
來
(
き
)
ても
呉
(
く
)
れまじ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「もっと女らしく
紅白粉
(
べにおしろい
)
でもつけて、殿下の舞踊のお相手でも務められたら、さぞ、仕合せだろうと、そんな気がしましたわ」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
身動
(
みじろ
)
ぎもせず聞き
澄
(
す
)
んだ散策子の
茫然
(
ぼんやり
)
とした目の前へ、
紅白粉
(
べにおしろい
)
の烈しい
流
(
ながれ
)
が
眩
(
まばゆ
)
い日の光で
渦
(
うずま
)
いて、くるくると廻っていた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五節句の中で、雛祭りという時候の関係からいっても、華美な艶麗な感じで聯想さるる。
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつけて美しく
著飾
(
きかざ
)
っている女の子を聯想する。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
お
婆
(
ばあ
)
さんになってもそうですが、若い娘さんなんか特に目立ちます。しかしおなじ
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつかっても、
上手
(
じょうず
)
と
下手
(
へた
)
とでは、たいへん違います。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
見ればかれらは
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつけて、その艶容は娼婦の如くであるのみか、その内服は真っ紅で、下飾りもまた紅かった。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何としても、彼を賭に負かして、司馬懿仲達が
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつけ、女の着物を着て
謝
(
あやま
)
る姿を見てやらなければならん
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女でいうと
紅白粉
(
べにおしろい
)
の飾りも同じことで、本来はいずれも年に一度か二度の、晴の日のみに許されることであったのを、自由に任せて毎日のごとくこれを受用し
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
紅白粉
(
べにおしろい
)
までつけて、ニヤリニヤリと岡っ引を迎えるといった肌合いの女——
吝
(
けち
)
で無慈悲で、
強欲
(
ごうよく
)
だった寅五郎と、生れ変って来ても気性の合いそうもない柄です。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
五十日あまりは新妻らしく結っていた髪も、髪結い賃と暇が惜しいため、いつか束ね髪で済ますようになり、もちろん
紅白粉
(
べにおしろい
)
などつけることもなくなっていった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、それから今の女の教育が何の役にも立たない事、今の女の学問が
紅白粉
(
べにおしろい
)
のお化粧同様である事
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
酔に乗じた老松の
端唄
(
はうた
)
が
口唇
(
くちびる
)
を
衝
(
つ
)
いて出た。
紅白粉
(
べにおしろい
)
に浮身を
窶
(
やつ
)
すものの早い
凋落
(
ちょうらく
)
を
傷
(
いた
)
むという風で
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
七十八軒の本宿に、二十四軒の
旅籠屋
(
はたごや
)
。
紅白粉
(
べにおしろい
)
の
飯盛女
(
めしもりおんな
)
に、みとれるようなあだっぽいのがいる。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お文と源太郎とは、人込みの中を抜けて、
褄
(
つま
)
を取つて行く
紅白粉
(
べにおしろい
)
の濃い女や、
萌黄
(
もえぎ
)
の風呂敷に箱らしい四角なものを包んだのを掲げた女やに
摩
(
す
)
れ違ひながら、
千日前
(
せんにちまへ
)
の方へ曲つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「お仙の
阿魔
(
あま
)
に男なんかあるものか、
紅白粉
(
べにおしろい
)
はおろか、油
一貝
(
ひとかい
)
買ったことのねえ身の上だ——へッ」
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女の
紅白粉
(
べにおしろい
)
などもやはり酒と同様に、本来は祭とか式典とか、おおよそ酒の用いられなければならぬような日に、女を常の女でなくするために施したのが
化粧
(
けしょう
)
であった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
情夫
(
おとこ
)
の
西門慶
(
せいもんけい
)
の姿が
梯子段
(
はしごだん
)
をころげるように降りて来るなり、隣家の王婆の裏口へ消えて行ったし、女の
金蓮
(
きんれん
)
は金蓮でまた、
俄
(
にわか
)
にわが手で髪を
揉
(
も
)
みくずし、
紅白粉
(
べにおしろい
)
を洗い落すなど
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔
内佛
(
ないぶつ
)
の安置してあつたこの室は、この家へ
女氣
(
をんなけ
)
が入るやうになつてから、納戸に用ゐられて、
紅白粉
(
べにおしろい
)
の匂ひで一杯になつてゐるが、竹丸の
怖々
(
こはごは
)
覗いた時、修驗者の姿は見えないで
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
……
抱妓
(
かかえ
)
が五人と
分
(
わけ
)
が二人、
雛妓
(
おしゃく
)
が二人、それと台所と
婢
(
ちび
)
の同勢、
蜀山
(
しょくざん
)
兀
(
こつ
)
として阿房宮、富士の霞に日の出の
勢
(
いきおい
)
、
紅白粉
(
べにおしろい
)
が小溝に
溢
(
あふ
)
れて、羽目から友染がはみ出すばかり、
芳町
(
よしちょう
)
の
前
(
ぜん
)
の
住居
(
すまい
)
が
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東海道金谷の宿はずれに、なまめかしい一
廓
(
かく
)
がある。間口の狭い平べったい板屋造りで、店先にさまざまな屋号を染出した
色暖簾
(
いろのれん
)
を掛け、
紅白粉
(
べにおしろい
)
の濃い化粧をしたなまめかしい令嬢たちが並んでいる。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こめつ
可笑
(
をか
)
しく
面白
(
おもしろ
)
く
物
(
もの
)
がたりながら
沈
(
しづ
)
みがちなる
主
(
しゆ
)
の
心根
(
こゝろね
)
いぢらしくも
氣遣
(
きづか
)
はしく
離
(
はな
)
れぬ
守
(
まも
)
りにこれも
一
(
ひと
)
つの
關所
(
せきしよ
)
なり
如何
(
いか
)
にしてか
越
(
こ
)
えらるべき
如何
(
いか
)
にしてか
遁
(
のが
)
るべきお
高
(
たか
)
髮
(
かみ
)
とりあげず
化粧
(
けしやう
)
もせず
粧
(
よそほ
)
ひし
昔
(
むかし
)
の
紅白粉
(
べにおしろい
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「言わいでか。
紅白粉
(
べにおしろい
)
を塗りたくって、さも
艶
(
なま
)
めかしゅうしていやがるが、一ト皮
剥
(
む
)
けば、その下は
貉
(
むじな
)
か狐とも変りはなかろう。舞台の夜は前芸で、奥の芸は女の淫を売る
女狐
(
めぎつね
)
じゃわ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もう澤山だ、歸つてくれ。——水本賀奈女にさう言ふが宜い、踊の師匠の
看板
(
かんばん
)
を外して、
紅白粉
(
べにおしろい
)
を洗ひ落し、
疣尻卷
(
いぼじりまき
)
にして賃仕事でも始めて見ろとな。世の中に怖いことがなくなるぜ」
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ついこの
前途
(
さき
)
をたらたらと上りました、道で申せばまず峠のような処に
観世物
(
みせもの
)
の小屋がけになって、やっぱり
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつけましたのが、
三味線
(
さみせん
)
でお
鳥目
(
ちょうもく
)
を受けるのでござります、それよりは旦那様
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二十八を
頭
(
かしら
)
に九人の子福者、唐物、小間物から、風邪薬にしもやけ薬、
紅白粉
(
べにおしろい
)
まで売って、一と通りはやっているものの、内福で有名な浜田屋などと違って、内輪はかなり苦しそうです。
銭形平次捕物控:052 二服の薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「もうたくさんだ、帰ってくれ。——水本賀奈女にそう言うがいい、踊の師匠の看板を外して、
紅白粉
(
べにおしろい
)
を洗い落し、
疣尻巻
(
いぼじりまき
)
にして賃仕事でも始めてみろとな。世の中に怖いことがなくなるぜ」
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
粉
常用漢字
小5
部首:⽶
10画
“紅白”で始まる語句
紅白
紅白紫黄